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来日したデニス・ロッドマン、お気に入りの選手はスパーズのカワイ・レナード

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4月15日、NBA史上最長記録である7年連続でリバウンド王(1991-92~1997-98シーズン)を獲得した殿堂入りプレイヤー、デニス・ロッドマン(54歳)が来日し、東京のWOWOW本社で記者会見を行なった。

来日は2013年10月に同局の番組告知イベントのとき以来、約2年半ぶりとなる。16日(土)に『ぷらすと』(ニコニコ生放送で無料配信/午後12時~)と『デニス・ロッドマン来日生出演! NBAバスケットボール 東西プレーオフ徹底ガイド』(WOWOWプライムで無料放送/午後1時30分~)に出演する予定のロッドマンは、黒いTシャツにキャップ、黄色のジャージー、サングラス、そして緑のマニキュアという格好で会見場に姿を現し、集まったメディアからの様々な質問に答えた。

今プレイオフで2連覇を狙うゴールデンステイト・ウォリアーズがレギュラーシーズン73勝9敗の新記録を達成したことについて聞かれると、ロッドマンは一言、「おめでとう」と笑顔を見せている。ウォリアーズは14日(現地13日)のレギュラーシーズン最終戦でメンフィス・グリズリーズを破り、ロッドマンも所属した1995-96シーズンのシカゴ・ブルズが樹立した72勝10敗という、これまでのNBA記録を20年ぶりに更新した。

ロッドマンは、「今プレイオフの争点は『誰がゴールデンステイトを負かすのか』、イーストだったら『誰がクリーブランド(キャバリアーズ)を倒すのか』だ」と、見どころを説明する一方、当時のブルズと今のウォリアーズが対戦した場合、勝つ自信があるとも語った。

「1試合では相手の手の内がわからないから、どちらが勝つかはわからない。ただ、7戦シリーズなら4勝2敗で俺たち(ブルズ)が勝つ」。

当時のブルズの素晴らしさについて、ロッドマンは当時所属した選手たちが引退後も成功していることを挙げている。彼は、ウォリアーズの選手たちが将来、どんなキャリアを送るかについて注目しているという。

「(当時ブルズのヘッドコーチを務めていた)フィル・ジャクソン(現ニューヨーク・ニックス球団社長)は、数多くの教え子を輩出した。(ウォリアーズのヘッドコーチである)スティーブ・カーはもちろん、スコッティ(ピッペン)、マイケル(ジョーダン)、ルーク(ロングリー)、トニー(クーコッチ)、ランディ・ブラウンなど、当時チームにいた選手たちは、現役引退後も大きく成長している。それにはジャクソンの教えが大きく寄与しているんだ。今回、ウォリアーズは73勝という記録を打ち立てたけれど、個人的には彼らがキャリアを終えた後も成功し続けることができるか、という点に注目している」。

また、14日(同13日)のユタ・ジャズ戦を最後に現役を引退したコービー・ブライアント(ロサンゼルス・レイカーズ)との思い出について聞かれると、彼の20年のキャリアに敬意を表している。ロッドマンは、ブルズ時代の1996~98年にブライアントの所属するレイカーズと4度対戦し、1998-99シーズンには自らがレイカーズに移籍し、ブライアントとともにプレイした経験がある。

「1996年に対戦したときに(コービーの所属するレイカーズを)2回破ったのは俺たちにとっては良い思い出だ(※実際は1996~1998年の2シーズンで2勝2敗)。俺は彼の家の近くに住んでいたこともある。そういうことがまず思い出されるね」。

そうブライアントとの思い出を語ったロッドマンは、「コービーが20年間ひとつの球団でプレイし、成し遂げたことは実に素晴らしいことだと思う」と、かつての同僚を褒め称えた。

「最も素晴らしいことは、彼が自分自身のスタイルを貫き、自分のやり方ですべてをやってきたということ。そこに尽きる。選手としてのキャリアはこれで終わりになるが、彼には素晴らしい家族もいるし、これからも素晴らしい人生が待っているだろう」。

そして、ブライアントが引退試合(14日のジャズ戦)で今季リーグ最多となる60得点をマークしたことについては、「50本もシュートを打ったのは凄いね」と苦笑しつつも、最後までファンのためにプレイしたことを称えている。

「彼は最後のゲームをそういう形で終えた。その事実そのものがファンのためのものだったと思う」。

そんなロッドマンの今のお気に入りの選手は、サンアントニオ・スパーズのカワイ・レナードだという。レナードは今季、自己最高かつチーム最高の平均21.1得点、平均33.1分出場に加え、チーム2位の6.8リバウンドをマークし、オールスターにも初出場を果たした。今プレイオフでスパーズの浮沈のカギを握る選手だ。

ロッドマンは躍進著しいレナードについて、「攻守両面でしっかりプレイできるところが気に入っている。現代のリーグの中でも完璧な選手の一人だろう」と、最大級の賛辞を送っている。

1986年にドラフト2巡目27位でデトロイト・ピストンズに入団したロッドマンは、スパーズ、ブルズなどを渡り歩きながらNBAで14シーズンを過ごした。1999-2000シーズンを最後に引退し、今は世界中を旅して回っているという。

通算5度の優勝、7回のリバウンド王、2回の最優秀守備選手賞とオールスター選出、オールディフェンシブ・ファーストチームに7度選出され、2011年にはバスケットボール殿堂入りも果たした。そんな彼の目には、現在のNBAは自分がプレイしていた頃とまったく違うものとして映っているようだ。

「現在のNBAはバスケットボールのスタイルが大きく変わった。360度変わったと言えるくらい変わってしまった」。

当時と現在のNBAの変化の理由について、ロッドマンはこう語っている。

「今の選手たちは、何かタイトルを取ったらチームを移籍して、大金を手にする。そういう選手はそれ以降、同じような活躍ができなくなってしまっている。俺は異なる3チームでリバウンドのタイトルを獲得したが、そんなのは俺くらいのものだろう」。

現役時代、ロッドマンはリバウンドとディフェンスに特化したスタイルを極めた。だが、彼のような“一芸に秀でた選手”は昨今、あまり見られなくなっている。

「今はアップダウンの激しい、どんどんシュートを打つスタイルになっている。リバウンドはたくさん落ちてくるだろうが、それに特化する選手というのは見られないね。自分のような選手が出てこないのは、ゲームのスタイルの変化が大きく影響していると思う」。

「今のNBAは変わった」とは言うものの、ロッドマンはバスケットボールをプレイしている息子とともに、今のNBAを楽しんでいるそうだ。そしてスタイルが変化した今のリーグでも、“伝説のリバウンド王”は、そのタイトルを守る自信を持ち続けている。

「俺が25歳だったら、今のNBAでも平均18~22リバウンドくらい取れるだろう。現役時代、俺は平均20リバウンド近くとっていたけれど、ビル・ラッセル以外にそんなに多くのリバウンドを取った選手はいない。今のゲームはそこら中にボールが飛んでくるから、ありがたいことこの上ない状況だろうね」。

取材協力:WOWOW

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ