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[杉浦大介コラム第81回]3x3ディベート: クリーブランド・キャバリアーズの“今”を3人の識者が分析(4)

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レブロン・ジェームズ クリーブランド・キャバリアーズ

(3)レブロン・ジェームズは今季終了後にクリーブランド・キャバリアーズに残留するのか、移籍するのか?

来季はクリーブランドに残っていない

デイブ・マクナミン: 4月上旬、レブロンは『Cleveland.com』に“去就を考える上で重要なのは家族の快適さと勝利のチャンス”という話をしたばかりだ。家族はオハイオ州に住んでいるわけだから、キャブズには彼を引き留めるチャンスがあると考えるのが自然だろう。

キャブズにとっての好材料は、レブロンを惹きつけるべく、来季までにロスターを作り直すことが可能なことだ。ブルックリン・ネッツのドラフト1巡目指名権を持っているので、それを利用して、例えばデマーカス・カズンズ、アンソニー・デイビス(ともにニューオーリンズ・ペリカンズ)のいずれかを獲得することだってできるかもしれない。

ただ、レブロンは勝利へのこだわりが並外れて強く、今季のポストシーズンで惨敗した場合、リーグ全体を見渡して移籍先を模索はするだろう。76ersにはキャップスペース(サラリーキャップの余裕)があり、レブロンはブレット・ブラウンHC、ベン・シモンズと良い関係を築いてきた。また、レブロンはマジック・ジョンソンを尊敬し、ロサンゼルスに2件の家を持ち、ロンゾ・ボールとの噛み合わせも良さそうだから、レイカーズへの移籍も理に適う。

このように、様々な可能性が想定できるため、確かなことは分からない。現時点で私個人の推測を言うなら、レブロンは来季はクリーブランドに残っていないと思う。

プレイオフのどの時点でキャブズのシーズンが終わるかがポイント

ハワード・ベック: レブロンは間違いなく移籍すると信じ切っている人がリーグに大勢いる。ただ、現時点で何かを断定するのは馬鹿げていると思う。移籍する可能性は十分あるが、私は確定事項だとは考えていない。プレイオフの結果にもかかってくるだろう。キャブズに残れば再び優勝が狙えると考えれば、故郷のチームから出て行く必要はないと思うはずだ。

移籍すればまた大騒ぎを引き起こすことになるし、残留すると考える理由はたくさんある。ただ、キャブズに残っても勝てないと思ったら、そこで落ち着きはしないだろう。

例えば、キャブズがプレイオフ1回戦で敗れるようなことがあれば、レブロンは「もっと良いサポーティングキャストが必要だ。俺はもう15年もプレイし、33歳になったが、あと何回かは優勝したい。ここに残るべきではないかもしれない」と考え、リーグ全体を眺めるに違いない。

つまり、プレイオフのどの時点でキャブズのシーズンが終わるかがポイントだ。移籍するとしたら、どこに行くのか? それは私にもわからない。

今夏に移籍するとは思わない

ジェフ・レンチナー: 私はレブロンが今夏に移籍するとは思わない。昨オフと今季中の変化でキャブズにはビッグネームが少なくなったが、その代わり、層の厚いチームになった。レブロンとラブ以外に、1試合に10~17得点くらいが望める好選手が4〜5人いて、来季に大きく力が落ちそうなプレイヤーもいない。そんなチームはリーグ全体でもほとんどない。

スター軍団でないがゆえに今後もフレキシブルな補強が可能で、今季終了後にはドラフト1巡目のロッタリー指名権(ネッツの指名権)も持っている。レブロンはスーパースターのサポーティングキャストがいないことを残念に思っているかもしれないが、一方で悪い状況ではないとも考えているだろう。

もっとも、プレイオフでキャブズが惨敗すれば話は変わってくる。現時点で多くの人がいろいろなことを言っているが、プレイオフが終わるまで、レブロン本人ですらも将来はわからないに違いない。

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文:杉浦大介  Twitter: @daisukesugiura

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杉浦大介 Daisuke Sugiura Photo

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している。