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[杉浦大介コラム第63回]2016-17シーズン序盤戦アウォード:(1)MVP

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Russell Westbrook Thunder

序盤戦 MVP

ラッセル・ウェストブルック(オクラホマシティ・サンダー)
平均31.7得点/FG成功率43.1%、3P成功率33.7%、FT成功率82.4%/10.9アシスト、10.4リバウンド

開幕前に予想された通り、今季はMVPの選択基準がシーズンを通じて議論の種となっていきそうだ。そもそも、“Most Valuable Player”(最も価値のある選手)とは、最強チームのベストプレイヤーであるべきなのか? それとも最高のパフォーマンスで魅了している選手なのか――?

1つめの基準を重視した場合、ケビン・デュラント(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)、レブロン・ジェームズ(クリーブランド・キャバリアーズ)、カワイ・レナード(サンアントニオ・スパーズ)、2つめならラッセル・ウェストブルック(オクラホマシティ・サンダー)、ジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)が有力候補になるだろう。

たた、序盤戦に残した莫大なインパクトを評価し、ここではデュラントが去った後のサンダーで大黒柱として君臨してきたウェストブルックを選びたい。

7戦連続を含む、31戦中14度のトリプルダブルは驚異。現時点でシーズン平均トリプルダブルをマークしており、1961-62シーズンのオスカー・ロバートソン以来の年間トリプルダブル達成も夢物語ではない。

チームを勝利に導く能力を疑問視する向きもあったが、サンダーはここまで19勝12敗でウェスタン・カンファレンス5位と健闘している。確固たる2番手スコアラーのいないチームをこれだけの好成績に導いてきたのだから、もう突っ込みどころは少ないと言っていい。なにより、今季序盤戦を見る限り、ウェストブルックこそが間違いなく最大の話題を提供した選手だった。

注目度はやや低くなるが、ロケッツを引っ張るハーデン(平均27.4得点、11.9アシスト、7.9リバウンド)の貢献度はウェストブルック以上という声もある。チームの戦績も22勝9敗とサンダーより上だ。リーグ全体のサプライズチームになっているロケッツが、今後もこの勝率を保つようなら、ウェストブルックとの順位もいずれ逆転しかねない。

移籍直後ながら、過去2年連続MVPを獲得したステフィン・カリーを上回る精度のプレイを続けるデュラントも有力候補の1人だ。そして、もちろんジェームズ、レナードもそれぞれのカンファレンスで最高レベルの勝率を残すチームを支えている。この3人とその所属チームは、シーズンを通じてハイレベルの成績を保つだろう。中盤戦以降、ウェストブルックとハーデンの所属チームの勝率が今より下降した場合、冒頭で述べた通り、MVPの投票者は実に難しい選択を迫られることになりそうだ。

※成績はすべて現地12月26日のゲーム終了時点

MVP新人王最優秀守備選手MIP

文:杉浦大介  Twitter: @daisukesugiura

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著者
杉浦大介 Daisuke Sugiura Photo

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している。