現在のNBAは世界で最もスタイリッシュなスポーツリーグとして、ファッション業界からも注目を集めるようになった。
2005年に制定されたドレスコードは、当時の過度なヒップホップファッションに釘を刺すものであったが、結果的にオフコートでのファッションゲームに火をつける形となった。
かつて『エア ジョーダン』がバスケットボールシューズの枠を超えて、ファッションアイテムとしての地位を築いたように、今日ではNBA選手そのものがファッションアイコンとして認知される時代となっている。
なかでもレブロン・ジェームズ、ドウェイン・ウェイド、カーメロ・アンソニーらは現代NBAのファッショニスタ第1世代といえる。彼らを見て育った現在の若手の中には、会場入りやメディア対応の際のスタイリッシュな装いに憧れを覚えた選手も少なくないであろう。
そんな華の03年組も30代に入り、プレイと共にコーディネートにも円熟味が増している。
オンコートのみならず、オフコートでもハイライトシーンの多いウェイドだが、今年のオールスターでの着こなしも印象深いものとなった。
Photo by Mizuho Nishio
ナチュラル色の上下に小物類を黒系でまとめた一見シンプルなコーディネートに見えるが、ピーコートのなど細部にネイティブアメリカン調の刺繍があしらわれており、独特の華やかさをプラスしている。
屋外では、トロントの厳しい寒さを物語るように、この上からさらにファー付きのスノーパーカを着用。コートの上にコートを羽織るという荒業でも、重苦しさを感じさせないあたりは流石といえる。
ちなみに、この日の着用アイテムの詳細は以下である。
コート:『ヴァレンティノ』(約46万8000円)
スノーパーカ:『ディースクエアード』(約31万7000円)
シャツ:『アンダーグラウンド ヴィジョナリーズ』(約3万3000円)
パンツ:『ニール バレット』(約3万1000円)
シューズ:『サンローラン』(約12万9600円)
ハット:『デルトロ』(約4万3000円)
バッグ:『フック & アルバート』(約6万4000円)
高額アイテム中心のコーディネートにはなるが、ハイエンドブランドだけに偏らない独自のセレクトを差し込んだスタイルは、若手プレイヤーも見習いたいところ。
Photo by NBAE/Getty Images
個性が光るウェイドに対して、元相棒のレブロンは、流行を適度に取り入れたキレイめカジュアルを得意とする。
試合を欠場する際は、カットソーやニットの上にジャケットを羽織り、ボトムにはワックス・デニムなど光沢のあるパンツ、足元は契約先のナイキもしくはハイエンドブランドのスニーカーを選択することが多い。
Photo by Getty Images Sport
レギュラーシーズン最終戦を休養に充てたレブロンは、コービー・ブライアント引退記念仕様の『コービー 11』にスウェット地を使用した『バルマン』の刺繍入りブレザー、無地のカットソー、レザーパンツを合わせた。
以前にも同様のブレザーをコートサイドで着用していたが、バルマンらしい高貴なデザインが、“キング・ジェームズ”によく似合う。
Photo by Getty Images Sport
同期2人に劣らず、リーグ屈指のファッショニスタとして君臨するカーメロは、自他共に認めるハット好きであるが、ここではストリートスタイルの定番、スナップバックキャップを用いたコーディネートにフォーカスしてみよう。
Photo by Mizuho Nishio
以前より着用している地元ニューヨークのハットブランド『Twnty Two』のキャップに、カスタム仕様のシアリングピーコートを合わせたストリート感の強いスタイリングではあるが、オリーブグリーンのシャツなど、落ち着いた色合いで統一。加えて『ヴェルサーチ』のネックレスや、高級素材を用いたNBAグッズを展開するブランド『ジャスト ドン』による『エア ジョーダン 2』(日本での販売価格は8万8560円)でラグジュアリー感を演出。
Photo by NBAE/Getty Images
シーズンの幕が降りると、ウェイドらをはじめとするリーグのファッションアイコンたちは、様々な分野の著名人と並んで、各国のファッションウィークに出席し、セレブリティとして多忙な休暇を過ごしている。
オフシーズンは、移籍市場やドラフトの話題で持ちきりとなるが、今後はNBAファッショニスタの動向も楽しんでみてはいかがだろうか。
文:Yukee Abbé( UpscaleHype.JP ) Twitter: @YukeeAbbe Instagram: @YukeeAbbe