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[コラム]木村英里が語る、お洒落な選手、シーズンの楽しみ方、エンターテインメントとしてのNBA (UpscaleHype Japan)

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UpscaleHype (以下、UH):現在、NBAは世界で最もスタイリッシュなスポーツリーグといわれていますが、NBAファッションの歴史を紐解くと、先日来日したマイケル・ジョーダンとアレン・アイバーソンが大きな転機となっています。アイバーソンには馴染みがありますか?

木村英里(以下、木村):あります! といっても活躍していた当時に見ていたわけではないのですが、中学・高校のバスケ部の同級生が「アイバーソンが好き」と言っていたので、知ってる感じでした。

UH:WOWOWでご担当されていたときは、まだ現役でしたか?

木村:もう引退間際で、永久欠番のセレモニーを番組でご紹介させて頂いたぐらいですね。歴代の名場面を振り返る時に、アイバーソンがシュートを決めて対戦相手をまたいでいったシーン(2001年ファイナル第1戦)をみんなで観て……といった感じです。

UH:この2人の存在もさることながら、選手がここまでファッションを意識し始めたのは2005年に導入されたドレスコード以降と言われています。当時のドレスコード全文を改めて確認しましたが、いわゆるビジネス・カジュアル。一応、TシャツやスニーカーはNGになっていますが、最近はだいぶ緩くなってる気がしますね。

木村:そうですね~サンダルとかで来る選手もいるので(笑)。ただ、ファイナルとかに行ったときはキッチリしてるとか、使い分けはあるのでは? それでスタイリストを付けた人も多いって聞いたことがあります。

UH:アスリートのファッションが注目されること自体について、どう思いますか?

木村:私はスポーツのお仕事といってもサッカーとNBA、あとは少しテニスとゴルフぐらいですが、本当にお会いする人それぞれがファッションに気を使われていて、髪型もすごくこだわっていらっしゃいますよね。私が子供のときも幼馴染みがサッカーのバッジョの真似して襟足を伸ばしていたので、子供たちやみんなが憧れる存在の方々だから、そういった意味ではすごくいいなと思っています。

女性から見ても、バスケットやサッカーをプレイしていなくても、知らなくても、選手を知るきっかけになるのがファッションだったりしますよね、ショーとかに来る人を見て「この人、バスケ選手だったのか~」って思うこともあるでしょうし。バスケットを広めるとかサッカーを広めるって意味では良いアクセントになると思います。

UH:WOWOWでご担当されていた時代に、オンコート・オフコート問わず、スタイル的な視点から印象に残っている選手はいますか?

木村:まず、衝撃を受けたのがラッセル・ウェストブルック(オクラホマシティ・サンダー)。全身、柄に柄に柄って日本人だと絶対合わせないじゃないですか!? スーツもネクタイもシャツも柄で、そこに赤い眼鏡を合わせたり、なんかアニメの世界みたいで、すごく衝撃を受けましたけど、それを見ると絶対に忘れないですし、当時はNBAを知らなかったので、それで選手を覚えられたっていうのもあります。

本当にいろんな選手を見て、一番お洒落だと思うのがクリス・ポール(ロサンゼルス・クリッパーズ)。男女問わずお洒落だと思うんじゃないですかね。帽子の使い方も派手じゃないけど、すごくシックにまとまってたりとか、いつ見てもポールはかっこ好く決まってるな~って。

あと、ダブルのスーツが一番似合うのは、タイソン・チャンドラー(フェニックス・サンズ)。私がよく見た姿がダブルのスーツなんですけど、なかなかあんなにかっこ好く着こなせる人はいないんじゃないかと思います。

そもそも、みんな背が高くて手足が長いので、何を着てもかっこ好く映ると思うんですけど(笑)。

UH:ずるい感じがしますよね~(笑)。

UH:NBAではハットや伊達眼鏡が流行ってますが、男性に身につけてほしい小物や、これを着こなしていたらお洒落というアイテムはありますか?

木村:私は結構、眼鏡フェチなので、眼鏡をかけられていると……。

UH:日本でも取り入れてる人が増えましたよね、眼鏡の似合う人ってどんな人ですかね?

木村:う~ん「似合う・似合わない」が帽子よりも少ないので、万人が取り入れ易いアイテムというか、誰もが挑戦し易い。私も大きな縁の眼鏡は似合わないんですけど、それぞれ似合う形があるので、チャレンジし易いと思います。

帽子はやっぱり難しいなって。NBA選手がスーツとかに合わせて縁の広いハットを被ってるじゃないですか、かっこいいって思うんですけど、あれは、背が高くて顔が小さいから似合うのかなと……(笑)。

日本人とか海外の選手とか関係なく挑戦できるのが、サングラスや眼鏡、ネックレスとかアクセサリー類ですかね、ハットだと下の洋服とかもすごく考えないといけないですし。

UH:選手たちはスウェットなどカジュアルな服装と、スーツスタイルを使い分けていますが、女性受けが良いのはやっぱりスーツでしょうか?

木村:スーツのほうが気にはなりますね、それこそパーソンズが普通の紺のスーツに、白のシャツで会場入りした時に「わっ」ってなったことがあって。今のスーツってラインがすごく出るので、スタイルが際立って見えるというか。よりスマートに見える。シンプルなのについ目がいってしまうので、やっぱりスーツかなと。もちろんTシャツにジーンズも素敵だとは思いますけど。

UH:デザイン的に好きなロゴのチームやユニフォームはありますか?

木村:今シーズンは5つのチームのロゴが変わったと思うんですけど、その中でも私はバックスが気に入っています。深緑とクリーム色のロゴに変わったんですよ。最初は「ちょっと地味じゃない?」と思ったんですけど、よく見るとシックでお洒落だったんですよ。なので、今シーズンはそこのロゴに注目しています。あとは、私自身がブルー系の色合いが好きなので、ウォリアーズとかマブスとか。個人的にお土産とかで買ったTシャツでお洒落だなと思うのはネッツですね、黒地でNETSって入ってるだけのシンプルな感じなんですけど。あのご夫妻(ジェイ・Zとビヨンセ)だったので、お洒落なのは当然なのかもしれないですけど(笑)。女性らしいラインで袖や丈も短く、奇麗なVネックで横も絞ってあって、かわいらしく女性らしく普通に着られるのがネッツでしたね。

UH:ニューヨークといえば、昨シーズンのオールスター開催地ですが、期間中のファッション・コンテストは映像でご覧になりましたか?

木村:パーソンズとJ.R.・スミスがおどけているのをVineとかで見て、「JRには勝てるだろ~」って思ってたんですけど……。

UH:勝ったのはJRでしたね(笑)。

木村:そう! 日本とアメリカでは違うな~って(笑)。

UH:最近では、ハイエンド・ブランドでもバスケットボール関連をモチーフにしたアイテムを出したり、女性でもストリート・スタイルに特化したモデルさんがいたりします。

木村:街を歩いてても、バスケットプレイヤーでなくても女性がひざよりも丈の長いスカートにバッシュを合わせたりしてるの見ると、普通のスニーカーよりも形がかっこ好いし、ガーリーな格好にも合わせられるんだ~って思います。

UH:スニーカーがファッションに取り入れられてるのは、NBAやジョーダンの功績なのかなって思います。

木村:去年の8月の全米オープンテニスのときに、テニスのロジャー・フェデラー選手とジョーダンがコラボしたんですよ。その靴を見たときに、普段はテニスシューズにそこまで興味がない私が、履かないけど飾るために買おうかなって本気で悩むぐらいかっこよくて! ジョーダンとフェデラーのロゴが両方入ってるのは、バスケとテニスのてっぺん取ったようなものなので(笑)。バスケだけじゃなくて、他のスポーツともコラボレーションできるのはすごいなと思います。

UH:ジョーダン ブランドも他のスポーツ選手と契約しているので、エア ジョーダンのデザインなんだけど、下がスパイクみたいなものがありますよね。

木村:スポーツのジャンルを超えて、ファッションのアイテムとして一つになるのは素敵だなって。テニスのファンがバスケに触れるきっかけにもなりますし、バスケのファンがテニスに触れるきっかけにもなると思います。

UH:では、木村さんが選ぶ「All NBAファッションチーム」は?

ガード部門:
クリス・ポール
ラッセル・ウェストブルック
コービー・ブライアント
ステファン・カリー

木村:先日、カリーが来日したじゃないですか、インタビュー中はもちろんアンダーアーマーさんの格好だったんですけど、待ってるときにホテルのロビーにお茶しに来たんですよ。そのときの格好が超シンプルだけど、とてもかっこ好くて、シンプルなネイビーの襟付きのニットに、グレーのスーツパンツで来たんですけど。カリーも実はすごくお洒落なんだなと思いました。

コービーはやっぱりスーツですよね。黒のシャツに黒のタイに黒のスーツが世界一似合うのはコービーだと勝手に思っていて、さすがブラック・マンバ(コービーのニックネーム)だと思うんですけど。全身黒尽くめが本当にかっこ好いと思いました。

フォワード・センター部門:
チャンドラー・パーソンズ
カーメロ・アンソニー
レブロン・ジェームズ
アマレ・スタウダマイアー
タイソン・チャンドラー

木村:もちろんダントツでチャンドラー・パーソンズですが……ゆずの北川悠仁さんが、昨シーズンのオールスターの時に現地に行かれてて、カーメロにすれ違って一言目が「メロやっぱお洒落でかっこ好い~!」だったので、男性もそう思うんだな~って、そのときにすごく思いました。

アマレはこだわってて、着こなしてる感がすごいですね、今シーズンからマイアミなので、これからはTシャツばっかりかもしれないですけど。

UH:この中で、MVF (Most Valuable Fashionista)を選ぶとしたら?(※チャンドラー・パーソンズを敢えて外して選んでもらっています)

木村:クリス・ポールかカーメロ・アンソニーの戦いにはなると思うんですけど……カーメロのほうが絵になっちゃうんですよね~ プレイとチームでしばらく表に出られない分、ファッションだけでも……(笑)。

UH:オールスターでのファッション・コンテストも一つの試みだと思いますが、NBAがリーグとしてお洒落な側面を打ち出しているような気がします。今後、何か期待することはございますか?

木村:ファッション・コンテストもすごく面白いと思うんですけど、ただキメている姿じゃなくて、会場入りする瞬間だったり、選手の素顔や日常的なファッションを見られる機会がもっともっと増えるといいなーとずっと思ってて。ダラスだと試合の日は、TwitterとかVineで選手の入りのシーンを絶対アップしてるんですよ。そうすると選手がどういうファッションで来たかってわかるじゃないですか。チームとしてはもちろんファッションじゃなくて、会場入りの瞬間の表情を見せたいのでしょうけど、全身が映るので「今日のこの格好好きだな」とか「この靴かわいいな」とか「今日手ぶらなんだ」とか、そういうのが見られるのは嬉しいなと思って。決めてるわけじゃなくて、ただ普通に歩いてくる動画だから、プライベート感と、だけどちょっとショーぽいというか、両方が味わえますよね。写真だとちょっと下向いてたり、決めてるかどっちかじゃないですか。動画だと通り過ぎていく瞬間を後ろ姿まで追っかけていたりするので、「実はニットの後ろにすごいロゴがついてた!」とか、そういうのが見られたり。

UH:今まで選手の素顔を垣間見れつつっていうのが、そこまでなかったのかもしれませんね。各チームのSNS担当にどんどん頑張ってもらいたいですね(笑)。

木村:そうですね、もっといっぱいアップしてもらえたら面白いかもしれないですね。

UH:最後に、これからNBAをご覧になる方々に、NBAの楽しみ方をお伝えいただけますか。

木村:私も3~4年前に初めてお仕事で関わって、それまで全く接点がなかったので、正直、かっこ好い選手、お洒落な選手探しから入ったんですよ(笑)。自分がプレイヤーでもないですし、プレイの凄さは見てわかるけど、選手覚えられないし……ただ、他のスポーツと比べて、迫力とスピード感はダントツであるんですよね。飛びながら移動してるし、同じ人間と思えないプレイで試合中は魅了される。でも試合の前後で見られる選手のお洒落やハーフタイムとかも凝ってるので、スポーツというよりもひとつのエンターテインメントって感じで見ると、より面白いんじゃないかな~って思います。

手足が長くて身長も高いからですけど、かっこ好い選手がすごく多い。女性としてはそこは大事なポイントなので(笑)。少女漫画に出てくるようなスタイルの持ち主がたくさんいるので(笑)、ちょっと現実離れした人たちが現実離れしたプレイをしてるって目で楽しんでもらえると、女性も面白いんじゃないかなって思います。必ずしもプレイだけを見なきゃいけないわけじゃないですし。私も勝手に楽しんでいるので(笑)。

文:Yukee Abbé( UpscaleHype.JPTwitter: @YukeeAbbe Instagram: @YukeeAbbe
撮影: Koto Nakamura

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ