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［イラストコラム］ブルック・ロペス来日裏話（西尾瑞穂）

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先週の5月30日から6月3日にかけて、テレビ番組やNBAファイナル観戦パーティーへの出演、始球式の登板などを精力的にこなしたブルックリン・ネッツのブルック・ロペス。彼の日本滞在中、私は連絡係兼通訳として多くの時間を彼と共に過ごしました。そこで、今回は彼の人柄が垣間見られるような“ブルック・ロペス来日裏話”をいくつかご紹介します。

仲良し兄弟

一部SNSなどで話題になったのでご存知の方も多いと思いますが、今回のブルック・ロペス来日のタイミングに合わせて、双子のロビン・ロペス（シカゴ・ブルズ）と彼らの兄（4兄弟の次男）もプライベートで来日しました。

NBA選手が来日する際に家族や恋人・友人が一緒に来ることは良くあることなのですが、ロビンは「今回の来日の主役はブルックなので自分が目立ってはいけないし、主催者にも気を使わせたくない」と考え、プライベートで来日することを選択しました。そのため、ロビンと彼らの兄の旅費は完全に自腹で、今回の滞在中にロビンがブルックの公式なイベントに同行したのは6月1日の始球式のときだけでした。

彼らは野球が大好きで、日本のプロ野球にももともと興味を持っていたので、始球式にだけはロビンも同行しましたが、その際もブルックだけが注目されるようにと、ロビンは絶えず一歩引いて目立たないようにしていました。とはいえ、7フッター（213cm）なのでどうしても目立ってしまいましたが（笑）

私はロペスの母親と兄弟（4人兄弟でブルックとロビンの双子は末っ子）にも会ったことがあるのですが、彼らは本当に仲の良い家族です。彼らの母親に仲良し家族の秘訣を聞いたところ

「私たちは家族を1つのチームと考えていて、お互いを尊重し、サポートし合っている」

と言っていました。そんなロペス一家にあって、飛び抜けて仲が良いのが、ブルックとロビンの双子です。

今回の日本滞在中も、晩御飯の後に宿泊先のホテルに帰るとき、ブルックとロビンだけはホテルの少し手前で我々に別れを告げ、2人だけで少し散歩してからホテルに戻っていました。きっと、仲の良いロペス一家でも踏み入ることができない、幼い頃から彼ら双子の間だけで培ってきた、2人だけの特別な時間があるのではないでしょうか。

彼らが旅に出る理由

ロペス兄弟といえば毎年夏にプライベートで来日していることで有名ですが、そもそも彼らは旅行が大好きで、毎年オフシーズンになると様々な国を旅しています。その理由について、今回彼らに同行していたエージェントが興味深い話を教えてくれました。

「大金を手にしたNBA選手の中には、必要以上の豪邸を買ったり、毎年のように高級な新車を何台も買う選手も大勢いる。しかし、ロペス兄弟はそれらにお金や時間を費やさない。彼らは『NBA選手は1年の半分以上の時間をバスケットボールに費やしている。だから僕たちは、バスケットボール以外の限られた時間の中で出来るだけ多くの国を旅して、自分たちの目で世界中を見て回りたい』と言って、オフシーズンになると必ず旅に出るんだ」。

そんなロペス兄弟にとって、今回ブルックが日本に招待されたことは願ってもない機会でした。ブルックはイベントの空き時間になるとすぐに兄弟と合流し、そのときに与えられた自由時間の長さと自分たちの行きたい場所の候補を吟味し、時間内に行けそうな場所まで電車やタクシーを駆使して自力で移動しました。

もちろん主催者側は彼らに頼まれたらすぐにドライバー付きの車を手配する準備ができていたのですが、その国のリアルなライフスタイルを肌で感じることこそが彼らの旅の目的であり、また、彼らの中に「自分たちの個人的な観光なのだから周りの人々の手を煩わせたくない」という意識があり、彼らのほうから主催者に車を要請することは今回の滞在中に一度もありませんでした。

ブルックたちはいつも通りディズニーランドに行ったり、馴染みの寿司屋に行ったりして日本滞在を楽しみましたが、今回プライベートで訪れた場所の中で一番印象に残ったのは東京スカイツリーだそうです。

非常に限られた時間だったので東京スカイツリー展望デッキまでしか上がれなかったのですが、以前から行きたかった場所なので、今回の来日でその夢が実現したと喜んでいました。

東京スカイツリーの下にある東京ソラマチでのショッピングも満喫し、彼らの大好きなスタジオジブリのショップで大量のお土産を買っていました。なかでもブルックが気に入っていたのは「キキのほうき」という『魔女の宅急便」のグッズです。彼が全長90cmほどの小さなほうきにまたがって遊んでいる様子を想像すると、なかなか微笑ましいですね（笑）

Brook Lopez by Mizuho Nishio