休養目的で選手を欠場させる手法については、議論が絶えない。そんな中、NBAを代表するヘッドコーチたちが自論を展開した。
最も興味深い案を提示したのはゴールデンステイト・ウォリアーズのスティーブ・カーHCで、仮に過密日程を避けるためレギュラーシーズンの試合数を減らす場合、減俸も受け入れることを示唆している。
3月21日(日本時間22日)にアメリカン・エアラインズ・センターで行なわれたダラス・マーベリックス戦前、カーHCは「私の報酬が減ることに異論はないが、この案は全員が同意しなければ実現は難しいこと」と話した。
「仮に75試合に試合数が減るだけでも、日程は劇的に変わると思う。だが、選手にとっては報酬が絡むことなので、実現するとは思えない。ひょっとしたら問題が解決されるかもしれないし、解決されないかもしれない。ただ、リーグが来季に向けて検討している案にとっても、(減俸受け入れは)大いに役立つだろう。日程を組む上で、各チームの地理的な移動について検討しているなら尚更だ」。
NBAコミッショナーのアダム・シルバーは、今週に入り同問題について各チームにメモを送付し、「リーグにとって著しく重要な問題」であると通達している。特に、全米中継される試合でスター選手に休養を与えるチーム決定は、パートナーシップを結ぶテレビ局の怒りを買う行為以外の何ものでもない。
HCたちもテレビ局、ファンの苛立ちには理解を示している。だが、最終的には選手の気持ちに寄り添い、選手にとって適切な決定を下したいと考えている。
NBAコーチ協会会長を務めるマブスのリック・カーライルHCは、『Dallas Morning News』に対し「このリーグで何年かHCを務めると、選手の気持ちが痛いほどにわかる。心身両面の擦り減り具合、体力レベルなどが手に取るようにわかる。それに、長期的な視点で考えた場合、試合が続く時期に、戦術的な兼ね合いで選手に1試合でも休養を与えることが大きな変化を生み出すことに気づく」と語った。
「これは報道されるべき話であって、現在の日程を考えると、選手に休養を与えることが本当に適切な時期があるんだ。もちろん、周囲の抗議や怒りは理解できる。正当な懸念だとも思う。特に、テレビ側の出資額を考えれば当然だ。その点は我々も理解している」。
レギュラーシーズン中に主力選手に休養を与える方針を何年も続けているサンアントニオ・スパーズのグレッグ・ポポビッチHCの意見は、カーHC、カーライルHCとも異なる。
ポポビッチHCは『Star Tribune』に「何のルールもないので、厄介で、複雑な問題だ」と話した。
「それに、ルールを定めるのも難しい。リーグには、現代のNBAが以前とは比べ物にならないほど高度に複雑化しているということを理解してもらいたい。我々の努力によって、選手寿命は間違いなく延びている」。
ポポビッチHC、さらにこうも続けた。
「そこで取引だが、ある選手のプレイをたった1試合だけで見たいのか、それとも彼の選手寿命を3年延ばしたいのか、いったいどちらなんだ?」。
原文:Steve Kerr open to taking less money if the NBA shortened its season by Jordan Heck/Sporting News