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大型契約を手にするブラッドリー・ビールが進むべき道

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2013年の夏、当時オールスターに1度も選出されたことのなかったジョン・ウォールは、プレイオフ出場経験もなかった2012-13シーズン、ワシントン・ウィザーズは29勝53敗でレギュラーシーズンを終え、ウォールはその年、33試合を欠場した。それでも、シーズン終了直後、ウォールはチームと5年8000万ドル(現在のレートで約82億1300万円)のマックス契約を結んだ。

それから3年後、チームメイトのブラッドリー・ビールもまた、同様の道を辿ろうとしている。

まだオールスターに選出されたことのないビールは、昨シーズン負傷の影響もあり、決して良いシーズンを送ったとは言えない。それでも、マックス契約の限度額が増額されたことで、先輩ウォールよりも大金を手にすることができる。

The Verticalによれば、今オフにフリーエージェントとなるビールは、ウィザーズと5年1億2800万ドル(約131億4300万円)のマックス契約に合意したという。正式契約は、他のFA選手との契約が済んだ後の7月下旬になる見込みだが、すべてが順調に行けば、ビールは昨季よりも戦力が上のチームの主力ということになる。

ビールの才能は紛れもなく本物だ。レイ・アレンを彷彿させるナチュラルなストロークを持ち、オールスターに選ばれても不思議ではない選手の1人だ。もちろん、マックス契約を手にできるだけの選手でもある。

彼の問題点は大きく分けて以下の3点だ。

1. 指導者の期待に応えらていない
2. 負傷が多い
3. アウトサイドシュートの技量を生かしきれていない

ウィザーズのヘッドコーチに就任したスコット・ブルックスならば、1つ目の問題点を改善させられるかもしれない。

オクラホマシティ・サンダーのHC時代には、ジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)を除いてシューティングガードを育てられなかったが、ブルックス新HCはビールが最も輝く3ポイントライン周辺でプレイさせるはずだ。昨季は試投したフィールドゴールの33.9%が3Pというキャリアハイの数字を残したビールだが、ゴールデンステイト・ウォリアーズのクレイ・トンプソン(46.9%)、ロサンゼルス・クリッパーズのJ.J.・レディック(47.8%)、ダラス・マーベリックスのウェスリー・マシューズ(61.5%)と比較すると、その差は歴然だ。

けがを防ぐ方法は、可能な限りベストなコンディションを整える、もしくは復帰を急がせないことくらいしか思いつかない。ビールは負傷歴こそあるものの、昨季も27試合の欠場にとどまるなど、そこまで大きな不安はない。

上記の2点以上に問題なのは、あらゆる面で十分なインパクトを残せていないことだ。ディフェンス、リバウンド、ボールハンドリング、パスのすべてにおいて高い能力の持ち主である片鱗こそ垣間見せているものの、プレイオフ進出が最低限の目標となるチームのNo.2としては、頼りない。ブルックス新HCは、ビールを今よりも完成された選手に成長させようとするだろう。1試合平均25得点を記録する力がないのであれば(昨季は17.4得点、FG成功率44.9%)、得点能力だけでは不十分だ。

だが、このような不安は、ウォールのときにもあった。2013年に大型契約を締結後、彼にある質問をしたことがある。ビールのように制限付きFAとなる過程を踏まず、5年のマックス契約を手にできたことに驚いているどうか、と――。

するとウォールは、「驚きはしなかった」と、即答した。ウィザーズが賭けに出た、という意見に対する、ウォールなりの反論のように思えた。

ウィザーズは賭けに出たのだ。今でこそ覚えている人も少ないかもしれないが、2013年当時、周囲はウォールが健康体を維持できるか、ジャンプシュートをレベルアップさせられるか、ペースを抑制する術を身につけられるかを不安視していた。しかし、ウォールは見事に期待に応え、ビールという右腕と共に、2013-14シーズンから2年連続してチームをプレイオフに導いた。

ウォールは、自分がマックス契約を得るに相応しい選手であると認めさせた。ウィザーズが再びイースタン・カンファレンスのエリートチームとなれるかどうかは、ビールの成長にかかっている。

原文:Bradley Beal gets his huge contract; now he needs to follow John Wall's lead by Adi Joseph/Sporting News

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