コービー・ブライアントが語る「怪我」「リーダーシップ」「引退」 (菅野貴之/Bond)
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コービー・ブライアントが語る「怪我」「リーダーシップ」「引退」 (菅野貴之/Bond)

「リーダーは孤独。リーダーが快適に過ごしているようなチームは負ける」

やれるかを試したい。できるかやってみたいんだ

2015 NBAオールスターゲームの翌日にあたる現地16日、NBA TVでコービー・ブライアント(ロサンゼルス・レイカーズ)の独占ロングインタビュー『Kobe: The Interview』が放送された。収録されたスタジオには、新人時代から現在に至るまでのキャリアを象徴する各年代のポートレイトが展示され、ブライアントはインタビュワーを務めたスポーツキャスターのアーマド・ラシャドと雑談形式で質問に答えた。

今季終了の要因となった右肩の負傷について聞かれたブライアントは、MRI検査の結果、同箇所回旋筋腱板が以前から断裂していたことを明かした。

ブライアントは、ここ数年でアキレス腱断裂、左すねの上部にあたる左腓骨プラトー骨折という重傷をも乗り越えてきた。もはや克服不可能な怪我などないのではないか、という質問に対し、本人は、「アキレス腱断裂は悪魔の呪いかと思った」と、笑顔を交えながらもその壮絶さを告白している。

また、怪我からの復帰については、「いつだってゴールを見据え、毎日すべきことを続け、集中してすべてに取り組む。(なぜ復帰への意欲が強いのか?)やれるかを試したい。できるかやってみたいんだ」と語った。

現役NBA選手の中で最も勝利への情熱、意欲を持った選手の1人であるブライアントは、NBA入り当初から、できる限り多く優勝することを目標に掲げてきた。そんな彼が、現役選手の中で自分と同じくらいの情熱、熱量を持った選手の1人として、ラッセル・ウェストブルック(オクラホマシティ・サンダー)をあげた。

「積極性があり、若い頃の自分を見ているようだった。彼は僕を満足させてくれたよ」。

名門レイカーズでスター選手となったブライアントにとって、キャリアの分岐点となる大きな出会いはいくつもあった。憧れのマイケル・ジョーダンとの対戦しかり、ジョーダン時代のシカゴ・ブルズに2度の3連覇をもたらした名将フィル・ジャクソンとの出会いもその1つだ。若い頃は何も考えずにプレーしていたというブライアントに、精神性、心構えを学ぶきっかけを与えたのは、“禅マスター”こと恩師ジャクソンだった。

エゴを抑え、より効果的なアプローチを取る手法を身に付けるようになったブライアントの成長を促したのは、ジャクソンと共にブルズ黄金期を作り上げた、テックス・ウィンター考案の“トライアングル・オフェンス”。当時は、全試合の映像を試合開始から終了まで見て各プレーを分析していたようで、そのおかげで常に三手、四手先まで読めるようになり、チームメイトを正しいポジションに操作できるようになったと、ブライアントは振り返っている。


リーダーが快適に過ごしているようなチームは負ける

シャキール・オニールとのデュオで2000年からスリーピート(3連覇)を達成し、レイカーズは黄金期を築き上げたはずだった。だが、両者はプレースタイルに対する意見の相違で衝突し始め、レイカーズはオニールをマイアミ・ヒートにトレードし、ブライアント時代のチームに方向を転換。周囲からは、「シャック抜きでは優勝できない」と批判されたが、リーダーとなったブライアントは、そうした逆風を歓迎したという。


優勝すればするほど、勝てば勝つほど、その地位を他者に渡したくはないという欲が増し、勝利に対する気持ちがいっそう強まった。ミスを犯せばチームメイトだろうと容赦せずに罵声を浴びせるリーダーとして知られるブライアントは、チームを引っ張る立場について、「孤独」と表現した。

「リーダーは孤独。上手くいかないときは、いくようにする。だからリーダーはタフであるべき。リーダーは衝突を恐れない。何にも満足しない。リーダーは快適ではない状況にいないといけない。チームメイトを急き立て、駆り立て、能力の限界を引き出す。リーダーが快適に過ごしているようなチームは負ける」。

そんな彼はキャリア5度の優勝を経験しているが、本来なら7回優勝していたと強く主張する。2003-04シーズンのファイナル(対デトロイト・ピストンズ)、そして2007-08シーズンのファイナル(対ボストン・セルティックス)での敗戦は、いまだに記憶から拭い去ることのできない屈辱なのだろう。特に長年のライバル関係にあるセルティックスとのシリーズについては、「今でも、『あの時に勝てていたら』、『勝ちたかった』と思い出して腹が立つことがある」と言うほどだ。


もし片腕を失っても現役を続けるか?

今季も重傷により後半戦前に残り試合の全休が決まったが、明るい兆候も見えているようだ。

「20代からそうだったように、僕の目の前にはいつだって次の目標や試練があった。それが大きな怪我をして、ベッドに横になり、ギプスをはめ、何もできないとき、『これを乗り越えて、また次の目標を立てられるようにならないといけない』、そう思った。怪我をしても目標があるから、長期のプロセスにも耐えられる」。

インタビューの最後、ブライアント本人も「いつ撮影された写真か覚えていない」と語った正面を向いた1枚のポートレイトが映し出された。ラシャドは現役引退の時期について、「もし片腕を失っても現役を続けるか?」と、ジョークを交えながらストレートに質問した。

「僕だっていつ引退するのか知りたい。もし片腕を失ったら辞めるかもね(笑)。でも、それでもプレーできるんじゃないかな。左腕だけでスカイフックとかね(笑)。僕は自分が変わることを恐れない」。

マイケル・ジョーダン、ジョン・ストックトン、クライド・ドレクスラーらパイオニアたちがそうだったように、コービー・ブライアントであっても、全盛期だった頃には戻れない。肉体的な衰えを精神的、技術的な成長で上回り、数々の偉業を成し遂げてきた彼が見据える“次の目標”とは、何なのだろう?

苦しいリハビリを乗り越え、再びコートに立ったとき、そこには今まで通り勝利への情熱に溢れたコービー・ブライアントがいるはずだ。

文:菅野貴之(Bond) Twitter: @10bond

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