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[インタビュー]アンドレ・イグダーラ「東京の街を堪能したい」

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――ようこそ日本へ。日本へ来るのは初めてですか? 日本に来る前、どんな印象を持っていましたか? 実際に来てみてどんな印象を持ちましたか?

日本には初めて来たよ。でも日本にはたくさん友達がいるから、日本がエキサイティングで活気溢れ、時代の最先端を行く場所だという話は以前から聞いていたんだ。実際に来てみて、彼らの言う通りだと感じたし、日本の人たちはとても親切だね。それから、今朝食べた朝食が最高だったので、美味しいものをたくさん食べたいと思っている。これからの滞在が楽しみだよ!

――優勝を成し遂げたシーズン直後の夏は大変忙しいと思います。なぜ日本へ来ようと思ったのですか?

今まで行ったことがない場所に行きたかったので、今回が良い機会だと思ったんだ。東京の街を堪能したいね。

――今回のツアーで、ラリー・オブライアン・トロフィーとビル・ラッセル・ファイナルMVPトロフィーも一緒に持ってきていますね。この2つのトロフィーを手に入れたことは、あなたにとってどんな意味がありますか?

ラリー・オブライアン・トロフィーを獲得したことが、僕にとってはより大きな意味を持っているよ。チーム一丸となってシーズンを通して良いプレーを続けることは、とても大変なことだったからね。

――ウォリアーズに来て2年目で優勝を果たしました。チーム内であなたはどんな存在ですか? 

チームのためならば何でもやりたいと思っている。プレーメーカーとしてオフェンスをセットアップしたり、相手のエースを抑えたりね。今年のファイナルのように、得点するように指示されれば得点も決める。チームからの要求には何でも応えられるように、いつも準備を整えているよ。

――チームメイトは、あなたをどのような存在だと思っていると思いますか?

アイツら、僕のことをどう思ってるんだろうなぁ~(笑)。クレイジーなヤツだと思ってるかもね(笑)。いろいろな意見が出てくるだろうけど、僕がいつも真摯に試合に向き合い、とにかく勝利にこだわる男だと思ってくれているはずだよ。

――あなたはリーグ内でも非常に尊敬されている選手の1人だと思います。他の選手から敬意を感じることはありますか? また、それはなぜだと思いますか?

確かに敬意を感じることはあるね。NBAで長くプレーしてきたから、より良い選手になろうとしてきたし、ゴートゥーガイやロールプレーヤーなど様々な役割もこなしてきた。そういった経験を他の選手に伝え、いつも彼らを支え、そして彼らと競い合ってきたからこそだと思う。

――あなたはバスケットボールに対して非常に真面目で、コンディション作り、試合への準備もしっかりとこなす真のプロフェッショナルです。そのような真面目な性格をどのようにして身につけたのでしょうか?

僕は子供の頃からいつもバスケットボールをやっていて、ずっと競い合ってきた。競い合うためには絶えずトレーニングして良いコンディションを保ち、試合のために準備しておかないといけない。そういった習慣が自然と身に付いたんだと思うよ。

――大学時代は学業成績も優秀だったそうですね。アスリートにとって学業はどのくらい大切だと思いますか?

僕個人に関して言うと、とにかく勉強したかったんだ。競い合うのが好きだったから、学校のテストでも負けたくなかった。そういったチャレンジ精神を育むことは、学業だけにとどまらず、スポーツの分野でも活かされると思うよ。

――世界選手権(2010年)、ロンドン・オリンピック(2012年)での金メダルに加えて、NBA優勝とファイナルMVPを獲得した今、バスケットボール人生でやるべきことはすべて成し遂げたようにも見えますが、 今後の目標は?

来シーズンもNBAで優勝することだね。2度優勝すること、しかも連覇することは、とても大変なことだ。よりチームの安定感を上げ、チームメイトのモチベーションを高め、自分自身ももっとチームに貢献できるように努力したい。

――その目標を達成するため、モチベーションを維持するために意識していることはありますか?

アメリカンフットボールの試合を観たり、他の競技のアスリートが活躍する姿を見たり、昨シーズンのファイナルの試合を見返すことで、トレーニングにも気合が入るし、モチベーションも高まるよ。

――2004年にフィラデルフィア・76ersにドラフトされたとき、今のキャリアを想像したことはありますか? 

全く想像もしなかったね。でも、自分がプロで通用する自信はあったし、NBAで戦う準備もできていたから、当時はとにかくコートに出てプレーしたいと思っていた。事実、すぐに出場機会を得られたし、それ以降も毎シーズン着実に成長を続けられたと思う。

――2005-06シーズン途中までの約2年半、あなたはアレン・アイバーソンと76ersでプレーしました。当時、あなたとアイバーソンとの関係はどんなものでしたか? 

アイバーソンとはとても良い関係だったよ。僕はまだ若い選手で、彼は殿堂入りクラスの素晴らしい選手だったから、彼からたくさんのことを学んだよ。なかでも、熱いハートを持ってすべての試合に臨む姿勢に感銘を受けた。彼はコート上で一番小さな選手だったけれど、ひとたびボールを持ったら一気に心に火をつけて全力でプレーし、試合にインパクトを与えることができたからね。

――アイバーソンとの最も良い思い出について話してもらえますか?

ニューヨークへ遠征に行ったときに、彼と2人きりで夕食を食べながらいろいろなことを話して、お互いのことを深く知ることができたんだ。それが彼との一番良い思い出だね。

――アリゾナ大学のルート・オルソン、76ersのラリー・ブラウン、USAナショナルチームのマイク・シャシェフスキー、ナゲッツのジョージ・カール、ウォリアーズのスティーブ・カーと、あなたは多くの名将と呼ばれる偉大なヘッドコーチの下でプレーしてきました。彼らの教えや哲学について、最も印象に残っていることは何ですか? 

コーチK(マイク・シャシェフスキー)のモチベーターとしての手腕にとても感銘を受けたよ。彼は、どの試合も「これが自分にとって最後の試合になるかもしれない」という引き締まった気持ちにさせてくれる。最後の試合というのは、つまり「負けたら終わり」の一番重要な試合だ。しかも僕らはアメリカを代表していたから、なおさら1試合1試合が大切だったんだ。コーチKは試合前にいつも自分たちがどれだけその試合に向けて準備してきたかについてスピーチし、チームを勢いづけた。彼は今まで出会った中で最高のコーチの1人だと思うよ。

――あなたはプロ入り当初から非常にバランスの良い、屈強な体格をしています。昔から何か特別なトレーニングをしてきたのですか? また、体型やコンディションを維持するために気をつけていることはありますか?

特に特別なトレーニングはしていなかったよ。プロ入りに向けて、ティム・グローバーら素晴らしいトレーナーに恵まれたし、自分自身もトレーニングをする習慣がもともと身についていたから、NBAで通用する体型が出来上がっていたのだと思う。そして、この体型やコンディションを維持するために、苦労をいとわずにひたすら努力を続けているよ。

――学生時代は陸上の選手としても優秀だったそうですが、もし陸上選手になっていたら、と想像することはありますか? 陸上でも金メダルを狙えたのでは?

高校に入ってバスケットボール選手として活躍する以前は、陸上選手になることも考えていたよ。僕は身長も高かったし、かなりの技術も持っていたので、高校時代は「陸上で金メダルを獲れるかも」とも思ったよ。でも、どうなっていたかは神のみぞ知るところだからね(笑)。とにかく、僕は陸上も楽しんでいたよ。楽しむことが何よりも大切だからね。

――あなたはオフコートでは非常にオシャレだし、洋服のブランドのディレクターをしているそうですね。洋服やオシャレは好きですか? どんな格好が好みなのですか?

洋服やオシャレは好きだよ。服装というのは多種多様で、どういう洋服を選ぶかでその人がどんな人間か表現できるからね。僕にとって洋服は、自分自身だけじゃなく自分の家族を表現するものでもあるんだ。僕は、トレンドに流されない普遍的な格好(timeless looks)が好きだね。今撮った写真を20年後の若い世代が見ても「カッコイイ」と言ってくれるような服を着るようにしているよ。

――あなたのインスタグラムには息子さんとの写真がたくさん投稿されています。息子さんとは普段どんな接し方をしている? 子育てをする上で気をつけていることは?

息子と僕はソックリなんだ。いつも面白いことをやって笑いあったり、バスケットボールをして遊んでいるよ。彼はバスケットボールの大ファンだからね。いつも2人の時間を楽しんでいるよ。子育てをする上で気をつけていることは、常に謙虚でいることだね。そして、僕の仕事を理解してくれる子供や妻に対して感謝の気持ちを忘れないことが一番大切だね。

――あなたは今31歳です。あとどれくらいNBAでプレーするつもりですか? また引退後に何かやりたいことはありますか?

いい質問だね。僕は、おそらくあと5年ぐらいプレーするんじゃないかな。できればそれ以上プレーできるのが理想だけどね。引退後は……まずは料理でもしようかな(笑)。それはさておき、まずはチームを所有することを考えているんだ。自分はコーチ向きではないから、オーナーやCEOなどビジネス面で関わりたい。そして、現在ディレクターをやっている洋服ブランドにもより深く関わっていきたいし、テクノロジー関連のビジネスでシリコンバレーにも進出していきたいと考えているよ。

――海外、たとえば日本でプレーするといったプランはありますか?

僕にはNBAがすべてだから、海外でプレーする気は全くないよ(笑)。まぁ、それでも何が起こるかはわからないけどね(笑)。

――ウォリアーズは来季2連覇を目指すシーズンを迎えます。日本のファンに何かメッセージをいただけますか?

ファイナルを観て応援してくれた日本のファンの皆様、ありがとう。今年はたくさんの人がファイナルを観てくれたようだね。チームメイト全員が日本のファンのサポートに感謝しているんだ。来シーズンもトロフィーを手にしたいと思っているよ!

インタビュー:西尾瑞穂(@jashin_mizuho)&木村英里(@kimuraeri

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