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ウォリアーズの圧倒的な強さをNBAコミッショナーは問題視せず

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ゴールデンステイト・ウォリアーズは昨年73勝9敗というレギュラーシーズン記録を打ち立て、今年は16勝1敗という圧倒的なプレイオフ成績で優勝を果たした。3年で2回の優勝、そして昨オフシーズンにケビン・デュラントを加えたことを不公平だと訴える声も少なくない。

しかしアダム・シルバーNBAコミッショナーは、問題はウォリアーズの卓越した力ではなく、残りのチームのレベルを上げることにあると『ザ・ワシントン・ポスト』のアダム・キルゴア記者に話した。

NBAコミッショナーのアダム・シルバーはゴールデンステイト・ウォリアーズを解体する気はない。他のチームに追いついて欲しいと願っている。

シルバーはウォリアーズのロスター構築とその強さに何も問題は感じていない。逆に、他のチームも負けじと戦力を上げてくることを望んでいるのだ。

「リーグの頂点を問題にするのではなく、残りのチームに集中すべきだ。優勝候補であるチームをいかに解体して止めるかを話すよりも、このリーグでどうすればたくさんの素晴らしい選手たちをもっと輩出することができるかが私の課題だ」と、シルバーはファイナル第4戦前に『ザ・ポスト』に語っている。

今年のファイナルMVPに輝いたケビン・デュラントと契約する前に、ウォリアーズは優れたドラフトや選手育成で成功したことをシルバーは指摘する。ドレイモンド・グリーンを全体35位指名で獲得し、クレイ・トンプソンを同11位、ステフィン・カリーを同7位で指名した。キャリアの早い段階からカリーの契約を延長したことによって、コアメンバーと重要なロールプレイヤーを維持することができたのだ。

「確かにそのチームにとんでもないフリーエージェントが加わったのは確かだ。ただ私が思うのは、『このリーグにもっと多くの強いチームを作り出すには何が必要か』という声ではなく『彼らは強すぎる』という声が多すぎるということだ」とシルバーは言う。

「一つのすごいチームの不公平性を考えるよりも、もっとすごいチームをたくさん作ろうというのが私の答えだ。それが競争というものの本質だと考えている。究極的には、全てのチームの水準をあげて、その卓越性を称賛することだ」。

シルバーは正しい。残りのチームもウォリアーズと競うことを試みるだろう。しかし5人のオールスターと戦う方法は一つしかない。自分たちもスターを集めることだ。「あの力に対抗できるロスターをいかに構築するか、多くのチームが答えを探し求めるだろう」と、第5戦のあとにレブロン・ジェームズはコメントしている。

しかしスターの数には限りがある。新しいCBA(労使協定)は他のチームがスター選手を奪うことを困難にする。NBAが新しい放映契約を結んだことによってサラリーキャップが急上昇するという異常な事態のおかげで、ウォリアーズがデュラントと契約することを可能にした。これが再び起きることはない。しかし、これまで以上に選手たちは自身の去就をコントロールすることが可能になり、契約するチームのために融通してあげるという選択肢もある。

単純な結論だと今NBAで起きているスター集めが過剰に進み、スター選手が揃う一握りのチームと、スターが一人もいない多くのチームという2つの階層が生まれることになる。全国的な人気を得るであろう巨大なライバル関係は作れるかもしれないが、ローカル局の視聴率や集客数は減ってしまうだろう。

「当然それは避けたい。スターは生まれるものなのか、それとも作られるものなのか? ただ今回の件は、たくさんのスター選手が『一緒にプレイするチームを決めてそこに行こう』と言って集まったわけではない。一緒にプレイするまではスターではなかった選手の集まりに、一人の素晴らしいフリーエージェンントが加わり、スティーブ・カーHCがまとめ上げたのだ」と、シルバーは話す。

スター選手が足りなくなるという潜在的な問題を、単純にスターを増やすことでNBAは解決できるとシルバーは信じている。海外からの選手が増えることでプレイのレベルが上がると考えているようだ。そして彼は、NBAの年齢制限を変えることで、リーグ入りする新人選手をより成長したスキルのある状態で迎えられるのでは、と考えている。

「ドレイモンドは大学に4年通った。ステフとクレイも大学で3年プレイしている。それが何を物語っているのか? 最低年齢を絶対に上げないといけない、ということには直結しない。けれども、彼らはどのように育成され、どのように素晴らしい選手になったのかを考える必要がある」と、シルバーは語っている。

「私の答えは、もっと強いチームをたくさん作ろう、だ」。

原文:Silver has no desire to break up Warriors, other super teams by NBA.com

[NBAファイナル2017総集編]ゴールデンステイト・ウォリアーズ 優勝への軌跡


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ