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[2017-18シーズン戦力分析]ゴールデンステイト・ウォリアーズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2017-18シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。最終回は、ゴールデンステイト・ウォリアーズ編をお届けする。

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2016-17シーズン成績:67勝15敗

新加入選手:オムリ・カスピ(フリーエージェント)、ニック・ヤング(フリーエージェント)、ジョーダン・ベル(ドラフト)

退団選手:イアン・クラーク、ジェームズ・マイケル・マッカドゥー

王座に座る存在が周囲を混乱させ、変化が必要な状況に追いやった結果、ウォリアーズは落ち着いて優勝を味わうことができた。そして、選手を手元に置いたまま今季を迎えられる。いったい、誰が彼らを批判できるのだろうか?

ローテーションの大多数が全盛期を迎えている今、ウォリアーズに必要だったのはハウスクリーニングではなく、ハウスキーピングのみだった。

ウォリアーズは今夏ステフィン・カリーとマックス契約を結び、ケビン・デュラントには優勝ボーナスを与えた。また、アンドレ・イグダーラ、ジャベール・マギー、デイビッド・ウェスト、ショーン・リビングストン、ザザ・パチューリアも残留させることに成功した。

すべての鍵を握ったのはデュラントだった。2016年夏にオクラホマシティ・サンダーを退団し、直近2シーズン連続してNBAファイナルに進出していたウォリアーズに移籍したデュラントは、市場価値を下回る金額でウォリアーズと2年契約を結んだ。それもこれも、イグダーラがチームに要求した3年契約を締結させるためだった。チームを優先するデュラントの行動だったが、コート内外で大金を稼ぐのだから、懐を痛めることもなかった。

デュラントは、今後数年以内に本拠地をサンフランシスコに移転させた後に大金を得る。それはカリーにも当てはまることだ。過去3シーズンもの間、カリーの年俸額はチーム5位で、シーズンMVPを2年連続して受賞した選手としてはプロスポーツ史上最も格安といっていい契約だった。今夏フリーエージェントになったカリーは、ようやく大金を手に入れた。つまり、ウォリアーズとの再契約はサプライズでもなんでもなかったのだ。

チームが粘り強く交渉したのはイグダーラのみで、焦点は3年目の契約だった。33歳のイグダーラは、ここ数シーズン続けて個人成績が減少傾向にある。それだけを踏まえればとても受け入れられない要求だったが、NBAファイナル2017、特に第5戦では好パフォーマンスを披露して優勝に貢献した。にらみ合いを続けた結果、両者は3年4800万ドル(約53億9900万円)という契約に合意。だがウォリアーズは、資金面でやや不利な立場に立たされてしまった。

選手との契約に使える資金が制限されている以上、イグダーラと同等の選手を獲得するのは簡単ではない。それに今回はデュラントの減額受け入れがなかったら、イグダーラを残せなかった。難しい交渉が済んだ後、ウォリアーズはサポーティングキャストとの再契約交渉にあたった。今夏を要約するならば、少なくとも選手は全員が満足いく契約を結べたと言える。

痛みを伴うのは、高額なラグジュアリータックスを支払うチームオーナーのみだ。チームの価値は本拠地移転後に高まり、より大きな儲けを得られる。つまり今のウォリアーズは金鉱だ。

今夏獲得した3選手は、ボブ・マイヤーズGMの手腕による手堅い補強になった。彼は上司であるオーナーに今年のドラフト2巡目指名権を買うよう頼み、オレゴン大学出身で203cmのベル(フォワード)を指名。すぐに成長が見込める選手で、チームの将来に役に立つ。

そのほかの2人はローテーションに加われるオムリ・カスピとニック・ヤング。特に謎めいた存在なのはヤングのほうで、以前よりも刺激的なチーム、いや、面白いチームにしてくれるだろう。一度リズムに乗った瞬間、ヤングは無意識的に得点を決められるスコアラーに変貌し、試合に強い影響を与えられるシックスマンになれる。

キャップスペースの問題があるとはいえ、ウォリアーズは幸運にも中心選手の残留に成功しただけでなく、今後が楽しみな新人選手を加えることにも成功した。このチームには大規模な補強は必要なかったが、今夏獲得した選手たちは、何か問題が起こったときにチームの助けになれる。

健康面が懸念されたスティーブ・カー・ヘッドコーチも、良好な体調を維持している。昨季は以前受けた腰の手術の後遺症による影響でプレイオフ中に長期間チームを離れ、ファイナルまで復帰できなかった。

カーHCの健康面に関しては不安が残ったものの、本人が退任を否定。2017-18シーズンは健康な状態で迎えられると明言している。再びシーズンを通じてチームの指揮を執れるか不安だったマネージメント側にとっては、朗報でしかない。

優勝に向けて全員が揃ったウォリアーズは今季も優勝候補の最右翼であり、2連覇の可能性は十二分にある。ヒューストン・ロケッツ、クリーブランド・キャバリアーズ、ボストン・セルティックスらライバルは大型補強を施したが、今夏ウォリアーズは商談をいくつかまとめたのみ。それはまるで、海を眺めながらラウンジチェアに寝そべり、冷たい飲み物を味わっていたかのようだった。

原文:30 teams in 30 days: Golden State Warriors seem primed for another dominant season by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)


2017-18 ゴールデンステイト・ウォリアーズ主要データ

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ