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[2017-18シーズン戦力分析]トロント・ラプターズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2017-18シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第24回目は、トロント・ラプターズ編をお届けする。

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2016-17シーズン成績:51勝31敗

新加入選手:KJ・マクダニエルズ(フリーエージェント)、C.J.・マイルズ(フリーエージェント)、OG・アヌノビー(ドラフト)

退団選手:デマーレイ・キャロル、ジャスティン・ハミルトン、コリー・ジョセフ、パトリック・パターソン、P.J.・タッカー

今夏はラプターズにとって大金を支払うタイミングだった。実際に気前よく資金を投じ、これまで成功を収めてきた主力を残すことに成功した。

カイル・ラウリーが残留し、今季も50勝前後は見込める。しかし、NBAファイナル進出には届かないだろう。

ラプターズの状況は決して悪くない。おそらく25チーム中22チームは、ドウェイン・ケイシー・ヘッドコーチが指揮を執り、マサイ・ウジーリGMが舵を取るラプターズと入れ替わりたいと思っているはずだ。トロントでのバスケットボール人気は高い。あまり知られていないようだが、現地のファンのサポートは熱く、主力がチームに残っている間はプレイオフ進出が期待できる。

だが、今夏ラプターズに他の選択肢はあっただろうか? 契約可能なフリーエージェント選手の中には、チームに劇的な変化を与えられる選手はいなかった。それにラプターズはポール・ジョージの獲得に関心を示さず、今夏スポットライトを浴びたゴードン・ヘイワードとは面談すらできなかった。

つまり、ラプターズにとっての最優先事項はラウリーとの再契約で、その次にサージ・イバカとの再契約、という順番だった。

ラウリーは実力のある選手で、昨夏ラプターズと再契約したデマー・デローザンに足りないものを埋めてくれる。強い精神力を持ち、チームを引っ張れる一流のポイントガードだ。1つだけ気がかりなことを挙げるならば、ラプターズはどのチームとラウリーを争ったのか、ということだ。

フィラデルフィア・76ersはラウリーに関心を持っていた。それはラウリーがフィラデルフィア近郊のビラノバ大学出身だったからで、76ersには必要だったベテランを獲得できるだけの資金もあった。しかし31歳という年齢による影響で、多くのチームはラウリーに高額契約を提示することを躊躇った。

最終的にラウリーとラプターズは互いに必要という結論に至った。もしラウリーが移籍すれば、ラプターズには代役はいない。ラウリーにとっても、ラプターズほど勝てるチームからのオファーがなかったからだ。双方にとってプラスにはたらく結果になったと言えるだろう。ラプターズは契約年数を3年に抑えられ、ラウリーは3300万ドル(約36億5400万円)もの年俸を受け取れる。

ラウリーは直近4シーズン続けてキャリアベストのパフォーマンスを披露している。4年前から平均得点は17.9、17.8、21.2、21.4得点を記録し、直近4年の平均フィールドゴール成功率は44%、昨季は3ポイントショット成功率でキャリアハイの41.2%をマーク。リーダーシップとプレイメークの技術に対する評価は高く、リーディングスコアラーのデローザンとの相性も良い。

よりサプライズだったのは、イバカとの再契約だ。オクラホマシティ・サンダー時代と比べると守備力も落ち、ブロックは2011-12シーズンの3.7から昨季は1年目以降としては最低の1.4にまで減少した選手で、1年目から数年目までよりも今の方が自信を持ってショットを放っているものの、ラプターズではペリメーター内に限定された役割を担っているため、フリースロー試投数にも影響が出ている。

それでも、ラウリー、デローザンに次ぐ3番手の選手として、ラプターズは3年6500万ドル(約71億9700万円)で再契約した。ラプターズ以外でイバカにこれだけの金額を提示するチームはいない。ラウリーのケースと同様、ラプターズは今後数年の戦力維持に成功し、イバカは希望額を手にした。

サラリーキャップの負担を減らすため、ラプターズは今夏デマーレイ・キャロルをブルックリン・ネッツに放出した。2018年ドラフト1巡目指名権もつけなければいけなかったが、キャロルはチームが求めた守備と得点力、特にペリメーターでの得点で貢献できなかった。

また、キャロルと同様に期待に応えられなかった控えガードのジョセフと交換でマイルズを獲得。今年のドラフトでは、まだ才能が開花されていないインディアナ大学出身のフォワード、アヌノビーを全体23位で指名した。昨季途中に加入したタッカーはチームに勢いを与えてくれたものの、再契約するには高過ぎた。その結果、タッカーはヒューストン・ロケッツと契約を結んだ。

ラプターズは若手の成長に期待している。主に昨年のドラフト1巡目で指名したヤコブ・パートルへの期待は大きい。ラスベガスでのサマーリーグでは安定したプレイを見せたが、まだ特筆すべき存在にはなれていない。

昨季のコアを残せたのは大きいと言える。ラウリー、デローザン、イバカ、ヨナス・バランチュナスが中心のチームで今季に臨めるのは朗報だ。ただ、それと来年6月にラプターズがプレイし続けられるかどうかは、また別の話ということになる。

原文:30 Teams in 30 Days: Toronto Raptors' veteran core ready to roll once again by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)


2017-18 トロント・ラプターズ主要データ

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ