NBA

[2017-18シーズン戦力分析]サンアントニオ・スパーズ

Author Photo
Sporting News Logo

NBA.comのショーン・パウエル記者が2017-18シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第29回目は、サンアントニオ・スパーズ編をお届けする。

MORE:[2017-18シーズン戦力分析]全30チームの戦力を徹底チェック!


2016-17シーズン成績:61勝21敗

新加入選手:ルディ・ゲイ(フリーエージェント)、デリック・ホワイト(ドラフト)、ブランドン・ポール(フリーエージェント)

退団選手:ジョナサン・シモンズ、ドウェイン・デッドモン

昨季は誰にも気づかれることなく年間61勝をあげ、ウェスタン・カンファレンス決勝ではカワイ・レナードの負傷離脱後、結果的に優勝したゴールデンステイト・ウォリアーズに敗れた。それが昨季のサンアントニオ・スパーズだった。

昨季唯一ウォリアーズに対抗できたスパーズは、今夏大規模な補強を実行しなかった。現状維持という判断は、前進を阻む結果に繋がらないのだろうか?

この疑問は正しいのかもしれない。だが今夏スパーズにやれることは限られていた。昨季のシーズンMVP最終候補に選出されたレナード以外に個人で突出した選手はいない。つまり、スパーズがトレードで獲得できる選手は限られていたのだ。

そしてサラリーキャップに余裕もなく、Aリストの選手を獲得する資金力も乏しかったため、市場価値が下がっていたルディ・ゲイの獲得に落ち着いた。

スポーツ観るならDAZN!!

今夏スパーズにとって最も大きかったのは、40歳のマヌ・ジノビリが16年目となる今季も現役続行を決断したことだろう。ただ、ポイントガードに関しては解決法がなく、アップグレードに失敗している。

唯一のサプライズは、制限付きフリーエージェントだったシモンズをチームに残すための金額の高騰だ。最終的にスパーズはシモンズの制限付きFAの権利を手放し、彼はオーランド・マジックとの契約に至った。シモンズは身体能力の高い選手だが、基本的な技術をレベルアップさせる必要があり、チームの育成システムによるプロジェクトに含まれていた選手だ。

昨季を通じて成長した姿を見せたシモンズは、特にレナードが負傷したウォリアーズとのカンファレンス決勝 第1戦後から周囲を驚かせた。ジャンパーへの自信が見て取れ、オフェンスの武器を増やすことに成功したが、それとチームに残すかどうかの判断は別物だった。

退団したシモンズの穴は、ゲイが埋める。トロント・ラプターズとメンフィス・グリズリーズ時代にはチームのメインスコアラーとして活躍したゲイも、サクラメント・キングス移籍後はインパクトが薄れ、昨季はアキレス腱を断裂する重傷を負い、わずか30試合の出場に終わった。31歳のゲイは、もうファーストオプションではない。まずはアキレス腱の負傷から復活しなければならないが、キャリア平均18得点という成績を考えれば、得点する力がある選手だ。

スパーズは、ドラフト下位で実力のある選手を発掘する能力に長けている。今年のドラフト全体29位で指名したデリック・ホワイトが、上手くチームに噛み合うケースも考えられるだろう。コロラド大学出身のホワイトは、23歳でスパーズにやってきた。オフに手術を受けたトニー・パーカーの復帰が来年の1月か2月になると見られているため、それまではデジャンテ・マレーと共にポイントガードで起用される見込みだ。

またスパーズは、2013年のドラフトで指名されず、海外を中心にキャリアを続けてきたイリノイ大学出身のポールとも契約した。身長193cmというサイズはガードとしては魅力的だが、まだNBAレベルでプレーした経験はない。

最も不可解な決断は、パウ・ガソルと3年4900万ドル(約54億6100万円)で再契約したことだろう。全盛期を過ぎた37歳の選手との契約としては高額で、今後のプランに影響を与えかねない。

スパーズは今夏、ラマーカス・オルドリッジをトレードしなかった。NBA関係者の間では驚きだったが、昨季のプレイオフを振り返ってみると、期待外れの結果に終わったオルドリッジの評価は下がってしまっている。ポストシーズンでは個人成績も落ち込み、ウォリアーズとのシリーズでは存在自体消えていた。レナードが第1戦で離脱し、チームが最も奮起を期待した存在だったにもかかわらず、第2戦から第4戦までの3試合中2試合で一桁の得点に終わった。

オルドリッジの契約はあと2年残っていて、最終年はプレイヤーオプションになっていることを考えれば、スパーズが決断を下さなかった理由も理解できなくはない。

スパーズが判断を誤るケースは滅多にない。つまり、今夏大きな動きを見せなかったのは正しい判断だったのではないだろうか。ひょっとすると、チーム改造を行ない、再びウェストのベストチームに返り咲くチャンスは、早くても1年後になるのかもしれない。

だが、レナードの全盛期が一生続くわけではない。いずれレナードにも、共にチームを引っ張れるスター選手が必要になるときが訪れる。残念ながら、その選手は今のロスターにはいない。

原文:30 teams in 30 days: In midst of league activity, San Antonio Spurs hold tight by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)


2017-18 サンアントニオ・スパーズ主要データ

プロフィール

日程

ロスター


著者
NBA Japan Photo

NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ