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[2017-18シーズン戦力分析]デトロイト・ピストンズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2017-18シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第12回目は、デトロイト・ピストンズ編をお届けする。

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2016-17シーズン成績:37勝45敗

新加入選手:エイブリー・ブラッドリー(トレード)、ルーク・ケナード(ドラフト)、ラングストン・ギャロウェイ(フリーエージェント)、アンソニー・トリバー(フリーエージェント)

退団選手:アーロン・ベインズ、マーカス・モリス、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープ

レジー・ジャクソンの負傷による影響もあり、ピストンズは昨季37勝45敗でレギュラーシーズンを終え、プレイオフ進出を逃した。イースタン・カンファレンス所属であることを考えれば、やや失望させられる結果とも言える。

今夏チームは新戦力獲得のため動いたが、最大の動きはパレス・オブ・オーバーンヒルズを離れたことだろう。実に40年ぶりにダウンタウンの本拠地で今季を迎えられるピストンズにとっては新時代の幕開け、もしくは古き良き時代への回帰となることが期待されている。

新ホームアリーナのリトル・シーザーズ・アリーナはピストンズとNHLデトロイト・レッドウィングスの本拠地で、NFLデトロイト・ライオンズとMLBデトロイト・タイガースの本拠地(フォード・フィールドとコメリカ・パーク)もダウンタウンにある。アメリカの他の都市を見渡してみても、ダウンタウンの一区画に北米4大メジャースポーツの本拠地があるのはデトロイトだけだ(フィラデルフィアの4チームの本拠地は郊外)。スポーツは街に再び活気を取り戻す方法の1つで、試合当日にはお金も回り経済状態も良くなる。

新アリーナお披露目1年目という理由だけでも、注目が集まることはピストンズにとって朗報。チームにとってあまり良くない報せは、ロスターに厚みを持たせられず、球団の顔になれる選手がいないことだ。

これは、球団社長を兼任するスタン・バン・ガンディ・ヘッドコーチが努力を怠ったからではない。就任から数々の取引を成立させてきたが、スター選手を見出せていない。つまり今のピストンズは、骨抜き状態になったイーストでもチームを牽引できず、光り輝けていない実力者たちで構成されている。

新加入のブラッドリーは、ボストン・セルティックスがゴードン・ヘイワードを獲得するためにサラリーキャップに空きを作らなければならなかった影響で獲得できた。ブラッドリーは非常に安定した選手で、即貢献が期待できる。スティールを決める機会は多くはないが、安定したシューティングストロークを持ち、ボールを持った選手に対する守備の評価も高い。セルティックスも、泣く泣くブラッドリーを諦めるしかなかった。

今季が契約最終年のブラッドリーのモチベーションは高いだろうが、ピストンズには1年しか在籍しない可能性もある。そのため、ピストンズは今年のドラフトでケナードを指名し、フリーエージェントだったギャロウェイとも格安の700万ドル(約7億7100万円)で契約し、シューティングガードの層を厚くした。デューク大学出身のケナードは、先輩にあたるJJ・レディックほど脚光を集めた選手ではないが、昨季を通じてレンジを広げ、シューターとしての評価を高め、NBAドラフトで注目される存在にまで成長。サマーリーグでも安定したパフォーマンスを披露した。ギャロウェイは今年の2月にデマーカス・カズンズを含む大型トレードでニューオーリンズ・ペリカンズからサクラメント・キングスにトレードされ、ピストンズが今年に入り3チーム目だが、ローテーションプレイヤーとして献身的な姿勢を見せる選手で、特に守備への評価が高い。

ジョー・デュマース前球団社長が遺していった2人の内1人にあたるコールドウェル・ポープ(もう1人はアンドレ・ドラモンド)はスウィングマンのポジションで活躍したが、スター選手として台頭したわけではなかった。バン・ガンディHCはコールドウェル・ポープに対して慎重に対処しようとしたが資金面で余裕がなく、フリーエージェントになって複数年契約を希望したことにより、同選手のデトロイトでのキャリアは幕を閉じた。

ただ、各チームともに懐事情が厳しく、最終的にロサンゼルス・レイカーズと1年契約を結んだことは、コールドウェル・ポープにとって不運だった。

モリスは『バッドボーイズ』時代を感じさせるアグレッシブなプレイでファンから人気があったものの、ブラッドリーを獲得するためセルティックスにトレードされた。

その他、今後バン・ガンディHCに影響を与える可能性のあることは、今夏ロサンゼルスで起こった。ロサンゼルス・クリッパーズは、昨季まで球団社長を兼任していたドック・リバースHCを指揮官にだけ専念させるため、フロント職の任を解いた。クリッパーズのスティーブ・バルマー・オーナーは、この人事に関して、健全な議論のためHCとGMを分ける必要があったと説明している。

ESPN』のリポート記事によれば、NBAコミッショナーのアダム・シルバーがNBAチームのオーナーに対し、HCとGMの兼任を不安視していることを伝えたという。

現時点で両ポジションを兼任しているのはバン・ガンディHCのほか、サンアントニオ・スパーズのグレッグ・ポポビッチHCとミネソタ・ティンバーウルブズのトム・シボドーHCしかいない。ポップ(ポポビッチGCの愛称)はスパーズで5回の優勝を誇るが、ウルブズはシブズ(シボドーHCの愛称)を招聘するため両ポジションを与えなければならなかった。

果たしてバン・ガンディHCに与える影響はあるだろうか?

バン・ガンディHCは、就任からの3シーズンで32勝、44勝、37勝という結果を残している。デュマースの遺産を考えれば上々という見方もできる。指導者としても(ドワイト・ハワードを除いて)選手たちからの評判も良い。

しかし、チームの人事を預かる立場としては、ピストンズに貢献できているとは言えない。ドラフトで指名した選手(スタンリー・ジョンソンとヘンリー・エレンソン)、トレード(ジャクソン、トバイアス・ハリス)とフリーエージェント(ボバン・マリヤノビッチ)はまだインパクトを残せていないからだ。

ティム・ゴア・オーナーはバン・ガンディHCのファンで、不満の声は出ていない。だが、昨季の主力を残した状態で新アリーナに移り、新たなファン層を拡大するためには、毎シーズンのようにポストシーズンに進出することが重要な意味を持つ。

今バン・ガンディHCに必要なのは、リーグの3分の2のチームと同様に、スター選手の存在なのだ。

原文:30 Teams in 30 Days: Can Detroit Pistons make breakthrough as franchise moves back downtown? by Shaun Powell(抄訳)


2017-18 デトロイト・ピストンズ主要データ

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ