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[2017-18シーズン戦力分析]ニューオーリンズ・ペリカンズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2017-18シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第10回目は、ニューオーリンズ・ペリカンズ編をお届けする。

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2016-17シーズン成績:34勝48敗

新加入選手:ラジョン・ロンド(フリーエージェント)、イアン・クラーク(フリーエージェント)、フランク・ジャクソン(ドラフト)

退団選手:ティム・フレイジャー

ペリカンズは昨季途中にサクラメント・キングスとの間で大型トレードを成立させてデマーカス・カズンズを獲得し、一時的な上昇傾向を楽しんだ。しかし、けが人と不安定なプレイにより、激戦区ウェスタン・カンファレンスでのプレイオフ争いを勝ち上がれなかった。

トレード成立時期と比較すると、今夏ペリカンズはマイルドなオフを過ごしたと言える。キングスにドラフト1巡目指名権を譲渡してしまいトレードの交換条件に使えるものも少なく、オフの中心はフリーエージェントになったドリュー・ホリデーとの再契約交渉だった。

ホリデーとの再契約は、ペリカンズを苦しめた。ロスター内の大型契約に縛られただけではなく、もしホリデーとの再契約を選択しなければ、同選手と同レベルの選手を獲得することはできなかっただろう。その結果、オールスターに1回しか選出されていないポイントガードと5年1億2600万ドル(約138億7700万円)という巨額契約を結んだ。

ホリデーとの契約に驚く声はあったものの、彼はカズンズとアンソニー・デイビスと噛み合う存在だ。ホリデーと再契約せず、今季終了後に無制限フリーエージェントになるカズンズから不満が出る事態だけは避けなくてはならなかった。もし戦力を落とせば、カズンズが来夏他チームに移籍する格好の理由になってしまう。ペリカンズが2016年ドラフト1巡目指名選手のバディ・ヒールドと交換でカズンズを獲得したことを思い返してもらいたい。もしカズンズに来夏移籍されてしまっては、昨季途中の決断は何の意味も成さなくなってしま。ただし、ホリデーとの再契約がカズンズの引き留めに与える影響は少ないだろう。

問題はこれだけではない。仮にカズンズがペリカンズと今季終了後に再契約したとしても、過去に誤って結んだ大型契約が重荷になってしまう。オメール・アーシック、アレクシス・アジンサ、イートワン・モア、ソロモン・ヒルはロールプレイヤーとしては実力者だが、なぜペリカンズがサラリーキャップを1900万ドル(約20億9200万円)も超過しているか不思議に思う意見もあるだろう。

想像してもらいたい。もし彼らとの契約がなければ、ペリカンズは資金面での柔軟性が増し、もっと良いポジションにつけていたのではないだろうか? 今後トレードを実行しても高額な契約を背負うことになるため、ペリカンズは少なくともあと1年ないし2年は待つべきだ。アシックらとの契約と、ホリデーとの再契約を迫られた関係で、ペリカンズは今夏フリーエージェント選手の獲得に回せる資金がなかった。

球団にとって朗報なのは、デイビスがあと3年の契約を残していることで、退団する可能性は今のところ見られない。デイビスは戦う選手で、不平不満も言わない。メディアの前で何かを話しても、球団の方針に確信を持ち、ニューオーリンズでのプレイについても前向きな発言しかしない。だが、契約を1年残した時点で心変わりし、チームにトレード以外の選択肢を与えなかった例(ポール・ジョージ)を忘れてはいけない。

興味深いことに、ペリカンズは球団内の人事を一切変えなかった。アルビン・ジェントリー・ヘッドコーチの続投に不満の意見が聞かれるが、就任以降けが人に苦しめられ、アシックらに大型契約を与えたの張本人でもないのだから、フェアな意見とは言えない。

ジェントリーHCの続投より、デル・デンプスGM留任の方が大きなサプライズだった。カズンズのトレードで自身に有利になる評価を得られたかは疑問だが、ポジションを守ることには成功した。取引相手だったキングスは、ドラフト当日のトレードにより、23歳のヒールド、ジャスティン・ジャクソン、ハリー・ジャイルズという若く、格安の契約で済む選手を中心にする方針に切り替え、カズンズとマックス契約を結ぶ必要もなくなった。

それでもペリカンズは、フリーエージェント選手を振るいにかけロンドの獲得に成功した。ジェントリーHCの仕事を楽にしてくれ、チームにもフィットするだろう。ただ、本当にチームのためになる補強かどうかはわからない。ロンドはボストン・セルティックス時代を含め、所属先のHCと衝突を繰り返してきたからだ。昨季はシカゴ・ブルズでドウェイン・ウェイドとジミー・バトラーのリーダーシップに疑問を投げかけたものの、プレイオフではかつてのパフォーマンスを披露した。

ペリカンズがロンドを獲得した理由は、おそらくキングス時代にカズンズと一緒にプレイしたからだろう。カズンズ、デイビス、ロンドはケンタッキー大学出身で、お互いを理解し合っている。ロンドがポイントガードのポジションを奪い、ホリデーをシューティングがガードに追いやるケースも増えるだろうが、ロンドが本来の力を安定して発揮できれば、対戦相手にとって厄介だ。

その他ペリカンズ関連の話題では、ヒルがオフの練習中に左ハムストリングを痛め、復帰までに半年かかるという負傷情報があげられる。復帰はオールスターブレイク時期になる見込みで、現時点で評価の低いヒルの状況がさらに悪化してしまう。

上記の理由により、ペリカンズは今夏ロスターを強化できなかった。今季はプレイオフ進出に向けた布石になることを期待するしかない。

原文:30 Teams in 30 Days: DeMarcus Cousins shapes New Orleans Pelicans outlook by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)


2017-18 ニューオーリンズ・ペリカンズ主要データ

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ