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[2017-18シーズン戦力分析]インディアナ・ペイサーズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2017-18シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第18回目は、インディアナ・ペイサーズ編をお届けする。

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2016-17シーズン成績:42勝40敗

新加入選手:T.J.・リーフ(ドラフト)、ビクター・オラディポ(トレード)、ドマンタス・サボニス(トレード)、ダレン・コリソン(フリーエージェント)、ボーヤン・ボグダノビッチ(フリーエージェント)、コリー・ジョセフ(トレード)

退団選手:ポール・ジョージ、C.J.・マイルズ、モンテ・エリス、ジェフ・ティーグ

ポール・ジョージの問題がペイサーズとチームのコアに動揺を与えたが、球団はジョージをトレードし、再建段階に突入した。

この決断は避けられなかった。ただ、過去5年間チームを引っ張ったジョージが平凡な実力の選手と一緒にプレイすることに耐えかねていたと気づくまで、ペイサーズはどれだけの時間を必要としたのか、という疑問は残る。ジョージが無制限フリーエージェントになるまであと1年に迫っていたにもかかわらず、ペイサーズが昨夏、あるいは昨季のトレード期限までに決断を下すのを拒否した結果、損失を被ってしまった。

オクラホマシティ・サンダーから獲得した交換要員はジョージの価値とは釣り合わず、ペイサーズにとって大型トレードとは言えない取引になった。

ジョージはフリーエージェントになるまで長期契約を結ぶのを嫌がり、そのジョージの意中のチームと噂されるロサンゼルス・レイカーズは現有戦力の放出を拒み、来夏まで待つ方針を選択した。つまり、窮地に追い込まれたのはペイサーズだったということだ。ペイサーズに何の力もなかったことは、ジョージの価値と対等とは言えないオラディポとサボニスの獲得に終わったトレードが物語っていた。

今回の件は、辞任したラリー・バード前球団社長、それからケビン・プリチャードGMの不味い対応だったと言わざるを得ない。プリチャードGMは、ジョージからのトレード要求について、後に「みぞおちへのパンチのように感じた」と形容した。チームに尽くすという意思表示をしなかった時点で、ジョージがペイサーズと再契約を結ぶ保証はなかった。同選手が『スーパーマックス契約』を結ぶ資格を得られなかった時点で、1年目から所属するチームに残る可能性は消滅してしまったのだ。

ペイサーズにとって、ジョージの価値は、球団のレジェンド、レジー・ミラーと同等だった。ただ、ミラーとは異なり、ジョージはペイサーズを一度もNBAファイナルに導けなかった。それでもチームの顔として、オールスターにも選出され、インディアナを代表する選手に成長した。そして、マイナスイメージがついて回った球団を作り変えたという実績はある。

今後を託されたのは、技術に秀でた3年目のセンター、マイルズ・ターナーだ。これからはターナーを中心にチームを作り、同選手の才能を最大限に引き出していくことになる。ただ、市場規模の小さいチームでは、大物フリーエージェント選手の獲得は難しい。球団はラグジュアリータックスを支払いたくないため、バードは資金面の不安を常に抱えていた。

だからこそジョージのトレードは極めて重要だったのだが、得られた見返りは十分とは言えない。

インディアナ大学でスター選手だったオラディポは、地元ファンから人気を得るだろう。跳躍力があり、チームに好影響を与えられ、人柄も良い。今季はボールを独占するラッセル・ウェストブルックから離れてプレイできるため、オラディポの活躍は期待できる。1試合平均20得点を超えても驚きではなく、今季のペイサーズを支えるゴー・トゥ・ガイになる可能性だってある。ただ、アウトサイドショットは改善が必要だ。それに、今後4シーズンの年俸が2100万ドル(約22億6400万円)というのは、市場規模の小さなチームには優しくない。

適応能力の高いビッグマンのサボニスは、1年目の昨季安定したプレイを見せられなかったが、その理由の1つには同じポジションの選手がサンダーに多かったことがあげられる。オラディポと同様に、ペイサーズでは出場機会に関する不安を抱えることはない。あとはペイサーズが、サボニスが力を発揮できるポジションがセンターなのかパワーフォワードなのかを見出し、ターナーとのケミストリーを生み出せるか判断しなければいけない。

今年のドラフトでは、1巡目指名権を行使し3ポイントショットが得意なT.J.・リーフを指名した。リーフがチームに欠けているアウトサイドシューターの役割を補ってくれる可能性はある。

ジョージの退団に続いて、ペイサーズはフリーエージェントとの再契約をしない決断を下した。昨季のローテーションに含まれていたジェフ・ティーグが退団し、モンテ・エリスも解雇したほか、C.J.・マイルズとも再契約しなかった。その代わりにトロント・ラプターズからトレードで控えガードのコリー・ジョセフを獲得。今季の先発ポイントガードは、チームに復帰したダレン・コリソンが務めるだろう。

今夏はペイサーズにとって改変の時期になったが、イースタン・カンファレンスであれば、21歳のターナーを含め若手が多くてもプレイオフ進出は可能だ。ひょっとすると、次のポール・ジョージを獲得するには、ロッタリーに周り、ドラフトで有望選手を指名する方法がベストかもしれない。

原文:30 Teams in 30 Days: With Paul George era over, Indiana Pacers hopes center around Myles Turner by Shaun Paowell/NBA.com(抄訳)


2017-18 インディアナ・ペイサーズ主要データ

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ