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[2017-18シーズン戦力分析]デンバー・ナゲッツ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2017-18シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第13回目は、デンバー・ナゲッツ編をお届けする。

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2016-17シーズン成績:40勝42敗

新加入選手:ポール・ミルサップ(フリーエージェント)、トレイ・ライルズ(トレード)、タイラー・ライドン(ドラフト)

退団選手:ダニーロ・ガリナーリ

選手獲得を決める上で、時としてフィーリングが重要になることもある。そういう意味では、今夏ミルサップを獲得したナゲッツを称賛する意見は多かった。

若手の育成が順調に進むナゲッツには、実力と経験が揃い、チームに良い影響を与えられ、ロスター内で1、2を争える全盛期にあるベテランが必要だった。これらの条件を全て満たしていたフリーエージェントこそ、ミルサップだった。

ナゲッツにとっては、ミルサップの古巣アトランタ・ホークスが若手主体の再建に方針を切り替えたことは幸運だった。これによりミルサップも他チームとの契約が可能な状態になり、ナゲッツが手を挙げたというわけだ。しかし、ナゲッツはミルサップに3年以上の契約を提示しなかった。32歳のミルサップを獲得する上で、ここが重要だった。

つまりミルサップの獲得は、全関係者にとってウィンxウィンの取引になった。大混戦が予想されるウェスタン・カンファレンス所属だが、今のナゲッツにはプレイオフ進出を目指す段階に進むための選手が揃ったと言える。

スウィングフォワードのミルサップは、昨季NBAで最も大きなサプライズと評価されたニコラ・ヨキッチの強力な相棒になれる。柔軟性の高いミルサップがいれば、対戦相手のフォーメーション次第でスモールラインナップにも、ビッグラインナップにも対応が可能で、マッチアップする相手チームからすれば悪夢でしかない。

ミルサップはプロの中のプロと呼べる選手で、ほぼ休養をとらない。また、安定感が代名詞のような選手だ。リーダーシップにも優れ、リム周辺、ミッドレンジと攻撃パターンも多彩で、3ポイントショットも打てる。キャリア11年目の昨季は、自己最多となる平均18.1得点に加えて、7.7リバウンドという好成績を残した。

2010年以降、2012-13シーズンを除いてミルサップが年間平均16.6得点、7リバウンドを下回ったシーズンはない。

昨季まで所属したガリナーリは、再建のプロセスの過程で消耗品になってしまった。度重なる負傷を乗り越え優れた選手として力を証明し続け、地元人気も高かったが、ナゲッツは袂を別つことを決断。ガリナーリはロサンゼルス・クリッパーズに移籍した。

昨季NBA最多となる31通りの先発ラインナップを用いたナゲッツがミルサップに期待するのは、チームに安定感をもたらしてくれることだ。そのためには健康状態の維持と、ローテーションの中で一定の出場時間が与えられる若手の成長が欠かせない。

ナゲッツは今夏ライルズをトレードでユタ・ジャズから獲得し、ライドンをドラフト1巡目に指名した。ジャズがかつてドラフト1巡目で指名したライルズは、チーム内の競争に勝てず、出場機会を得られなかった。そのライルズと新人ライドンが実力を発揮してくれれば、フロントラインの選手層も増すはずだ。

ナゲッツが今夏真剣に検討したもう1つの事案は、成長を続けるゲーリー・ハリスについてだった。ポール・ジョージとケビン・ラブの獲得を検討していたと噂されたナゲッツだったが、どれも上手くいかず、ハリスに対しチームオプションを行使する道を模索した。昨季平均14.9得点、2.9アシスト、3P成功率42%を記録した同選手を残したのは賢明だ。しかも、まだ22歳と若い。

その他にも、クリーブランド・キャバリアーズからカイリー・アービングを獲得するという噂もあった。だが、もしアービングを獲得するのなら、キャブズはハリスら優秀な若手を交換要員として要求してきたはず。ナゲッツはポイントガードにスター選手がいないチームの一つだが、アービングを獲得していたら選手層が薄くなってしまっていただろう。

これによりナゲッツは、ミルサップ、ハリス、ヨキッチ、ウィルソン・チャンドラー、ジャマール・マレー、ウィル・バートンを軸に今季を戦う。いずれはポイントガードに関して何らかの手を打たなければならない。エマニュエル・ムディエイは新人時代から安定感に欠け、プレイメーク、チームメイトのプレイを生かす能力も荒削りのままだ。もしムディエイが今季レベルアップできなければ、ナゲッツの来夏の最優先事項はポイントガードの獲得になる。マレーにもポイントガードの才能があるという考えもあるかもしれないが、大半のNBAスカウトは懐疑的だ。

いずれにしても、マイク・マローン・ヘッドコーチは武器を持った。オフェンスの形もメンバーによって変えられえる。現代のNBAで活躍するために必要な非常に優れたパサーであり、ミッドレンジからのショットも得意とするヨキッチを中心に再建を進める案は、賢いやり方だ。

ミルサップの獲得とハリスの残留は、チームが正しい方向に向かうための第一歩だったと言える。

原文:30 Teams in 30 Days: With Paul Millsap in fold, can Denver Nuggets snag playoff spot in West? by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)


2017-18 デンバー・ナゲッツ主要データ

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ