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[2017-18シーズン戦力分析]ダラス・マーベリックス

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2017-18シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第9回目は、ダラス・マーベリックス編をお届けする。

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2016-17シーズン成績:33勝49敗

新加入選手:ジョシュ・マクロバーツ(トレード)、ジェフ・ウィゼイ(フリーエージェント)、デニス・スミス(トレード)

退団選手:AJ・ハモンズ(トレード)、ディアンドレ・リギンズ

今夏のマブスは、近年ハリソン・バーンズ(2016年)、ウェスリー・マシューズ(2015年)を獲得したときほど大幅なチーム刷新は行なわず、のんびり過ごした。つまり、優勝した2011年のチームの印象がさらに薄まったということだ。

もしマブスについて世論調査を行なえば、ドラフト1巡目に指名したデニス・スミスJr.の加入でチームの再編成が進んだという声も出てくるだろう。

ノースカロライナ州立大学出身のスミスは、マブスの穴を埋められる存在で、サマーリーグでも好パフォーマンスを披露し周囲からの期待も高い。マブスのマーク・キューバン・オーナーがラスベガスで開催されたサマーリーグ戦をコートサイドから観戦した中、スミスは多くを要求されるポジションにおいて、冷静さと試合をコントロールする稀な才能を披露。レギュラーシーズン開幕から即先発起用される可能性もあるほどで、最低でもマブスのレギュラーローテーション入りは確実と見られている。

マブスの歴史を振り返ると、ポイントガードにはあまり恵まれていなかった。ブラッド・デイビスのジャージーは永久欠番になっているものの、それは球団創設時期にチームの象徴的存在だったという理由からだ。デイビスの時代以降に頭角を現したデレック・ハーパーは、オールスターにまで成長した。1984年のプレイオフでロサンゼルス・レイカーズと対戦した際には、試合終盤に同点だったことに気づかずドリブルで時間を消費してオーバータイムにもつれさせてしまったが、後にハーパーはこの汚名を返上した。

ジェイソン・キッドはNBAキャリアをマブスでスタートさせたものの、才能が開花したのは退団後だった。キッドと同じことは、スティーブ・ナッシュにも当てはまる。

彼ら以外にダラスで印象に残るポイントガードは思い浮かばない(ジェイソン・テリーは在籍時に活躍し、球団初優勝に貢献したが)。

マブスは昨季、Dリーグ(現Gリーグ)からヨギ・フェレルという掘り出しものを見つけた。どこからともなく現れたフェレルは、ローテーションに加わるようになり、チームとの延長契約を勝ち取った。2月3日(日本時間4日)に行なわれたポートランド・トレイルブレイザーズ戦で32得点の大活躍を見せ、4月9日(同10日)のフェニックス・サンズ戦では終盤の得点を含む21得点を記録した。それでも、フェレルはリザーブ起用が最適に思える。

今年のドラフトは優れたポイントガードが多い年だった。それゆえにマブスはスミスを指名できたわけで、マーケル・フルツ(フィラデルフィア・76ers)、ロンゾ・ボール(レイカーズ)、ディアロン・フォックス(サクラメント・キングス)が同年のドラフトにエントリーしていなかったら、スミスは全体9位より上の順位で指名されていただろう。

スミスにとっても、マブスでキャリアをスタートさせられるのは幸運だ。再建段階ではあるが、周りにサポートしてくれる選手が多く、最下位のチームでキャリアをスタートさせるよりスムーズに1年目に対応できる。なんといっても、今季キャリア20年目、未来のバスケットボール殿堂入りが確実なダーク・ノビツキーと一緒にプレイできるのは大きい。

また、スミスは指揮官にも恵まれた。リック・カーライル・ヘッドコーチは、今夏スミスの家を直接訪問している。この行動からチームがスミスのためのプランを用意していることだけではなく、カーライルHCが新人であっても選手との関係構築の重要性を理解していることも見てとれる。

そしてキューバン・オーナーは、スミスが快適に過ごせるよう、可能な限り最高の環境作りを実行するはずだ。キューバン・オーナーは、すでに大金を投じてロッカールームをNBAベストクラスと呼ばれるまでにアップグレードさせている。

ノビツキーが中心のチームで勝ち続けてきたマブスだが、それはドラフトでの指名順に恵まれなかったことを意味する。上位でシーズンを終えれば、指名権は1巡目の終盤になってしまう。ダイヤモンドの原石を探し当てるには運が必要なポジションだ。マブスが1巡目に指名した選手で最後にインパクトを残したのは、2003年の全体29位で指名したジョシュ・ハワードだ。そして優勝した2011年のチームの大半は、トレード、あるいはフリーエージェントで獲得した選手(テリー、キッド、ショーン・マリオン、タイソン・チャンドラーなど)で構成された。しかし、スミスがこれまでの傾向を変えるかもしれない。

マブスは来夏大物フリーエージェント選手の獲得に動く準備を整えている。ウェスリー・マシューズの残り2年3500万ドル(約38億6600万円)という契約を重荷に感じなければ、十分な余裕がサラリーキャップに生まれる。ドニー・ネルソンGMは、今夏チームに優しい契約内容でフェレル、セス・カリー、J.J.・バレア残すことに成功。昨夏はバーンズと大型契約を結んだが、これは良いお金の使い方だった。また、他チームからオファーが届かなかった制限付きフリーエージェントのナーレンズ・ノエルとの交渉も有利に進められた。

トレードで獲得したジョシュ・マクロバーツは、近年けがが多く活躍は見込めないが、今季終了後に契約を満了する。

スミスが1年目に上々の活躍をしてくれれば、動きが少なかった夏が有意義な時間だったという評価に変わるはずだ。

原文:30 Teams in 30 Days: Dennis Smith Jr.'s play key to Dallas Mavericks' future by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)


2017-18 ダラス・マーベリックス主要データ

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ