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[2017-18シーズン戦力分析]オーランド・マジック

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2017-18シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第5回目は、オーランド・マジック編をお届けする。

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2016-17シーズン成績:29勝53敗

新加入選手:ジョナサン・アイザック(ドラフト)、ジョナソン・シモンズ(フリーエージェント)、アーロン・アフラロ(フリーエージェント)、シェルビン・マック(フリーエージェント)、マリース・スペイツ(フリーエージェント)

退団選手:ジェフ・グリーン(キャバリアーズに移籍)、ジョディ・ミークス(ウィザーズに移籍)、C.J.・ウォルトン(解雇)

ドワイト・ハワードがスタン・バン・ガンディ・ヘッドコーチ(当時)と衝突し、チームに火を放って出て行ってからというもの、マジックは正しい方向に進んでいない。その後チームは指揮官を4人交代したが、ハワード退団後は1度もプレイオフに進出できていない。

当時のハワードはNBAでもトップ5のセンターで、おそらく全体でもトップ10に入る選手だっただろうが、マジックと喧嘩別れしてしまった。マジックにとっての災難は、ハワードに代わる存在を見つけられていないことだ。ハワード退団以降、チームからは1人もオールスターに選出されていない。そして、チーム作りの中心になれる選手も現れていない。

ハワード退団後から2016年までにドラフトで指名した選手は、ビクター・オラディポ、アーロン・ゴードン、エルフリッド・ペイトン、マリオ・ヘゾニャだ。全員ロッタリー(全体1~14位)での指名だが、特別な存在はいない。その結果、辛抱強く選手を育てることを諦めた球団は、昨年サージ・イバカ(1年後トロント・ラプターズにトレード)と交換でオラディポをオクラホマシティ・サンダーに放出したが、上記の中で最高の選手は彼だった。

そして昨夏にはビズマック・ビオンボと年俸1700万ドル(約18億5900万円)もの高額契約を結んだ。チームの中心になれると見られたビッグマンだったが、その計画は計画のままで、一向に進んでいない。ビオンボとの契約は、2016年夏にフリーエージェントになった選手との契約の中でワーストクラスと評価され、複数のNBA関係者は、選手の才能レベルという意味において、マジックの今季ロスターは最も選手層が薄くなり得ると語っている。

そんな状態であれば、球団がフロントオフィスを刷新しても驚きではない。マジックはロブ・ヘニガン前GMを解雇し、ラプターズのマサイ・ウジーリ球団社長の右腕だったジェフ・ウェルトマンを新球団社長に、そしてミルウォーキー・バックス前GMのジョン・ハモンドを新GMに起用した。

これから来夏までに、ウェルトマン球団社長とハモンドGMはロスター改善のため多くのことを実行しつつ、選手層の薄い現有戦力を評価しなければならない。今のマジックの選手レベルは、プレイオフ進出を目指せるものではない。もしかすると、再建のためにはドラフト上位指名権を得るほうが良い可能性もある。なぜなら、新たな計画は3年がかりになると予想されるからだ。

2017年ドラフト全体6位で指名した19歳のジョナサン・アイザックは、身体能力の高いフォワードで、優れた能力の持ち主だ。稀有な技術と活力を持った選手で、フロントラインで複数のポジションをこなせる。サマーリーグの試合でも能力を発揮し、ジャンプショットのタッチも良かった。まだ身長も伸びると言われ、7フィート(213cm)にまで身体が成長する可能性もある。

今夏最大のサプライズは、フリーエージェントだったジョナソン・シモンズの獲得かもしれない。苦心してサンアントニオ・スパーズから獲得したことも驚きだった。シモンズとは3年1800万ドル(約19億6800万円)というリーズナブルな契約を結んだ。これは、ビオンボが1年で稼ぐ金額とほぼ同額だ。もちろん、マジックもまだ、シモンズに何を期待して良いのかわかっていないだろう。スパーズでは主に高い身体能力と気骨を見せたが、バスケットボールの基礎的な技術を披露する機会は少なかった。それでも契約最終年だった昨季は着実に成長し、プレイオフでも好パフォーマンスを見せた。特にカワイ・レナードが負傷離脱してからのプレイが印象に残っている。

またマジックは、アーロン・アフラロを呼び戻し、シェルビン・マックと契約。両選手とも契約は短期で、2人ともまだ活躍が見込める堅実な控えのベテランだ。

ウェルトマン球団社長とハモンドGMは、今のことろ他の選手をキープすることにしたが、レギュラーシーズンが進むに連れて、マジックは重要な存在になり得る。特に、トレード期限日直前時期には。

以前からトレードの噂があるニコラ・ブーチェビッチは、来年のトレード期限時期に特定のチームにとって価値のある存在になるかもしれない。今のところビオンボの大型契約をどう扱うかはわからないが、少なくともサラリーキャップから除外できるかどうかトライはすべきだ。

より大きな直近の課題は、ゴードンに対する判断になるだろう。今季が契約最終年となるゴードンについては、新体制を吟味し、前に進むという決断を下すカギになるかもしれない。ゴードンはチームから期待されてきたが、2016年のスラムダンクコンテストでザック・ラビーンと激闘を演じて準優勝を果たしたことを除き、実力を発揮したケースは少ない。

安定感に欠けているばかりか、パワーフォワードの選手なのか、スモールフォワードの選手なのかもハッキリしない。たいてい、調子が悪い時期がしばらく続いて活躍するケースが多かった。しかし、今季は契約最終年だ。まもなく本当の実力が判明する。

今後のマジックの目標は、キャップスペース(サラリーキャップの余裕)に柔軟性を持たせつつ、ドラフトで賢明な判断をすること(2015年はデビン・ブッカー、マイルズ・ターナーの指名を見送った)と、チームの未来にとってプラスになるトレードを成立させることだ。それができなければ、ウェルトマン球団社長とハモンドGMの居場所はない。

原文:30 Teams in 30 Days: Assessing talent, forging new path top goals for Orlando Magic by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)


2017-18 オーランド・マジック主要データ

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ