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[2017-18シーズン戦力分析]ロサンゼルス・レイカーズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2017-18シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第3回目は、ロサンゼルス・レイカーズ編をお届けする。

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2016-17シーズン成績:26勝56敗

新加入選手:ケンテイビアス・コールドウェル・ポープ(フリーエージェント)、ブルック・ロペス(ブルックリン・ネッツとのトレード)、ロンゾ・ボール(ドラフト)、ジョシュ・ハート(ドラフト)、カイル・クーズマ(ドラフト)

退団選手:ディアンジェロ・ラッセル、ティモフェイ・モズゴフ、ニック・ヤング

他者の心を引き付けるレイカーズの魅力の一つに、マジック・ジョンソンの満面の笑みが挙げられる。“ショータイム・レイカーズ”と呼ばれた1980年代、ジョンソンは試合終盤の厳しい時間帯を“winnin’ time”と呼び、その考え方をチームも受け入れていた。

先月、レイカーズがラスベガスでのサマーリーグ優勝を決めた後、ジョンソンは満面の笑みを浮かべて勝利を喜んだ。現在、ジョンソンは球団社長としてロブ・ペリンカGMとともにレイカーズの編成に携わっている。そして再びレイカーランドに多くの情熱を注いでいる。その理由は、単に新体制が機能しているからではない。就任から下してきた決定が好転に結びつくと考えられているからだ。

ジョンソン球団社長とペリンカGMは、前球団社長のジム・バスが残したダメージを迅速に解消させようと積極的な努力を続け、まず2年前の夏にバスが結んだティモフェイ・モズゴフとの契約を放り出すことにした。そのためには、まだ20歳のディアンジェロ・ラッセルを一緒に放出する必要があった。来夏トップクラスのフリーエージェント選手を獲得するための資金捻出に繋がっただけではなく、幸運にも今年のドラフト全体2位指名権を得たことで、ラッセルをチームに残す必要がなくなったという事情も重なった。

思えば、レイカーズが今年のドラフト全体2位指名権を獲得し、ロンゾ・ボールを指名することは運命づけられていたのかもしれない。ボールは南カリフォルニアで生まれ、同州で育ち、ジョンソンのプレイを参考に成長した。つまり、現代では珍しいパス第一のポイントガードということだ。ドラフト指名後は独特なシュートフォームが頻繁に話題になり、サマーリーグでのシュート不調により懐疑論が膨らんだものの、ジョンソン球団社長は、決して教えられて身に着くものではないパスセンスに惚れ込んでいる。

ボールはフロア全体を見渡せる広い視野を持ち、チームメイトにイージーな得点機会を与えられる。つまり、チームメイトの価値を高められる存在ということだ。この能力があるのなら、レイカーズは改善するまでの間、ボールのショット力に目を瞑っていられる。また、ボールはリムにアタックすることに関して非常にクレバーな選手でもある。今季のレイカーズのオフェンスは、ボールのパスと広い視野を軸に構成される。ボールによるエンターテインメント性の高いプレイはボーナスのようなもので、それがファンベース復活にも繋がるだろう。

ラッセルとモズゴフのトレードにより、レイカーズはブルックリン・ネッツの2017年ドラフト1巡目指名権を獲得し、カイル・クーズマを指名した。サマーリーグで実力を証明したクーズマは、3ポイントショットと身体能力に優れ、身長206cmながら優美な動きが特徴的な選手。ひょっとすると、今季一定以上の出場時間を与えられるかもしれない存在だ。

ラッセルとの交換でブルック・ロペスを獲得できたのも大きい。昨季センターの中でリーグ4位となる平均20.5得点を記録した29歳のロペスを獲得したことで、昨季モズゴフが守ったポジションのアップグレードに成功した。ただ、ハーフコートプレイヤーであるロペスが、ルーク・ウォルトン・ヘッドコーチが取り入れると見られるボールを中心とするアップテンポなスタイルへの対応に苦しむ可能性はある。それでも今季終了後に現在の契約を満了するロペスの加入は、金銭面でレイカーズに柔軟性を与えてくれる。

その点を考慮し、レイカーズは今夏ケンテイビアス・コールドウェル・ポープと1年契約を結んだ。今夏フリーエージェントになったコールドウェル・ポープは契約先がなかなか決まらず、他チームが補強を進めたため、レイカーズが獲得した。この補強もレイカーズにとっては幸運だった。

今季1700万ドル(約18億5800万円)の年俸を受け取るコールドウェル・ポープは、実力を証明するチャンスを手に入れた。もし上手くいけば、来夏レイカーズが長期契約を結ぶ可能性もある。コールドウェル・ポープは優れたディフェンダーではあるもののショット能力は安定せず、昨季はデトロイト・ピストンズでフィールドゴール成功率39.9%に終わった。それでも、ボールとのプレイがプラスに働くかもしれない。いわば、ニック・ヤングの代役といったところだろうか。

チームのキャップスペース(サラリーキャップの余裕)を空けようと努力を続けているジョンソン球団社長と、以前コービー・ブライアントの代理人を務めたペリンカGMには、2018年の夏にフリーエージェントになるトップクラスの選手を獲得するという壮大な計画がある。

その獲得候補には、ポール・ジョージ(オクラホマシティ・サンダー)の名前が挙がっている。ジョージは現行の契約が残っている今夏、インディアナ・ペイサーズと退団について話し合い、サンダーにトレードされた。また、レイカーズの獲得候補には、同じく来夏フリーエージェントになるレブロン・ジェームズ(クリーブランド・キャバリアーズ)も含まれるかもしれない。ジョンソン球団社長とペリンカGMが慌ただしく動いている以上、何が起こっても不思議ではない。もし問題になり得るとすれば、年俸1700万ドル以上の契約をあと3年残しているルオル・デンの存在だろうか。

レイカーズは、ジョージがサンダーにトレードされる前の段階で、ブランドン・イングラムを放出しないことを決めていた。現時点では、ジョージがLAに来ることを望んでいるように思える。そのためには十分な資金が必要だ。もし事が上手く運んでジョージを獲得できれば、来季はジョージ、イングラム、ボール、ジュリアス・ランドル、ラリー・ナンスJr.、ジョーダン・クラークソンがチームの中心になる。そこにコールドウェル・ポープ、ロペス、そしてレブロンが加わる可能性もあるだろうか?

今から来夏までにレイカーズが行なうプランは、キャップスペースを空ける努力を続け、トップクラスの新人を加え、現在のロスターに登録されている若手を成長させつつ、数選手をトレード要員としてチラつかせる。もちろんこれは、レイカーズを再びフリーエージェント選手が移籍先として希望するチームにできると確信しているジョンソン球団社長が思い描くプランの一部でしかない。

パス優先型ポイントガードの存在は、力のあるフリーエージェント選手を引き付けるための第一歩だ。今のレイカーズにはまだリーグのトップに立つ力こそないが、突如として誰もがチームの力に気づくようになる。今のところ、それだけで十分なのだ。

原文:30 Teams in 30 Days: Offseason moves start Los Angeles Lakers' franchise facelift by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)


2017-18 ロサンゼルス・レイカーズ主要データ

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ