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[2017-18シーズン戦力分析]マイアミ・ヒート

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2017-18シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第14回目は、マイアミ・ヒート編をお届けする。

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2016-17シーズン成績:41勝41敗(11勝30敗から30勝11敗でプレイオフ進出に迫った)

新加入選手:バム・アデバヨ(ドラフト)、ケリー・オリニク(フリーエージェント)

退団選手:ジョシュ・マクロバーツ

グラスは半分満たされたのか、それとも半分空だったのか――。マイアミ・ヒートは、急転換した昨季に関してそう自問した。そして、始まりよりも終わりのほうが信じられると結論付けた。だからこそ、彼らは現状を維持すると決めたのだ。

ヒートは昨季まで今ひとつのキャリアと実績しか持たない選手たちとこの夏に新たに契約を結んだ。総額1億700万ドル(約116億9000万円)でその恩恵を受けたのが、ディオン・ウェイターズとジェームズ・ジョンソンだ。さらに、ケリー・オリニクも加えると、ロールプレイヤーたちに総額で1億5200万ドル(約166億1000万円)を費やした。昨季はこの3選手合計で総額1000万ドル(約10億9000万円)だったにもかかわらずだ。

彼らはゴードン・ヘイワード(ユタ・ジャズからボストン・セルティックスに移籍)に感謝すべきだろう。ヒートのこの夏の一番のターゲットだった彼がセルティックスと契約したことで、それだけの資金が残ったのだから。

それぞれ1年契約を結んだウェイターズとジョンソンは、2月下旬の時点ではあまり影響力がなかった。だが、その後のヒートの躍進のなかで、両選手は良いプレイを披露した。年俸はウェイターズが昨季の290万ドル(約3億2000万円)から1100万ドル(約12億円)へ、ジョンソンが同400万ドル(約4億4000万円)から最大1500万ドル(約16億4000万円)に跳ね上がった。

クリーブランド・キャバリアーズやオクラホマシティ・サンダーに見限られたウェイターズは、マイアミに来たときにキャリアの分岐点にいた。だが幸いなことに、ヒートはドウェイン・ウェイド(現シカゴ・ブルズ)との再契約を拒み、バックコートのシューターを必要としていた。そこで出てきたのが、ウェイターズだった。ヒートに来てからの彼はビッグショットを決め、シーズンが進むにつれて重要な存在となっていった。平均で16得点をあげ、3ポイントショット成功率は40%近くをマークし、これまでになかった信頼性を証明した。

4チームを渡り歩いてきたジョンソンも、30歳にして40ポンド(約18キロ)減量し、再びバスケットボールに専念できるようになった。6フィート9インチ(約206cm)にもかかわらず、平均4.9リバウンドと偉大なリバウンダーにはなれていないものの、パット・ライリー球団社長がジョンソンをまだのびしろのある選手と見ているのは明らかだ。

繰り返すが、ウェイターズもジョンソンも以前のような数字、平凡な成績と戻るかもしれない。だが、ヒートは喜んで賭けに出たのである。

ウェイターズやジョンソン同様、オリニクも昨春まではおとなしかった。彼の場合、セルティックスでのプレイオフで何度か堅実な試合をしたことが評価された。また、セルティックスがヘイワードを獲得するための犠牲になったとも言える。オリニクが獲得可能になったとき、ヒートはすぐに飛びついた。そして彼らのオファーを上回ろうというチームはなかった。

ほかの選手たちのように、オリニクもシーズンを通じて自身を証明しなければならない。不思議なのは、その高額な契約にもかかわらず、オリニクがヒートでスターターになると見られていないことだ。ヒートにはハッサン・ホワイトサイドとジョンソンというビッグマンがおり、さらに彼らはドラフト1巡目でバム・アデバヨを指名した。

サマーリーグで好調だったアデバヨは、成長すればローテーション入りするかもしれない。スキルはまだこれからだが、学ぶ意欲はあるようだ。

イースタン・カンファレンスの全体的なクオリティや、ヒートの昨季の終わり方から、彼らはプレイオフ出場権が手の届くところにあると信じている。彼らはこの14年、2年連続でプレイオフを逃したことがないのだ。

バックコートでタイラー・ジョンソンとゴラン・ドラギッチがうまくやれるようになることを期待する声は大きい。ホワイトサイドはオールスター級で、ジャスティス・ウィンズロウが負傷から復帰し、信頼できる選手になるだろう。

ヒートはこの夏、ビッグネームを加えず、終盤にゴールデンステイト・ウォリアーズを除いたほかのどのチームよりも良いプレイをしていたメンバーを継続する道を選択した。バスケットボールに関する本能の鋭いライリー社長が執ったこの戦略の真価が問われるシーズンになるだろう。

原文:30 Teams in 30 Days: Heat forgo major facelift in hopes of return to playoffs by Shaun Powell/NBA.com


2017-18 マイアミ・ヒート主要データ

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ