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[2017-18シーズン戦力分析]メンフィス・グリズリーズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2017-18シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第19回目は、メンフィス・グリズリーズ編をお届けする。

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2016-17シーズン成績:43勝39敗

新加入選手:ディロン・ブルックス(ドラフト)、イバン・ラブ(ドラフト)、マリオ・チャルマーズ(フリーエージェント)、ベン・マクレモア(フリーエージェント)、タイリーク・エバンス(フリーエージェント)

退団選手:ビンス・カーター、ザック・ランドルフ

異なる3人のヘッドコーチの下、グリズリーズは直近7シーズン連続してプレイオフに進出している。しかし、ここ2シーズンはいずれもファーストラウンドで敗退した。

ムードを含め本格的にチームを変えるきっかけとなったのは、無骨なチームスタイルの心臓部分を7年間も担ってきたザック・ランドルフとの決別だろう。

“Z-Bo”(ジーボ)の愛称で親しまれたランドルフは、ハードワーク、泥臭さを体現してきた選手だ。決して美しいスタイルとは言えず、必ずしも結果がついてきたわけでもなかったが、ウェストの強豪をプレイオフでたびたび苦しめたチームの中心的存在だった。またランドルフは、メンフィスのコミュニティでもファンを引き付ける存在で、チームと同様に愛された。しかし、良い時期にも終わりは訪れる。ランドルフとビンス・カーターは、同じウェストのサクラメント・キングスに移籍した。グリズリーズはチームの陣容だけではなく、そのスタイルも変えようとしている。

今夏大物選手を獲得しなかったのは、資金面で余裕がなかったからだ。1年前に当時のNBA最高額でマイク・コンリーと再契約し、オールスターセンターのマルク・ガソルとは2015年に総額1億ドル(約107億8300万円)の大型契約を結んだ。2人はいまだに各々のポジションでリーグトップクラスの実力を発揮しているため、高額契約が相応しいと言える。

問題は今後3シーズンで年俸2400万ドル(約25億8700万円)を受け取るチャンドラー・パーソンズだ。グリズリーズでの1年目となった昨季は負傷で安定したパフォーマンスを披露できず、ポジティブな印象も残せていない。チームの弱点だったスウィングポジションからの得点源になることを期待されているのだが、ダラス・マーベリックス、ヒューストン・ロケッツ時代のようなプレイを取り戻せるかは疑問だ。

ベン・マクレモアは格安で獲得できた。4年前のドラフト時期には評価が高く、全体1位指名選手という噂もあったほどだった。それでもサクラメントでは芽が出ず、キングスもマクレモアを諦めた。その評価をさらに悪くするわけではないが、今夏ロサンゼルスでの練習中に足を骨折したのはいただけなかった。復帰までに12週間かかると見られているため、感謝祭時期に復帰することになるだろう。

グリズリーズには、コンリーとガソル以外に、競った試合の第4クォーターに点を決められるスコアラーがいない。その弱点を埋められるかどうかは、マクレモアにかかっている。けがから復帰後チームに貢献し、健康な状態を保てれば、カムバック賞候補になれるかもしれない。

ドラフトではオレゴン大学出身のディロン・ブルックスを指名。ガードとしては身長198cmとサイズに恵まれ、ラスベガスでのサマーリーグでも印象に残るプレイを見せた。また数年前に全米トップレベルの高校生と言われたイバン・ラブも指名した。カリフォルニア大学時代に評価を落としたが、適切に育てられれば儲けものになる可能性を秘めている。

フリーエージェントでは、マイアミ・ヒート時代にプレイオフの経験が豊富なマリオ・チャルマーズを呼び戻した。キャリア終盤の選手だが、もし2年目のウェイド・ボルドウィン四世が昨季と同様に存在感を発揮できなければ、チャルマーズがコンリーの控えとして起用されるはずだ。

そして、メンフィス大学出身のタイリーク・エバンスをようやくグリズリーズに呼び寄せることができた。大学時代にスター選手だったエバンスは、2009-10シーズンに平均20.1得点を記録し、新人王を獲得。しかし、それからは故障の影響で存分に働けず、ここ3シーズンでわずか65試合にしか出場していない。だから今夏は1年契約しか得られなかった。

気になるのはまだ所属先が未定のベテランスウィングマン、トニー・アレンだ。もしグリズリーズがアレンを呼び戻さないのなら、ランドルフと同様に一時代を築いた選手との決別ということになる。

今季はグリズリーズにとって興味深い変革のシーズンになる。もし開幕から結果がついてこなければ、トレード期限日までにガソルを放出するだろうか?

その決断を下す必要に迫られるまでは、今の戦力をふるいにかけ、誰が残るかを見るしかない。

原文:30 Teams in 30 Days: Memphis Grizzlies transition away from 'Grind House' style of play by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)


2017-18 メンフィス・グリズリーズ主要データ

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ