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[2017-18シーズン戦力分析]クリーブランド・キャバリアーズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2017-18シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第26回目は、クリーブランド・キャバリアーズ編をお届けする

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2016-17シーズン成績:51勝31敗

新加入選手:アイザイア・トーマス(トレード)、ジェイ・クラウダー(トレード)、アンテ・ジジッチ(トレード)、デリック・ローズ(フリーエージェント)、ジェフ・グリーン(フリーエージェント)、ホセ・カルデロン(フリーエージェント)

退団選手:カイリー・アービング、ジェームズ・ジョーンズ

キャブズは3年連続でイースタン・カンファレンスを制し、同じく3年続けてゴールデンステイト・ウォリアーズとNBAファイナルで激突した結果、過去3年で2度目の敗北を喫した。

今夏のキャブズほどジェットコースターのようなオフを経験したチームはない。通常であれば、大改革を行なうのは発展段階のチームに限定される。ましてやカンファレンス優勝チームが直面することではない。

それでも8月下旬に目の前の雲が晴れると、結果としてキャブズは以前より良いポジションにつくことができた。

キャブズは球団史上最も重要なショットを決め、1対1のレベルが現代のNBAにおいて最高クラスに入るカイリー・アービングを放出した。だが、それによってある意味でチームのレベルを高められたとも言える。

今年の7月にアービングがキャブズに対してトレードを要求し、ダン・ギルバート・オーナーが前GMのデイビッド・グリフィンを解雇するなど誰が想像しただろう。また、チームを代表するスーパースターのレブロン・ジェームズが、12か月後にロサンゼルス・レイカーズに移籍するとも噂された。

だがキャブズのコービー・アルトマン新GMが、大きな取引を成立させた。スター選手1人に対して十分な見返りを得た結果、ボストン・セルティックスからアイザイア・トーマス、ジェイ・クラウダー、今後が楽しみなアンテ・ジジッチ、それからブルックリン・ネッツの2018年ドラフト1巡目指名権、マイアミ・ヒートの2020年ドラフト2巡目指名権を獲得した。

ロスター強化に成功しただけではなく、チームの将来を保証するネッツの指名権をも手にできた。今回のトレードまで研修中のエグゼクティブと思われていたアルトマンGMを、NBAトップクラスのフロントに押し上げる取引になった。もしかすると、今回のトレードが今季終了後に契約を満了するジェームズを引き留める鍵になるかもしれない。

世界レベルのハンドリング、コートのどこからでも得点を決められるアービングは紛れもなくトップ5に入るポイントガードで、NBAトップ15に入る選手だ。年齢もまだ25歳と若い。しかし、ジェームズの影に隠れるポジションを嫌った。ジェームズが健康なら確実に優勝争いに絡めるという立場から離れることを求めた。

アービングの獲得に関心を持つチームは多数あったが、ベテラン選手、若手、指名権を差し出せるチームは少なかった。セルティックスがそれらの条件を満たしていた1チームで、ネッツの指名権により今回のトレードは成立に至った。

昨季平均28.9得点を記録し、全盛期にいるとはいえ、トーマスの加入によりキャブズのポイントガードは若干戦力ダウンしたと言える。股関節の負傷を抱えているトーマスの復帰時期は、現時点でわかっていない。今季終了後に契約を満了するため今後に関しては未定だが、本人は30歳になる来夏に大型契約の獲得を目標にすると意気込んでいる。

キャブズが来夏トーマスと大型契約を結んでラグジュアリータックスの支払いを受け入れるのは簡単ではない。第一に、ジェームズとの再契約問題があることを忘れてはならない。もしジェームズがキャブズ残留を決断すれば、単年契約ではなくマックス契約を希望するだろう。そうなればギルバート・オーナーはかなりのキャッシュを支払わなければならない。

ジェームズにとっては、マックス契約以外にもキャブズに残る理由はある。過去最高のチームが結成されたからだ。クラウダーはフロントラインに安定感を与えてくれ、ネッツの指名権を来年のドラフトで行使、あるいは指名権と交換で即チームにインパクトを与えてくれるベテランを獲得するという方法もある。

ジェームズは、NBA関係者の誰もが理解していたシーズン開幕前にアービングをトレードするという難問を解決したアルトマンGMの手腕を評価しているだろう。決して交渉を有利に運べる立場にいなかったにもかかわらず、アルトマンGMは見事に穴埋めをしてみせた。だがそれでも、ジェームズが2018年7月にレイカーズに移籍する可能性には対処しなければならない。

アービング放出の前には、デリック・ローズを格安で獲得した。シーズンMVP受賞経験のあるローズの市場価値が低かったのは、頑固にもプレイスタイルを変えなかったからだ。昨季キャリア最低の3ポイントショット成功率を記録したにもかかわらず、ローズはスコアラーになることを求めている。キャブズのオフェンスの大半はジェームズが起点になるため、ローズの考え方がチームに与えるダメージは少ない。また、キャリア初のバックアップに降格させられるだろう。

チーム大改革を実行し、キャブズはレベルアップに成功した。今年6月にはウォリアーズに敗れ、フリーエージェント選手との交渉が解禁される前にはフロントオフィスの人事異動が行なわれた(おそらくポール・ジョージの獲得失敗に影響を与えた要因)。そしてアービング放出問題に上手く対応した。

今夏イーストで最高のオフシーズンを過ごしたのは、間違いなくイーストベストチームだ。

原文:30 Teams in 30 Days: Despite changes in Cleveland, one constant remains for Cavaliers by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)


2017-18 クリーブランド・キャバリアーズ主要データ

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ