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[2017-18シーズン戦力分析]シカゴ・ブルズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2017-18シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第16回目は、シカゴ・ブルズ編をお届けする。

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2016-17シーズン成績:41勝41敗

新加入選手:クリス・ダン(トレード)、ザック・ラビーン(トレード)、ジャスティン・ホリデー(フリーエージェント)、クインシー・ポンデクスター(トレード)、ラウリー・マルケネン(ドラフト)

退団選手:ジミー・バトラー、マイケル・カーター・ウィリアムズ、ラジョン・ロンド

今夏シカゴ・ブルズほど運が逆転したチームはいなかった。球団内で唯一信頼性のあるジミー・バトラーを、ミネソタ・ティンバーウルブズにトレードしてしまったからだ。

その交換要員としてザック・ラビーンとクリス・ダンを獲得したわけだが、2人の力は未知数。つまりブルズは、そうまでして再建に切り替える必要があったということだ。そして再建に向けたプランは現在も進行中である。

しかし、この流れは避けられなかったのかもしれない。昨季はバトラーを救うためにドウェイン・ウェイドとラジョン・ロンドを加えたが、寄せ集めユニットは最終的に機能せず、当初の期待は絵に描いた餅に終わった。

昨季中盤にはロンドが若手に対する態度とリーダーシップに関してバトラー、ウェイドと争い、チームケミストリーは問題を抱えてしまった。特に問題視されたののは、数選手とフレッド・ホイバーグ・ヘッドコーチとの関係性だった。結果的に実験は失敗に終わり、球団フロントとしては、変化を起こすほかに方法がなかった。

ロンドと再契約しない決断は簡単で、バトラーのトレードも常識外れの手法ではなかった。だが、ブルズはバトラー放出に見合うだけの見返りを得られたのだろうか? インディアナ・ペイサーズがポール・ジョージをオクラホマシティ・サンダーに放出したトレードと比べればそこまで酷くはないだろうが、バスケットボールの世界は懐疑的だ。非科学的なリアクションを参考にする場合もある。

ブルズにトレードされたクリス・ダンは、1年前にラスベガスで開催されたサマーリーグで好成績を残し、ウルブズはリッキー・ルビオのトレード先探しに奔走するようになるだろうと見られていた。だが、1年目のダンが期待外れに終わり、ルビオは嫌な汗をかくこともなかった。ダンの問題はシュート能力だ。昨季はフィールドゴール成功率37.7%に終わり、3ポイントショット成功率は28.8%だった。大学に1年だけ在籍してドラフトにエントリーした他のロッタリー指名選手と異なり、ダンはすでに23歳と年齢も重ねている。

ダンとともにウルブズからやってきたザック・ラビーンは昨季中にひざの手術を受け、回復途上でブルズにトレードされた。ブルズファンも知っての通り、手術を受けた選手(例えばデリック・ローズ)というのは良い前例がない。おそらくラビーンは、今季終盤まで復帰できないだろう。また、ラビーンは今季終了後に延長契約を結ぶことが可能になるが、回復したことを証明するには十分な時間を得られず、ブルズと大型契約を結ぶことが難しい。故障明けの選手との大型契約はリスクが大きいからだ。

もし健康なら、ラビーンの加入は心強い。スラムダンクコンテストを2連覇したように、見る者を興奮させるプレイができ、近年は劇的にショット成功率が向上している。もしリハビリが上手くいけば、1試合平均20得点は見込め、ファンから人気のある存在になるはずだ。

ブルズが獲得した今年のドラフト1巡目選手であるラウリー・マルケネンは、7フッター(213cm)で、次代のダーク・ノビツキー(ダラス・マーベリックス)と言われている。これはファンが期待を持てるフレーズだ。マルケネンは大学時代に好成績を収めた。しかし、NBAへの移行は常にトリッキーである。マルケネンも例外ではなく、サマーリーグではショット成功率が伸びず、インパクトを残せなかった。

今夏獲得したフリーエージェントはジャスティン・ホリデーのみ。ニューオーリンズ・ペリカンズに所属するドリュー・ホリデーの兄は、昨季ニューヨーク・ニックスで可能性を垣間見せた。それでも、最適な役割はローテーション選手の1人、あるいは貴重なバックアップが良いところだ。

つまり、ブルズを取り巻く状況は、バトラーを放出するのに適していたと言える。今季はロッタリーに回り、来夏のドラフトで再建の力になれる選手の獲得を願えばいい。また、使える資金もある。

トレーニングキャンプ前に未解決の問題は、ウェイドの一件だろう。ブルズはウェイドの契約をバイアウト(買い取り)するのだろうか? ウェイドは再建に不向きの存在で、選手にとっても球団にとっても、前進することがベストの選択になる。もちろん、金銭面の問題が生じる可能性はある。今季2100万ドル(約22億8600万円)を受け取るウェイドが、どれだけの減額を受け入れてブルズから自由になる(そしてクリーブランド・キャバリアーズと格安の契約を結びレブロン・ジェームズと再びタッグを組む)のかがポイントになる。

そのほかには、夏の練習中に足を骨折した控えガードのキャメロン・ペインが開幕から数か月遅れることがわかっている。

球団に問うべき質問は、ガー・フォーマンGMとジョン・パクソン球団社長は、再建を進めるのに相応しいフロントなのかということだろう。フォーマンGMとパクソン球団社長は、数年前に強豪チームを作り上げた実績がある。だが、ローズがひざを痛めて崩壊した。もちろんこれは2人の責任ではないし、ローズが回復段階にいた頃もブルズは競争力を維持していた。

ただ、近年のブルズを見る限り、フォーマンGMとパクソン球団社長は何もしていないのに等しい。おそらくは、バトラーのトレードがもたらす結果が2人の運命を決めるだろう。もしダンとラビーンがチームの中心選手に成長すれば、ブルズは次の時代に向かい進んでいける。

原文:30 Teams in 30 Days: In trading Jimmy Butler, Chicago Bulls make youth a priority by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)

Photo by Bulls.com


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ