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[2017-18シーズン戦力分析]ポートランド・トレイルブレイザーズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2017-18シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第15回目は、ポートランド・トレイルブレイザーズ編をお届けする。

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2016-17シーズン成績:41勝41敗

新加入選手:ケイレブ・スワニガン(ドラフト)、ザック・コリンズ(ドラフト)

退団選手:アレン・クラブ、フェスタス・エジーリ、アンドリュー・ニコルソン、ティム・クォーターマン

12か月前に大枚を叩いたことで、ブレイザーズは2017年夏の時点で今季4000万ドル(約43億4300万円)のラグジュアリータックスを支払うことになっていた。昨季の結果を考えれば、この金額はあまりにも高すぎる。この金額は、優勝を狙えないチームにとってはあまりにも大きい。

その結果、チームは劇的に方針を変えた。今夏獲得したのは新人選手のみで、バックアップのガードとしては高額な年俸を受け取る選手を放出することにした。

時として、選手との契約に関して早急に結論を下さなくていけないケースがある。それをブレイザーズが証明したのは、2016年の夏に4年7500万ドル(約81億4400万円)のオファーシートを提示したアレン・クラブをネッツに放出した瞬間だった。

ブレイザーズにとって、クラブは残留させるには高額すぎる選手だった。チームにとって頼りになるシューティングタッチを有しているものの、それ以外の魅力はなく、C.J.・マッカラムの控え以上の存在ではなかった。それでもブレイザーズは、ガード3選手に総額5600万ドル(約60億8300万円)も支払った。いずれの選手もディフェンスが長所ではなく、何らかの手を打たなければならなかった。

またブレイザーズは、延長契約が可能なユスフ・ヌルキッチとの契約問題に直面している。昨季途中にデンバー・ナゲッツからトレードでブレイザーズに加入後、ヌルキッチはチームの弱点だったリム周辺で存在感を発揮した。24勝35敗と苦しんでいたチームに好影響を与え、4年連続となるプレイオフ進出の原動力になった。

メイソン・プラムリーを放出した決断も、ニール・オルシェイGMが今夏チームと2020-21シーズンまで契約を延長できた要因のひとつだろう。昨今の年俸高騰という流れを考えれば、ヌルキッチはマッカラム、あるいはデイミアン・リラードに近い金額を要求することもできるはずだ。

もしやり直せるのなら、ブレイザーズはクラブ、モーリス・ハークレス、エバン・ターナー、マイヤーズ・レナードと高額契約を結び、年俸総額リーグトップ5に入るような決断を下すだろうか? いずれの選手も2年前に高額契約を結びながら、まだ活躍したためしがない。現在もブレイザーズは、リラードとマッカラムのコンボに依存するチームで、そこにヌルキッチが加わったにすぎない。

これだけの大金をブレイザーズが投じた理由は2つある。まず1つは、2016年のプレイオフで(クリス・ポールとブレイク・グリフィン抜きの)ロサンゼルス・クリッパーズに勝利したチームの若手を残すため。そしてもう1つは、2016年のサラリーキャップ額が大幅に上昇したからだった。ブレイザーズはチーム内のフリーエージェントに対して強硬姿勢を見せるのではなく、ソフトに対応した。

今夏は使える予算はなく、ドラフトでの補強を実行した。チームに多様性をもたせるため、フロントラインの強化を目指したオルシェイGMは、2017年ドラフト全体15位と20位指名権との交換でサクラメント・キングスから全体10位指名権を得てザック・コリンズを獲得した。コリンズはサマーリーグで苦戦したものの、まだ19歳と若く、7フッター(213cm)の選手で、チームも期待を寄せている。

同じくドラフトで指名したスワニガンはサマーリーグで上々のパフォーマンスを見せた。同選手の存在は、パワーフォワードの選手層を厚くするだろう。レナード、ノア・ボンレイ、エド・デイビスと出場機会を争うようになるものの、全員が結果を残せれば、来年のトレード期限時期に交換要員になり得る。もし全員が結果を残せなければ、この計画も立ち消えになってしまうが……。

今夏その他に起こったことと言えば、マッカラムのカーメロ・アンソニー勧誘が挙げられる。

現在のアンソニーの所属先であるニューヨーク・ニックスは、本人のやる気のなさを感じており、また本人が退団を示唆するなど、問題を抱えた状態のままだ。この問題は、アンソニー自身が契約に含まれているトレード拒否条項を破棄すれば解決されるだろうが、アンソニーはヒューストン・ロケッツ以外のチームに移籍する意思はないようだ。

そこでマッカラムは、ソーシャルメディアを駆使してアンソニーにブレイザーズの魅力を伝えようとした。もしアンソニーが加われば、ブレイザーズにとってスモールフォワードでの得点源になれるほか、マッカラムとリラード以外の攻撃オプションが増えることになる。しかしアンソニーがマッカラムの申し出に返信することはなかった。

ブレイザーズにとっての希望は、ロスターの大半の選手が30歳未満で、まだ全盛期を迎えていない可能性があるということだ。だがマッカラムとリラード以外に、オールスターになれる潜在能力の持ち主は何人いるだろうか? 2人に次ぐオールスターを加えられない限り、ブレイザーズはプレイオフ進出がぎりぎりのラインで争い続け、ウェスタン・カンファレンスのエリートグループには入れないだろう。

原文:30 teams in 30 days: Portland Trail Blazers look to build from within after quiet summer by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)


2017-18 ポートランド・トレイルブレイザーズ主要データ

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ