1年前に激闘を繰り広げたクリーブランド・キャバリアーズとゴールデンステイト・ウォリアーズによるNBAファイナルが、今年も実現する。
イースタン・カンファレンス・ファーストラウンド、カンファレンス・セミファイナルで、デトロイト・ピストンズとアトランタ・ホークスをともにスウィープ(4勝0敗)で下したキャブズは、トロント・ラプターズとのカンファレンス・ファイナルでも第6戦の末に勝ち上がりを決め、2年連続のファイナリストとなった。
昨年と大きく異なるのは、チーム状況だ。カイリー・アービングとケビン・ラブが健康を保ったままファイナルまで勝ち上がり、レブロン・ジェームズの出場時間も1年前と比べて平均で約5分抑えることができている(今年はここまで平均37.9分、昨プレイオフは42.2分)。
今季のキャブズは、1年前と比較してあらゆる状況に対応できるチームに成長した。ピストンズ、ホークスとのシリーズでは、3ポイントシュートで相手を圧倒。中でもホークスとの第2戦では、NBA新記録となる1試合25本の3Pを成功させる圧巻のパフォーマンスを披露した。
一転してサイズとリーチの長さを駆使する争いとなったラプターズとのシリーズでは、プレイオフでの連勝が止まるなど苦戦する面もあったが、しっかりと対応してみせた。
レギュラーシーズン中にヘッドコーチの交代はあったものの、ほぼ同じメンバーで1シーズンを戦い抜いたキャブズは、戦力を整え、チーム内の信頼関係も深まっている。
今回のシリーズでポイントになるのは、やはりジェームズの存在だ。ウォリアーズのディフェンスを切り裂き、チームメイトをプレイに参加させつつ、相手とのミスマッチをついて得点力を発揮できるかが、キャブズの明暗を分けることになるだろう。マイアミ・ヒート時代を含め、自身にとって6年連続のファイナル進出を果たしたジェームズ以外に、ファイナルで勝つ秘訣を知る選手は、ほかにはいないのだから。
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一方のウォリアーズは、73勝9敗というNBA年間最多勝利記録を更新し、最高の状態でプレイオフに進出した。プレッシャーが常に付いて回る状況の中、オクラホマシティ・サンダーとのウェスタン・カンファレンス・ファイナルでは1勝3敗と追い詰められながらも、その後3連勝で逆転した史上10例目のチームになるなど、精神的な強さは群を抜いている。
シンプルながらも、他チームにはないウォリアーズ最強の戦術は、注意深くボールを回し続け、3Pを決め続けるというものだ。スティーブ・カーHCは、このやり方を変えず、ステフィン・カリーが負傷離脱した間も乗り切り、2年連続のファイナルにチームを導いた。
ウォリアーズが戦術を急に変えることはない。仮に、今プレイオフの3P成功率でウォリアーズ(40.3%)を上回るキャブズ(43.4%)が3Pの打ち合いを挑めば、試合結果は調子の良し悪しに依存することになるだろう。だが、カリーとクレイ・トンプソンというベストシューター2人を擁し、第7戦までもつれたプレイオフシリーズ(対サンダー)でNBA新記録となる90本の3Pを成功させたチームとシュート対決で挑むのは、愚策だ。
確かに、サンダーとのシリーズで心身共に疲弊しているのでは、という懸念もある。
だが、カーHCは、層の厚いベンチ選手を巧みに起用し、中心選手の出場時間を可能な限り抑えている。シーズンを通じてチームを支えてきたウォリアーズのセカンドユニットこそ、ひょっとすると連覇達成の大きなカギとなるかもしれない。
原文:Finals Preview: Warriors claw back for rematch with Cavs by Sekou Smith/NBA.com(抄訳)