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西C決勝第5戦プレビュー: 追い詰められた王者ウォリアーズと圧倒的優位に立ったサンダー――運命の一戦の行方は?

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王者ゴールデンステイト・ウォリアーズが窮地に立たされる姿など、1週間前まで誰も想像していなかっただろう。

だが現実に、年間73勝9敗というNBA年間最多勝利記録を更新したディフェンディング・チャンピオンは、オクラホマシティ・サンダーとのウェスタン・カンファレンス・ファイナルで1勝3敗と瀬戸際まで追い詰められている。

カンファレンス・ファイナル第2戦から今季初の2連敗を喫したウォリアーズに残された手段は1つしかない。目の前の1勝を確実に取りにいくことだ。

NBA史上、プレイオフシリーズで1勝3敗から逆転して勝ち上がったケースは、過去9例しかない 。最近ではヒューストン・ロケッツが昨年のウェスタン・カンファレンス・セミファイナルでロサンゼルス・クリッパーズに1勝3敗から逆転勝利を収めたシリーズが記憶に新しいところだが、これは非常に稀なケースだった。

ましてや、ウォリアーズの相手は勢いに乗っているサンダーだ。ここから3連勝するのは並大抵のことではない。

サンダーの二大エースとしてチームを引っ張るケビン・デュラントとラッセル・ウェストブルックは、今シリーズ第4戦までを終えてそれぞれ平均28.5得点、平均27得点と好調を維持している。

また、サポーティングキャストのアンドレ・ロバーソン、ディオン・ウェイターズも好調で、先発センターのスティーブン・アダムズはプレイオフを通じてチーム最多の平均9.5リバウンド、サージ・イバカもチーム最多の1.33ブロックを記録するなど、持ち味のディフェンスでチームに貢献している。

一方、ウォリアーズは、エースとしてシーズンを引っ張ってきたステフィン・カリーがまさかの不調に陥っている。

2連敗を喫した第3、4戦ではフィールドゴール37本中13本のみの成功に終わり、フィールドゴール成功率は41.6%、3ポイント成功率も37.2%と、カリーはこの2試合で大幅に数字を落としている。 負傷しているのではないかという疑惑については、スティーブ・カー・ヘッドコーチが完全に否定 したものの、ロケッツとのファーストラウンドでひざと足首を痛めた際に2週間欠場した影響が出ている可能性を示唆している。

ウォリアーズにとって唯一にして最高のアドバンテージは、運命の第5戦が本拠地オラクル・アリーナで行なわれるということだ。ウォリアーズの今季のホームゲーム戦績は、レギュラーシーズン39勝2敗、プレイオフ7勝1敗と、ここまで全49試合で3敗しかしていない。

難攻不落の要塞のようになっている同会場の雰囲気は特別で、ウォリアーズがシュートを決め、リバウンドを奪うたびに、ホームのファンが大歓声で背中を押してくれる。今季開幕前に実施された各チームの GMアンケート でも、「最高のホームコート・アドバンテージを持つチーム」として、全体の65.5%から投票されたほどで、相手チームにとっては最もやりにくい会場でもある。

ただ、サンアントニオ・スパーズという優勝候補の一角を破り、ウォリアーズをも飲み込もうとしているサンダーが、先に王手をかけたアドバンテージを生かそうとしないわけがない。彼らが第5戦で決着をつける気持ちで敵地に乗り込んでくることは、容易に想像できる。

サンダーを迎え撃つウォリアーズが再び自分たちのペースに持ち込むには、目の前の試合に集中し、開幕24連勝、ホーム39勝2敗、レギュラーシーズン73勝と驚異的なシーズンを送ってきた自分たちのスタイルと、王者の自信を取り戻すしかない。

優勝候補の大本命と見られてきたウォリアーズは、今季最大のピンチにどう立ち向かうのか? そして、圧倒的優位に立つことに成功したサンダーは、無敵と思われた王者を相手にこのまま歴史的なアップセットを演じることができるのか?

運命の第5戦は26日(日本時間27日 AM10時~)に行なわれる。


2016 NBAプレイオフ試合結果


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ