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数々の記録が生まれた2016 NBAファイナル第7戦

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2016 NBAファイナルは、ゴールデンステイト・ウォリアーズを4勝3敗で破ったクリーブランド・キャバリアーズの初優勝で幕を閉じた。史上初となる1勝3敗からの逆転優勝という劇的な幕切れとなったファイナル第7戦にまつわる記録をまとめて紹介しよう。


創設46年目の初優勝

1970-71シーズンにNBAチームとしてその球団史の幕を開けたキャブズは、創設46年目にして初優勝。

解き放たれたクリーブランドの呪縛

クリーブランドの街にとって、1964年12月27日にNFLを制したクリーブランド・ブラウンズ以来、52年ぶりのメジャープロスポーツリーグのタイトルとなった。キャブズは2007年(サンアントニオ・スパーズに敗戦)、2015年(ウォリアーズに敗戦)に続く3度目のNBAファイナル進出で初優勝。野球はクリーブランド・インディアンスの1948年、バスケットボールはアメリカン・バスケットボール・リーグのクリーブランド・パイパーズの1962年以来、優勝から遠ざかっていた。

1勝3敗からの逆転優勝

キャブズは、NBAファイナルで1勝3敗から逆転優勝を成し遂げた史上初のチームになった。1勝3敗の状況になったファイナルは今回が33回目で、過去32回は劣勢のチームがすべて優勝できずにシリーズに敗れていた。ファイナルで1勝3敗から第7戦にたどり着いたのは、今回のキャブズが史上3チーム目で、1951年のニューヨーク・ニックスと1966年のロサンゼルス・レイカーズ以来50年ぶり(両チームとも第7戦で敗戦)。

なお、プレイオフ全体では、1勝3敗からの逆転シリーズ制覇は今回が史上11回目。今プレイオフでは西カンファレンス決勝で1勝3敗からオクラホマシティ・サンダーを逆転したウォリアーズに次ぐ2回目となる。同一シーズンのプレイオフで、2チームが1勝3敗から逆転勝利を収めたのは史上初の出来事だ。

ファイナルMVP

今ファイナル7試合で1試合平均29.7得点、11.3リバウンド、8.9アシストをマークしたキャブズのレブロン・ジェームズが満票でファイナルMVPに選出され、マイアミ・ヒート時代に続く通算3度目の受賞(2012、2013年)を果たした。同賞を3回以上受賞したのは、マイケル・ジョーダン(6回)、シャキール・オニール、ティム・ダンカン、マジック・ジョンソン(いずれも3回)に次いで歴代5人目。

トリプルダブル

第7戦で27得点、11リバウンド、11アシストをマークしたレブロン・ジェームズは、ファイナル第7戦でトリプルダブルを記録した史上3人目の選手になった。過去に記録した2選手は、ロサンゼルス・レイカーズのジェームズ・ウォージー(1988年、対デトロイト・ピストンズ、36得点、16リバウンド、10アシスト)、同じくレイカーズのジェリー・ウェスト(1969年、対ボストン・セルティックス、42得点、13リバウンド、12アシスト)。

ジェームズのトリプルダブルは、プレイオフ通算16回目、今プレイオフでは2回目(5月19日の東カンファレンス決勝、対トロント・ラプターズ第2戦で23得点、11リバウンド、11アシスト)となった。ジェームズのファイナルでのトリプルダブルは通算7回目で、歴代首位のマジック・ジョンソン(8回)まであと1に迫っている。

ルーキーコーチの偉業

タロン・ルー・ヘッドコーチは、今季レギュラーシーズン途中の1月22日にキャブズの指揮官に就任し、1年目でチームを優勝に導いた史上7人目のHCとなった。過去6人はスティーブ・カー(2015年、ゴールデンステイト・ウォリアーズ)、パット・ライリー(1982年、ロサンゼルス・レイカーズ)、ポール・ウェストヘッド(1980年、レイカーズ)、ジョージ・セネスキー(1956年、ウォリアーズ)、ジョン・クンドラ(1949年、レイカーズ)、エディ・ゴットリーブ(1947年、ウォリアーズ)。なお、ルーHCは、選手時代にレイカーズで2度優勝している(2000年、2001年。※2000年はプレイオフ登録外)。

キャブズの優勝経験者

マイアミ・ヒートでリーグ2連覇(2012、2013年)を果たしたレブロン・ジェームズとジェームズ・ジョーンズはともに今回がキャリア3度目の優勝。この2人以外のキャブズの13選手は全員が初優勝だった。タロン・ルーHCは選手時代の2000、2001年に2度、アシスタントコーチのジェームズ・ポージーは選手時代にヒート(2006年)とボストン・セルティックス(2008年)で2度優勝している。

第7戦でロードチームが勝利

NBAファイナルが第7戦までもつれたのは今回が通算19回目で、2005年以降では4回目(直近は2013年のマイアミ・ヒート対サンアントニオ・スパーズ)。第7戦でロードチームが勝ったのは、今回のキャブズが史上4チーム目で、1978年にワシントン・ブレッツがロードでの第7戦でシアトル・スーパーソニックスを破って以来、38年ぶりのことだった。

ウォリアーズの記録

レギュラーシーズン記録の73勝(9敗)に加え、プレイオフで15勝をあげたウォリアーズは、今季合計88勝をマークし、1995-96シーズンにシカゴ・ブルズがあげた87勝を上回る歴代最多勝利数を記録した。

ステフィン・カリーはレギュラーシーズンの得点王(平均30.1得点)となり、3ポイントシュート成功数(402本)は1レギュラーシーズンの史上最多記録。また、ウォリアーズはチーム全体でもレギュラーシーズン史上最多の1077本の3ポイントシュートを成功させた。ウォリアーズの今ファイナル第5~7戦の3連敗は、レギュラーシーズン、プレイオフを含めて2013年11月20~23日以来初めてのことだった。

レブロン・ジェームズのプレイオフ記録

ジェームズのプレイオフ通算平均28.0得点(199試合で5572得点)は歴代5位(25試合以上もしくは625得点以上が対象)。199試合出場は同9位、287本の3P成功は同5位、1758リバウンドは同9位、1348アシストは同3位、5527得点は同4位。

また、ファイナル通算では、68本の3P成功は歴代首位、40試合出場は同15位、289アシストは同5位、396リバウンドは同9位、1079得点は同7位、平均27.0得点(40試合で1079得点)は同7位。

ジェームズは、今ファイナルで20得点以上あげた試合を通算176試合とし、マイケル・ジョーダン(173試合)を抜き、歴代首位に立った。

フェスタス・エジーリがプレイオフ初先発

第7戦で今プレイオフ初先発となったウォリアーズのエジーリは、11分の出場で無得点。レギュラーシーズンでは10月30日から11月12日にかけての10試合連続を含む合計13試合に先発し、チームは13戦無敗だった。

ドレイモンド・グリーンがトリプルダブルまであと1アシスト

第7戦でゲーム最多の32得点、15リバウンド、9アシストをあげたグリーンは、あと1アシストでプレイオフ通算3度目のトリプルダブルだった。

今ファイナルで生まれた記録

今ファイナルで32本の3Pを沈めたカリーは、ファイナル1シリーズの3P成功数でNBA記録を樹立。自らがオクラホマシティ・サンダーとの西カンファレンス決勝で作ったプレイオフの1シリーズ合計3P成功数に再び並んだ。今ファイナルで放った3P試投数80本はファイナル1シリーズの記録で、プレイオフ全体でもサンダーとの西カンファレンス決勝で放った77本を上回る新記録となった。

ウォリアーズが今ファイナルで記録した3P成功数(94本)は、ファイナル、プレイオフを含めて1シリーズにおける最多記録(これまでの記録はサンダーとの西カンファレンス決勝で沈めた90本)、同3P試投数(252本)も同じく史上最多記録となった(これまでの記録はアトランタ・ホークスがインディアナ・ペイサーズとの2014年ファーストラウンドで放った230本)。

キャブズが今ファイナルで奪ったディフェンシブリバウンド(225本)は、ファイナル史上最多記録(これまでの記録は1978年にシアトル・スーパーソニックスがワシントン・ブレッツとのシリーズで奪った223本)。また、キャブズの65スティールは、1984年にボストン・セルティックスがロサンゼルス・レイカーズとの7戦シリーズで記録した数字に並ぶタイ記録となった。

ウォリアーズが今プレイオフで決めた3P成功数(306本)は1プレイオフシーズンにおける歴代最多記録で、キャブズの258本は同2位。ともに、2015年にウォリアーズがマークした記録(240本)を塗り替えた。

4ポイントプレイ

第7戦の第2クォーターにキャブズのイマン・シャンパートが4ポイントプレイを成功(3Pとファウルを受けて得たフリースロー1本を成功)させたが、これはファイナル史上18回目の4ポイントプレイだった(今ファイナルでは第3戦でもステフィン・カリーが記録している)。


[特集]2016 NBAファイナル: ウォリアーズ vs キャブズ


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ