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2016 NBAファイナル第6戦プレビュー:敵地での2連覇か、50年ぶりの快挙達成か――?

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ゴールデンステイト・ウォリアーズとの2016 NBAファイナル第6戦をホームのクイックン・ローンズ・アリーナで迎えるクリーブランド・キャバリアーズにとって、今重要なのは目の前の試合に勝つことだけだ。

NBAファイナル史上、1勝3敗となったケースは今回を除いて32回あるが、第7戦までもつれたことは過去に2回しかない。直近では50年前、1966年のロサンゼルス・レイカーズ(対ボストン・セルティックス)まで遡らなければならず、いずれのケースも1勝3敗と追い詰められたチームの逆転優勝はならなかった。

ただ、1勝3敗で迎えた敵地での第5戦というピンチを乗り切ったキャブズとしては、まずは目前の第6戦を制して第7戦へ望み繋ぎ、歴史を覆すチャンスを得ることが何よりも重要だ。

後がない状況を迎えてからというもの、キャブズのレブロン・ジェームズは、繰り返し「自分たち次第」と発言し続けている。第6戦前日の会見でも“キング”はこう語った。

「チームのコーチングスタッフが、また素晴らしいゲームプランを用意してくれた。明日のシュート練習のときに、より具体的な部分について説明してくれるだろう。実行できるかどうかは自分たち次第だ」。

また、カイリー・アービングも、「今後24時間は第6戦のことだけに集中する」と話し、ホームでの大一番に意欲を燃やしている。

6月13日(日本時間14日)にオラクル・アリーナで行なわれた第5戦では、ジェームズとアービングがそれぞれ41得点の大活躍を見せ、キャブズが112-97で快勝し、首の皮一枚で繋がる状態を何とか維持した。同一チームの2選手が揃って40得点以上をあげるという、NBAファイナル史上初の快挙を達成したジェームズとアービングは、ホームでの第6戦でも自分たちのすべてをゲームにもたらすに違いない。

とはいえ、キャブズが第6戦に勝ち、最終決戦に勝負を持ち込むためには、この両エースのほか、ケビン・ラブの奮起も欠かせないだろう。

第2戦で脳しんとうの症状に見舞われたラブは、第5戦から先発に復帰したものの、33分の出場でフィールドゴール5本中1本成功の2得点、3リバウンドに終わるなど、期待に応えられなかった。第5戦は二大エースの歴史的パフォーマンスで勝利をもぎ取ったが、同じことが二度続くとは限らない。第6戦では、ビッグ3の一角として、ラブも本来の実力を発揮し、チームに貢献する必要がある。

ジェームズも、「間違いなく、チームには彼(ラブ)の力が必要だ。パズルを完成させる上で、彼はあまりにも大きなピース」と、復調に期待を寄せている。

第6戦が第5戦と大きく異なるのは、ウォリアーズのチーム状況だ。まず、第5戦は3勝1敗で迎えたホームでの試合だったものの、第6戦は3勝2敗で迎える敵地でのゲームであり、もしウォリアーズが第6戦に敗れると勝負は第7戦を残すのみとなる。ウォリアーズにかかるプレッシャーは第5戦の比ではないはずだ。

また、フレイグラントファウルの累積ポイントによる出場停止処分が明けたドレイモンド・グリーンが復帰する一方で、左ひざの負傷でシリーズ残り試合の欠場が決まったアンドリュー・ボーガットが離脱する。つまり、ウォリアーズにとって第6戦は、第5戦とはまったく異なる状況下での一戦ということになる。

ボーガット不在により、キャブズはアービングとジェームズがペリメーター、リム周辺にアタックしやすくなるだろう。反面、ウォリアーズはグリーンをセンターに置くスモールラインナップに意識を切り替えやすくなり、それがプラスに働く可能性が考えられる。

会見でボーガット離脱の影響について聞かれたアービングは、「マッチアップの対決になるだろうし、どちらのチームが、より効率的なチームオフェンスを決められるかどうか、じゃないかな。それからディフェンスで相手のプレイを止められるかが重要」と答えている。

第5戦とマッチアップが変わる第6戦は、それぞれの選手が変化に対応できるかどうかがカギになりそうだ。

なかでも、第5戦を欠場したグリーンの存在は、第6戦に大きな影響を与えるに違いない。自他共にコート上でのリーダーと認めるグリーンの復帰により、ウォリアーズのベンチは勢いづくだろう。グリーン自身も、「もし自分が第5戦に出場していたら、きっとチームは勝てていたと信じている」と語るように、その影響力はプレイ面、精神面の双方で大きい。

なお、キャブズがもし第6戦に敗れた場合、昨年に続いて2年連続で自分たちのホームでウォリアーズの優勝の瞬間を見せつけられることになる。ジェームズは「意識していない」と言うが、それは受け入れがたい屈辱に違いなく、第6戦に向けた大きなモチベーションになっているはずだ。

ウォリアーズが勝てば2年連続、フランチャイズ通算5度目の優勝、キャブズが勝てば50年ぶりの快挙となる1勝3敗からの第7戦へと望みを繋ぐことになる第6戦。運命の一戦は、16日(同17日、午前10時~)に行なわれる。


[特集]2016 NBAファイナル: ウォリアーズ vs キャブズ


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ