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[2016-17シーズン戦力分析]ワシントン・ウィザーズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2016-17シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第14回は、ワシントン・ウィザーズ編をお届けする。


2015-16シーズン成績:41勝41敗

新加入選手:スコット・ブルックスHC、イアン・マヒンミ、アンドリュー・ニコルソン、ジェイソン・スミス、トレイ・バーク、ジョニー・オブライアント、トマス・サトランスキー

退団選手:ランディ・ウィットマンHC、アラン・アンダーソン、ジャレッド・ダドリー、ネネ、ラモン・セッションズ、ギャレット・テンプル、ドリュー・グッデン

ワシントン・ウィザーズは2012-13シーズンを最後に負け越していない。だが、直近3シーズンは平均44勝と月並みな数字から抜け出せていない。

この夏、ウィザーズは名のあるフリーエージェントを獲得することなく、代わりにブラッドリー・ビールの延長契約に資金を費やした。健康であれば、ビールは才能あるシューターだ。だが、昨季は55試合しか出場しておらず、一昨季も63試合の出場にとどまっている。


延長契約を結んだブラッドリー・ビールにかかる期待は大きい

1年前のウィザーズは信じていた。今年の夏こそ、球団にとって優勝した1978年以来の最高の瞬間になると――。それはケビン・デュラント(当時オクラホマシティ・サンダー、現ゴールデンステイト・ウォリアーズ)の獲得に有利な立場にあると考えていたからだ。

そのため、ウィザーズは前もって準備を進めてきた。ビールの延長契約を拒み、シーズン中に長期契約の選手を加えることもせず、サラリーキャップのスペースを保った。プレイオフ進出を逃したこと以外、彼らはすべてをそのためにしてきたのだ。そして、受け入れ態勢は万全である、という印象をデュラントに与えようとした。だが結局、デュラントはウィザーズと面会すらしなかった。

ビールとジョン・ウォールのバックコートは、スピード、運動能力、シュート、パスと、相手にとって危険なコンビだ。調子の良い日なら、ウォールとビールはNBAで五指に入るコンビである。問題は、その調子の良い日が少ないということだ。その理由は、主にビールの負傷にある。金銭的にビールを囲い込んだウィザーズだが、ロスターに代役がいないため、選択肢がなかったのだ。

ユタ・ジャズからトレイ・バークをトレードで獲得し、ウィザーズはバックコートの選手層に厚みを持たせた。ネネとイアン・マヒンミはトレードで放出し、フロントコートには信頼できる控えのアンドリュー・ニコルソンを加えている。


ジャズからトレードでやってきたトレイ・バーク

ウィザーズが対応しなかったのは、スウィングマンのポジションだ。直近2回のドラフト1巡目指名権を使ってオットー・ポーターJr.とケリー・ウーブレイJr.を手に入れてきたが、 どちらも得点力はさほど高くない。ウィザーズは忍耐を続けるか、ビールとウォールから得点の負担を取り除くことのできる選手を獲得しなければならない。

唯一、大きな変化があったのがベンチだ。ランディ・ウィットマンHCに代わってスコット・ブルックスが後任HCとなった。ブルックスHCは、サンダーではデュラントとラッセル・ウェストブルックがいるという幸運に恵まれ、2012年にはNBAファイナルへとチームを導いた。だが、両選手(やほかの選手)の負傷という不運にも見舞われた。すべてがうまくいけば、少なくとも1回は優勝し、まだサンダーに籍を置いていたはずだ。だが、皮肉なことに、ブルックスHCもデュラントもサンダーを去ることになり、ウィザーズはスーパースターではなく、新たなヘッドコーチを手にすることになった。

ウィザーズは新たな方向に前進しているものの、本質的にはメンバーは同じだ。ウィザーズの運命は依然としてウォール、そしてウォールほどでないにせよ、ビールの肩にかかっているのである。

近い将来、ウィザーズはFAを狙うチャンスを手にし、ウォールが全盛期のうちにロスターを強化しようとするだろう。だが、彼らの夢は、それをこの夏に実現することだった。その夢は、デュラントが残りのキャリアを過ごすウォリアーズが実現することになるのかもしれない。

原文:30 Teams in 30 Days: Wizards again turn to familiar duo by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)


2016-17シーズン NBA全30チーム戦力分析


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ