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[2016-17シーズン戦力分析]ヒューストン・ロケッツ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2016-17シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第13回は、ヒューストン・ロケッツ編をお届けする。


2015-16シーズン成績:41勝41敗

新加入選手:マイク・ダントーニHC、チナヌ・オヌアク、ライアン・アンダーソン、エリック・ゴードン、ネネ、パブロ・プリジオーニ、タイラー・エニス

退団選手:J.B. ビッカースタッフHC、ドワイト・ハワード、テレンス・ジョーンズ、ジェイソン・テリー、マイケル・ビーズリー

過去2シーズンは平均54勝、56勝をあげ、2015年にはウェスタン・カンファレンスのファイナルにも進んだヒューストン・ロケッツだったが、昨季は五分五分の成績にとどまり、プレイオフ1回戦で姿を消した。

4年前、ロケッツはオクラホマシティ・サンダーからジェームズ・ハーデンを獲得した。それから、2014-15シーズンのMVP投票で2位となったハーデンを軸に据え、主にドワイト・ハワードとのコンビを中心とするチームを作り上げ、カンファレンス決勝までたどり着いた。だが、様々な理由からこの大きな実験は短期間で終了した。現在は、ハーデンが全盛期のうちにタイトルを狙えるチームとなるための計画の第2段階がスタートしている。


ニューオーリンズ・ペリカンズからFAになっていたエリック・ゴードン、ライアン・アンダーソンを獲得

この夏、ハーデンのトレードが検討されることはなかった。ロケッツのオーナーであるレスリー・アレキサンダーはハーデンの大ファンであり、それは契約を更新したことで証明されている。この契約更新で、ハーデンの年俸は約2600万ドル(約27億円)とサラリーがほぼ倍増し、ロケッツはハーデンをさらに数年引き留めることになった。チームと選手の双方にとって“ウィン・ウィン”だ。だが、その間にコート上で歴史に残る“ウィン”(勝利)を実現できるだろうか?

昨季、ハーデンは平均29得点、7.5アシスト、6.1リバウンドを記録した。すべて自己最高の数字だ。ターンオーバーは平均4.6回だったが、主に彼がボールを支配していたがゆえのことだ。

問題はそこにある。昨季のハーデンは平均38.1分間プレイしたが、彼はほぼ常にボールを持っていた。それにより、伝統的なポイントガードがハーデンのチームメイトになれないのだ(昨季のタイ・ローソンはチャンスがなく、気の毒だった)。そしてそれはハワードを果てしなく苛立たせた。攻撃面でのハーデンの役割を考えたときに、この状態ではロケッツがAクラスのフリーエージェントを惹きつけられるとは思えない。

しかしこの夏、彼らはBクラスの選手たちをうまく手に入れた。ライアン・アンダーソンとエリック・ゴードンは、ハーデンをハーデンらしくいさせるだろう。

そして、マイク・ダントーニ新HCの存在だ。過去10年で有数の攻撃優先型コーチと評価される彼を雇ったことは、非常に明確なメッセージである。ロケッツは非常に危険な得点マシンをコートへ送り込み、それでチームを形成しようというのだ。彼らにリングを守る選手、ペリメーターショットを防ぐ選手は(パトリック・ベバリーを除いて)いない。だが、シュート合戦になれば、得点でロケッツを上回るのは容易ではないだろう。


マイク・ダントーニ新HCの代名詞とも言える“ラン&ガン・オフェンス”の中心をジェームズ・ハーデンが担うことになる

もちろん、この「当たって砕けろ」とも言うべき戦略が大きく裏目に出る可能性もある。だが、今のロケッツにほかにどんな選択肢があるだろうか? これはハーデンのチームであり、チームは彼のためにシステムを組んでいる。大幅な戦略変更があるとすれば、ロケッツがプレイオフ進出を逃しそうになるほど成績が伸びず、ハーデンが大改革に組み込まれる場合だけである。

ダントーニHCは、ハーデンを気分良くプレイさせ、彼の周囲の選手たちを生かす攻撃を生み出せるだけのクレバーさを持つコーチだろう。それだけで、ロケッツはプレイオフ進出の青写真を再び描けるはずだ。ゴードンが健康を保ち、ハーデンへのダブルチームをアンダーソンが生かせれば、なおさらである。

ロケッツにとって今季は新たなシーズンだ。だが、多くの重要な点においては、何も変わらないだろう。

原文:30 Teams in 30 Days: Rockets make contending top focus by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)


2016-17シーズン NBA全30チーム戦力分析


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ