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[2016-17シーズン戦力分析]デトロイト・ピストンズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2016-17シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第19回は、デトロイト・ピストンズ編をお届けする。


2015-16シーズン成績:44勝38敗

新加入選手:ヘンリー・エレンソン、マイケル・ビニジェ、ジョン・ルーアー、ボバン・マリヤノビッチ、レイ・マッカラム、イシュ・スミス

退団選手:スペンサー・ディンウィディー、ジョディー・ミークス、アンソニー・トリバー

7シーズン負け越し、6シーズンプレイオフを逃していたピストンズは昨季、プレイオフに復帰した。そして、さらに上昇していこうとしている。

ピストンズは2シーズン連続でトレードによってチームを強化してきた。2015年は現在26歳のレジー・ジャクソンをオクラホマシティ・サンダーから獲得し、昨夏に契約を延長。2016年のトレード期限直前には、オーランド・マジックから24歳のトバイアス・ハリスを手に入れた。両選手ともこれから全盛期を迎える。指導と社長業(バスケットボール運営部代表)を兼任するスタン・バン・ガンディHCによるローコスト戦略だ。

この夏、バン・ガンディHCはオールスター選手である22歳のアンドレ・ドラモンドと延長契約を結ぶために天才になる必要がなかった。バン・ガンディHCはボバン・マリヤノビッチ、ジョン・ルーアー、ヘンリー・エレンソンとビッグマンたちを獲得している。リーグのほかのチームたちがスモールチームで戦っているのに対し、バン・ガンディHCは勇敢にも違う路線を取っている。そしてそれは、良い方向に報われるだろう。

人事権も持つコーチは限られている。兼任によって難しくなることもあり得る(例えば、ロサンゼルス・クリッパーズのドック・リバースHC兼社長の実績は微妙だ)。マジックを追われてから、バン・ガンディHCは次の仕事で権限を手にしたいと望み、数年にわたるジョー・デュマース元GMによる失敗を経験していたピストンズは、同HCにその権力を与えた。

バン・ガンディHCは才能を評価する能力を示しただけでなく、選手起用やトレードに関して口を挟まれることを望まなかった。彼はほかの誰でもなく、彼自身のビジョンでチームをつくりたがったのだ。


ピストンズの大黒柱アンドレ・ドラモンド

今のピストンズは、すべて彼のビジョンによるものだ。デュマース時代から残るのは、ドラモンドとケンテイビアス・コールドウェル・ポープのみ。バン・ガンディHCは、かつてのマジックのドワイト・ハワードのように、フランチャイズプレイヤーであるセンターを軸にチームをつくろうとしている。バン・ガンディHCは2009年、ハワードがけん引するマジックをNBAファイナルに導き、それから6年にわたり、関係が悪化するまで勝利を積み重ねた。

バン・ガンディHCはマリヤノビッチを加え、センターに深みを持たせた。マリヤノビッチは未知数だが、7フィート3インチ(約221センチ)というサイズのわりに良い動きをする。もちろん、特にゴール周辺での貢献も可能だ。サンアントニオ・スパーズで、ティム・ダンカンについて学んできた。ピストンズはそれが花開くことを願っている。

マーケット大学で1シーズンを過ごしたエレンソンは、ポストでプレイできるだけのサイズだが、もう少しペリメーターを土台とした攻撃的感覚の持ち主だ。つまり、彼はおそらくパワーフォワードでプレイするだろう。ライバルとなるのは、ルーアーとマーカス・モリスだ。

バン・ガンディHCはこの夏、大幅な刷新をする必要がなかった。ローテーションの半数以上(ドラモンド、モリス、ハリス、スタンリー・ジョンソン、コールドウェル・ポープ)が上り坂にある選手たちだ。FAに大金を払う前に、内部からの成長に期待できる。それらの選手たちは、ピストンズを助けるか、トレードの駒となるだろう。

それが、バン・ガンディ政権下のピストンズの美である。彼らはまだまったく完成品でない。しかし、財産はそろっている。将来のドラフト指名権があり、選手たちがそろい、サラリーキャップの空きもまずまず。端的に言えば、バン・ガンディHCはピストンズを正しい道に乗せたのだ。


スコアラーとして成長を続けるケンテイビアス・コールドウェル・ポープ

この夏の優先事項は当然、ドラモンドの残留だった。制限つきFAだが、彼を失う危険はほとんどなかった。彼はデトロイトに残ることを望んだのだ。3年前は誰のレーダーにもかからず、空席と連敗に苦しんでいた球団である。

これを続けなければ、ピストンズはタイトルを争うチームにならないだろう。彼らは船を立て直した。今やピストンズは見るに値するチームとなっている。

原文:30 Teams in 30 Days: Pistons opt to go big once again by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)


2016-17シーズン NBA全30チーム戦力分析


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ