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[2016-17シーズン戦力分析]ニューオーリンズ・ペリカンズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2016-17シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第6回は、ニューオーリンズ・ペリカンズ編をお届けする。


2015-16シーズン成績:30勝52敗

新加入選手:シェイック・ディアロ、バディ・ヒールド、ティム・フレイジャー、アロンゾ・ジー、ラングストン・ギャロウェイ、ソロモン・ヒル、テレンス・ジョーンズ、イートワン・モア、ランス・スティーブンソン、ジャーネル・ストークス

退団選手:ライアン・アンダーソン、ルーク・バビット、トニー・ダグラス、ジェームズ・エニス、エリック・ゴードン

ニューオーリンズ・ペリカンズは、クリス・ポール時代以降リーグ内での影響力を増そうと努力している。だが、2009年以降に勝ち越せたのはわずか2シーズンしかない。

方針が定まらないことが原因なのかもしれない。ともかくペリカンズは、チームが直面した事態を理解しようとしている段階だ。プレイオフ進出を果たした1年前、チームは前ヘッドコーチのモンティ・ウィリアムズを見限り、当時ゴールデンステイト・ウォリアーズのアシスタントコーチだったアルビン・ジェントリーを新HCに起用した。良い流れのままシーズンを迎えられると思われた矢先、ある出来事がチームを襲った。2015-16シーズンに入って主力が相次いで負傷離脱したのだ。

それからは何も変わっていないどころか、オールスターのアンソニー・デイビスを擁しながらも後退してしまっている。

けがという不運を経験したHCを1シーズン足らずで解雇するのは稀だ。つまり、おそらくジェントリーHCが職を失うことはないだろう。では何がサプライズだったかと言えば、GMのデル・デンプスが今もフロントの椅子に座り続けていることだ。

そのデンプスは、サンアントニオ・スパーズ時代の同僚で、ルオル・デンに関する人種差別的発言が発端となってアトランタ・ホークスを追われたダニー・フェリーを特別アドバイザーとして雇うという不可思議な人事を発表した。旧知の友人に助けを求めたかどうかはわからないが、デンプスは何か行動を起こさなければいけないという重圧に駆られたのだろう。

そのデンプス&フェリーのコンビだが、今夏やったことと言えば、ロスターの刷新ではなく、下手な修繕だった。

デイビスとの契約があと4年残っているのだから、急ぐ必要はないのかもしれない。時間的な制限はあるものの、スーパースターは巨額の大型契約期間終了まではチームを去らないものだ。しかしながら、それはつまり、現行の契約満了時期を迎えたとき、デイビスが金ではない違うものを求めて移籍する可能性があるということでもある。

2016年のドラフトでは、苦しい決断を迫られた。全体6位でオクラホマ大学のバディ・ヒールドか、ケンタッキー大学のジャマール・マレーを指名すべきか悩んだ。両選手共に似たスタイルの持ち主で、ドリブルだけを見ればマレーのほうが上回るものの、ペリカンズはヒールドの指名を決断した。この新人の存在は、デイビスの決断に影響を及ぼす可能性がある。

これまでの数年間、ペリカンズはエリック・ゴードンに対する支払い義務を終える瞬間を待ち続けた。2012年、制限付きフリーエージェントだったゴードンは、フェニックス・サンズから提示された大型契約にサインしたのだが、あろうことかフリートランスファーを嫌う世間一般の声に流され、ペリカンズはマッチするという失態を犯した。ゴードン本人がペリカンズからの移籍を希望していたということもあるが、それからは負傷の連続で満足な仕事をできず、チームを去って行った

退団したゴードン、ライアン・アンダーソンの穴を埋めるため、デンプスGMは適正以上の価格で――今夏の市場を見れば比較的割安ではあるが――イートワン・モアとソロモン・ヒルを獲得。両選手共にローテーションに入れるだけの力はあるものの、もしジェントリーHCが彼らに依存するような事態となれば、ペリカンズは再びトラブルに巻き込まれるだろう。

デンプスGMの最大の失敗は、昨夏にセンターのオメール・アーシックとアレクシス・アジンサと結んだ延長契約だ。特にアーシックの能力は低く、ハンドリング技術もなければ、リバウンドに秀でているわけでもなく、コートを駆け回れる走力にも乏しい。それにもかかわらず、契約はあと4年も残っている。

新人ヒールドは、ひょっとすると新人王候補になれる可能性がある。なぜなら、ラスベガスでのサマーリーグ初戦で躊躇せず20本のシュートを放つ度胸の持ち主だからだ(成功はわずか5本だったが)。ただ、本気で新人王候補を狙うのなら、タイリーク・エバンスとのポジション争いに勝たなければならない。

エバンスは昨季こそ負傷に苦しんだが、健康な状態ならチーム屈しのスコアラーになれるベテランだ。ジェントリーHCが両ガードの出場時間をどう配分するか、また今季終了後に契約満了を迎えるエバンスが、新人と出場時間を分け合うことにどういう反応を示すかに注目してみたい。

ペリカンズは失ってしまった1年前の勢い、流れを取り戻せるか不安に思っているのだろう。ただ、現代のNBAでは貴重なフランチャイズプレイヤーを有するチームの一つである。今こそ、デイビスの才能を無駄にするのではなく、フルに活用すべきだ。

原文:30 Teams in 30 Days: Challenges begin in Brooklyn by Shaun Powell/NBA.com​


2016-17シーズン NBA全30チーム戦力分析


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ