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[2016-17シーズン戦力分析]デンバー・ナゲッツ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2016-17シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第9回は、デンバー・ナゲッツ編をお届けする。


2015-16シーズン成績:33勝49敗

新加入選手:ジャマール・マレー、ファン・エルナンゴメス、マリック・ビーズリー、ピーター・コーネリー

退団選手:D.J.・オーガスティン、ジョフリー・ラバーン

ジョージ・カールがヘッドコーチを務めた4年前を最後に、ナゲッツの低迷は続いている。その後の3年間、ナゲッツはトレードもフリーエージェント選手の獲得も積極的に行なわない方針を取ってきたが、それ自体は決して悪い策ではなかった。今の戦力では大物FA選手たちが移籍先として希望する可能性はないため、ドラフト指名を通じてチーム内で若手を育成するプランを実行しているというだけのことだ。たしかにデンバーのファンを興奮させることはできないかもしれないが、その代わり無駄なリスクもない。自前の選手を育て、来年の夏にどういうチームになっているかを見定めようとしているのだ。

よって、今季のチームには最低限のレベルアップ程度しか期待できない。昨季の33勝(49敗)は越えられるかもしれないが、若手がミスからリズムを掴むには時間がかかるものだ。来春までに戦えるチームに育て、2017-18シーズンの下地を作ることが最高のシナリオということになる。


エマニュエル・ムディエイ

ナゲッツのジョシュ・クロンキ球団社長は、再びチームがプレイオフレベルに達したとき、ファーストラウンドで敗退するような中レベルではなく、強大な力を維持させたいと言う。実力のある選手がFAとなる来年のオフ、クロンキ球団社長は支出を惜しまないとも付け加えた。いきなりナゲッツがAクラスの選手と契約できる可能性は小さいだろうが、少なくとも、断るには惜しいと思えるだけの金額を実力者に提示できるくらいの金銭的余裕はあるはずだ。

それまでは、ここ3年のドラフトで指名したエマニュエル・ムディエイ、ジャマール・マレー、ゲーリー・ハリスという3人のガードの成長が、チームの順位に大きな影響を及ぼすだろう。

2016年ドラフトで全体7位指名権を持っていたナゲッツは、クリス・ダン、バディ・ヒールド、マレーの誰かを指名する予定でいた。5位でミネソタ・ティンバーウルブズがダンを、6位でニューオーリンズ・ペリカンズがヒールドを指名したためマレーに落ち着いたわけだが、3選手の中で最もシュートレンジが広く、ドリブルから得点する能力を持つ彼を指名できたことは、最高の結果だったかもしれない。

ただ、天性のポイントガードとしての能力には欠けているため、ナゲッツはマレーをシューティングガードとして起用するだろう。昨季は、ムディエイを同様の手法で育てた。優れた技術を備えているものの、視野の広さとパス技術の改善が必要だったムディエイは、1試合平均30.4分という長い出場時間を与えられた。今季1年目を迎えるマレーにも一定の出場時間を与え、次のステップに進む前にミスから学習する機会を与えるべきだ。


ジャマール・マレー

またナゲッツは、保持していた残りのドラフト1巡目指名権2枠を使い、20歳のファン・エルナンゴメス、19歳のマリック・ビーズリーを指名した。エルナンゴメスは細身だがチームに勢いを与えられるフォワードで、ビーズリーも興味深い才能の持ち主だ。即ローテーションに入り、出場時間を得られるだろう。

若手の育成に重点を置いてはいるものの、多くの出場機会を得る有能なベテラン選手も擁している。ケネス・ファリード、ダニーロ・ガリナーリをキープするか、それともトレード期限までに放出するかどうかは、若手の成長と、ナゲッツが彼らと交換で誰を獲得できるか次第になるはずだ。

全体的に見ればまずまずのチームと言って構わない。重荷になるような契約はサラリーキャップ内には見当たらず、若手は成長する準備を整え、チームに対するファンの期待値も低い。当然、重圧もない。そして、ロッカールーム内での人心掌握に長け、若い選手との関係も良好なマイク・マローンHCが指揮を執っている。


ケネス・ファリード

大きな目標を立てられるようになるまで、最低でもあと1年はロッタリー(プレイオフを逃したチームが参加するドラフト指名権抽選会)に舞い戻ると予想される。だが近い将来、トレードで1人ないし2人を放出し、FA選手を獲得し、1巡目指名した若手が、オールスターレベルではなくと優秀な選手に成長する時期を迎える。

大がかりなプランに聞こえるかもしれない。しかし、少なくとも時間的な猶予はある。それこそが、ナゲッツ最大の強みと言えるだろう。

原文:30 Teams in 30 Days: Nuggets still have time on their side by Shaun Powell/NBA.com


2016-17シーズン NBA全30チーム戦力分析


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ