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[2016-17シーズン戦力分析]ロサンゼルス・レイカーズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2016-17シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第2回は、ロサンゼルス・レイカーズ編をお届けする。


2015-16シーズン成績:17勝65敗

新加入選手:ルーク・ウォルトンHC、ブランドン・イングラム、イビチャ・ズバッチ、ルオル・デン、イー・ジェンリェン(易建聯)、ティモフェイ・モズゴフ、ホセ・カルデロン

退団選手:ブランドン・バス、ロイ・ヒバート、コービー・ブライアント

昨季のロサンゼルス・レイカーズは球団最低記録の17勝に終わった。プレイオフ進出を逃すのも、球団最長記録となる3年連続だ。

昨季は“排水”のシーズンだった。すべてはコービー・ブライアントだったのだ。彼が去るまで、レイカーズは本格的に再建を始めることができなかった。最後の数シーズン、ブライアントは勝利を望んでいた。助けがなく、レイカーズが将来を抵当に入れてまで彼の幻想に賭けることを望んでいないと分かるまで――。

そしてそれは終わった。新しい時代が訪れつつある、あるいは、レイカーズはそうなることを願っている。新たなスター探しは、まずブランドン・イングラムから始まる。しなやかで線の細いフォワードは優れた本能を備えており、現実的な希望を抱かせてくれる。

そのサイズ、スキル、市場価値から考えても、イングラムをドラフト全体2位で指名するのは簡単な選択だった。レイカーズは大変な苦労をして、イングラムをドラフト指名できる立場になったのだ。そして今の段階では、彼はその痛みに値する存在であると言える。


デューク大学1年だった昨季、ブランドン・イングラムは36試合に出場し、平均17.3得点、6.8リバウンドをマークした

イングラムにとって良かったのは、チーム内に同じく発展途上の選手たちがいることだ。そのために、レイカーズは若い選手たちを手に入れてきた。目標は、この若い主力たちをともに成長させ、今のうちにミスをさせることだ。翌シーズン、あるいは翌々シーズン、プレイオフに向けて大きな成長を遂げられるように、だ。

この誇り高き球団は、この立場に慣れていない。だが、トレードを大ヒットさせたり、大物フリーエージェント選手を獲得することがなければ、ほかにどんな選択肢があるだろうか?

この夏、レイカーズはケビン・デュラントの獲得に本腰を入れて動こうとはしなかった。だが、彼らには確立されたブランド力があり、サラリーキャップにも大きな余裕がある。だからこそ、球団が正しい方向に進んでいるという確信を若手たちがもたらしてくれた場合、来年以降にトップクラスのFA選手を獲得しに動くことも現実的にあり得るだろう。

レイカーズにとって喜ばしいのは、ラスベガスでのサマーリーグにおける2年目のポイントガード、ディアンジェロ・ラッセルの出来だ。レギュラーシーズンが終わってからも、ラッセルは日々練習場でトレーニングを積んできた。レイカーズの経営陣からも評価されている。ラッセルはプレイメーカーとして一貫性がなく、リーダーシップを発揮するのにも苦しんでいた。まだ10代だったのに名門チームに所属し、ハリウッドに住んでいたのだ。無理もない。


次世代レイカーズの核として期待されるジュリアス・ランドル(左)とディアンジェロ・ラッセル

昨季のラッセルはフィールドゴール成功率41%と低調だった。何より良くなかったのは、平均3.4アシストに終わったことだ。このため、パサーとしての彼を疑う声も上がった。だが、ドラフトの失敗作に組み込まれたくないラッセルは、真面目になった。そして経営陣に、このチームの今、そして未来のポイントガードを務めたいと伝えた。だからこそ、レイカーズは今季、彼とポジションを競う選手を獲得しなかったのだ。

ラッセルはバイロン・スコット前ヘッドコーチよりも、ルーク・ウォルトン新HCとより良い関係を築いているはずだ。ウォルトンHCは引き受けた際にそれを優先させ、ラッセルとの関係を築けるように穏やかな気質で臨んだ。

レイカーズは念のため、ベテランも補強した。ルオル・デンだ。正しいプレイをするためにどうすべきか、若手たちに教えるためである。また、レイカーズはスコアラーとしてもデンに期待している。平均二桁得点を記録し、守備でも模範的であるなら、彼には見合う価値があるだろう。


NBA13シーズン目を迎えるルオル・デンは通算15.5得点の得点力と若手を牽引するリーダーシップをチームにもたらす

年俸1700万ドル(約17億6000万円)でティモフェイ・モズコフと契約したことは驚きだった。2014-15シーズンはクリーブランド・キャバリアーズでファイナル進出に貢献したが、昨季はほとんど存在感がなかったからだ。それでもレイカーズは、昨季の彼はキャブズのローテーションにうまくはまらなかっただけであり、健康であれば存在感を発揮できると考えた。そこにサラリーキャップの空き、ビッグマンの不在などもあって、レイカーズは財布に手を突っ込んだのである。

レイカーズはジョーダン・クラークソンとも再契約し、ジュリアス・ランドル、ラリー・ナンスJr.の大きな成長にも期待している。ウェスタン・カンファレンスでプレイオフに出るには、それでも不十分かもしれない。だが、レイカーズはより良き日々を目指して前進したいと望んでいる。

原文:30 Teams in 30 Days: Lakers start their rebuild process by Shaun Powell/NBA.com


2016-17シーズン NBA全30チーム戦力分析


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ