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[2016-17シーズン戦力分析]ニューヨーク・ニックス

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2016-17シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第7回は、ニューヨーク・ニックス編をお届けする。


2015-16シーズン成績:32勝50敗

新加入選手:ルー・アムンドソン、ウィリー・エルナンゴメス、ブランドン・ジェニングス、ミンダウガス・クズミンスカス、コートニー・リー、モーリス・ンドゥール、ジョアキム・ノア、ジャスティン・ホリデー、デリック・ローズ

退団選手:アーロン・アフラロ、ホセ・カルデロン、ラングストン・ギャロウェイ、ジェリアン・グラント、ロビン・ロペス、デリック・ウィリアムズ、トニー・ローテン

厳しい3シーズンを過ごしたニックスは、残されたカーメロ・アンソニーの全盛期を生かしながら巻き返しを試みている。

アンソニーはそのプロセスを見ようと、ニックスに残った。球団を信頼しているからか、家族のライフスタイルがニューヨークの街に根付き、去るには魅力的すぎるのか。そのどちらも真実だろう。だから、フィル・ジャクソン社長が何をしても、アンソニーはそこにいるのだ。彼は決断している。ほかの場所に行くことを望んでいないのだ(そして夫人も同じだと断言する)。

そのため、ニックスを立て直すとなったとき、ジャクソン社長の選択肢は多くなかった。すべてアンソニーのことを考えながらやらなければいけなかったからだ。一度完全に壊すという選択肢はない。アンソニーがオールスターレベルのプレイをするために残されたこの先数年を無駄にするわけにはいかないのだ。そこで、ジャクソン社長はサラリーキャップの余裕を削ることなく、妥協することにした。シカゴ・ブルズからデリック・ローズをトレードで獲得し、フリーエージェントのジョアキム・ノアとリーズナブルな金額で契約したのである。

2011年のMVPであるローズと、2014年の最優秀守備選手のノアは、かつてブルズの主軸だった。その後、負傷により、少なくとも短期的にその力や影響力は落ちている。だが、ローズは今季調子を上げ、健康を保つかもしれない。ノアもハイレベルなセンターに戻るかもしれない。そうなれば、ニックス、ローズ、ノアが何を失うというのか? 彼らはみな、互いを必要としている。

ローズとノアを迎えるうえで、ジャクソン社長の選択肢はあまりなかった。ニックスにはドラフト1巡目指名権がなく、ケビン・デュラント級のFAを引きつけるだけの魅力もなかった。ローズとの契約はトライアルベースで、ローズの体が信頼に足り、再生するのであれば、ニックスは契約を延長する。そうでなければ、そのままだ。ジャクソン社長とニックスにとってウィン・ウィンとなり得る。

ノアについては、ニックスはロビン・ロペスと彼を取り換えた形だ。ジャクソン社長は、ノアが健康ならアップグレードし、そうでなければサラリーが障害にならないようにとリスクヘッジしている。

機能させるために任務を託されたのは、ジャクソン社長が厳選したジェフ・ホーナセックHCだ。フェニックス・サンズで数シーズンにわたって結果を出し、ベテランが集まるチームを率いるうえで必要な気質があることを示してきた。

ローテーションのために、ジャクソン社長はコートニー・リー(4年総額4800万ドル/約48億8000万円)とブランドン・ジェニングス(1年500万ドル/約5億円)を獲得した。ともに素晴らしい価値のある補強だ。リーは速さがあり、まずまずのスコアラーで、ガードのポジションを両方ともこなせる。ジェニングスはローズのバックアップだ。ローズのもろさを考えれば、重要な保険となる。総合的に、ジャクソン社長の夏の手腕は見事だった。今回は、オーナーのジム・ドーランの資金を無駄にしなかったのだ。

今季のカギは、2年目のクリスタプス・ポルジンギスが成長を続けるかどうかだ。彼のレベルがもう1段階上がれば、ニックスはイースタン・カンファレンスで5位か6位に入ることもあり得る。重要なのは、ノアの存在だ。彼はポルジンギスの手本になれる。

夏のチーム編成にニックスのファンが希望を持っていることは疑いない。アンソニーも同じだ。スターとしての彼に残された時間はそれほど多くない。その時間を、優れた仲間と過ごすほうが良いだろう。そして今の彼には、その優れた仲間がいる。

原文:30 Teams in 30 Days: Knicks remix roster to fit with 'Melo by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)


2016-17シーズン NBA全30チーム戦力分析


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ