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[2016-17シーズン戦力分析]サクラメント・キングス

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2016-17シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第8回は、サクラメント・キングス編をお届けする。


2015-16シーズン成績:33勝49敗

新加入選手:アイザイア・カズンズ、ヨーゴス・パパヤニス、スカル・ラビシエ、アーロン・アフラロ、マット・バーンズ、タイ・ローソン、ギャレット・テンプル、アンソニー・トリバー、ボーヤン・ボグダノビッチ、マラカイ・リチャードソン

退団選手:クインシー・エイシー、マルコ・ベリネリ、セス・カリー、ラジョン・ロンド

キングスは2005-06シーズンを最後にプレイオフに進めておらず、その後10シーズン連続でレギュラーシーズン負け越しに終わっている。彼らのこの夏は、ドラフトの夜のデマーカス・カズンズのツイートに集約されるだろう。

「神よ、僕に力を与えてくれ」。


デマーカス・カズンズ

カズンズがキングスに関して喜んでいないときは、決して良い兆候ではない。シーズンが始まってもいないときなら、なおさらだ。基本的に、キングスは現在や近い将来について、カズンズに自信を感じさせなかったのだ。この“結婚”がどれだけ続くか気になるところだ。ドラフトやフリーエージェント選手の獲得に関して、ブラデ・ディバッツ・バスケットボール運営部門バイスプレジデント兼GMの仕事に拍手を送るのではなく、カズンズは肩をすくめているのである。

「僕は僕の仕事をする。自分にコントロールできることをコントロールする。彼らには彼らの仕事をしてもらう」。

良い報せもある。キングスはカズンズとよく衝突していたジョージ・カール前HCに代え、デイビッド・イェーガーHCを招へいした。アシスタントコーチとして、そして過去3シーズンはヘッドコーチとして、計9シーズンにわたってメンフィス・グリズリーズで高く評価されてきた指導者だ。大物スコアラーがおらず、若くない(そしてケガもあった)ロスターを引き継ぎながら、イェーガーHCはメンフィスで懸命に働き、良好な関係を保ち、堅実な仕事をしてきた。イェーガーHCはカズンズにとって2012年以降5人目のコーチとなる。

キングスは、カズンズのトレードを含む刷新に踏み切らなかった。昨夏はラジョン・ロンドを加えることでカズンズを助けようとしたが、10シーズン連続でプレイオフを逃すことになり、カール前HCのもとでの混乱とフラストレーションに耐えなければならなかった。正しい手法を見つけることができてない球団による新たな失敗だった。

カズンズに言わせれば、キングスはまだその正しい手法を見つけていないということになるだろう。ウィリー・コーリー・スタインをドラフト指名した2015年に続き、キングスは今年のドラフトでヨーゴス・パパヤニスとスカル・ラビシエを加えている。


デイビッド・イェーガー新HC

キングスはアリーナやロゴ、ユニフォームを新しくした。イメージを変え、個性を見つけようとしている。だが、これらは細かなことに過ぎないだろう。カズンズのほかに戦力が揃っておらず、若手はまだその力を示していない。カズンズのトレードは常に選択肢にあったが、キングスはまだ踏み切るつもりがないようだ。

成功を収められない不幸せにもかかわらず、カズンズがサクラメントを愛していることを球団は知っている。本人がトレードを要求したことはない。これは、カズンズがFAとなる2年先まで、キングスにとって裏目に出る可能性もある。待てば待つほど、損をすることになるかもしれないのだ。喜んで1年だけカズンズを“レンタル”しようというチームはないからである。そして、彼がチームに残りたがるのか、前進したがるのか、それはカズンズ次第となる。

キングスはシカゴ・ブルズと契約したロンドを引き留めなかった。キャンプ開始を前に、ポイントガードの層は厚くない。ルディ・ゲイやベン・マクレモアはいるが、力を保つという点でそれほど見せてきた選手たちではない。ゲイは常にトレードの可能性があり、マクレモアはカンザス大学を卒業したときに言われたほどのスコアラーではないだろう。

キングスは保険としてアフラロと契約したが、彼の全盛期は過ぎている。


(上)ベン・マクレモア、(下)タイ・ローソン

昨季は3ポイントシュートも武器に加え、この夏のリオデジャネイロ・オリンピックではアメリカ代表としてもプレイしたカズンズほどのスキルを持ったセンターを擁するチームは多くない。五輪での経験により、カズンズは才能あふれる選手たちとのプレイ、そして勝利の味がどのようなものかを知った。

キングスでまたも敗北のシーズンを過ごすかもしれないという展望について、カズンズはどう考えるのだろうか。現実的かつ最高のシナリオは、キングスの若手が予想されるより早く成長し、ゲイがトレードのオファーを引きつけ、マクレモアが信頼に足るスコアラーに成長することだ。それでも、プレイオフに出場し、カズンズを幸せにする保証にはならない。

イェーガーHCは非常に難しい仕事を抱えている。彼は現実に向き合いつつ、カズンズの気持ちもケアしなければいけないという難題に直面しているのだ。

原文:30 Teams in 30 Days: Kings, Cousins look to move forward by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)


2016-17シーズン NBA全30チーム戦力分析


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ