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[2016-17シーズン戦力分析]マイアミ・ヒート

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2016-17シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第21回は、マイアミ・ヒート編をお届けする。


2015-16シーズン成績:48勝34敗

新加入選手:ウェイン・エリントン、ジェームズ・ジョンソン、ロドニー・マグルーダー、ウィリー・リード、ベノ・ウードリッヒ、ディオン・ウェイターズ、デリック・ウィリアムズ、ルーク・バビット

退団選手:ルオル・デン、ジェラルド・グリーン、ジョー・ジョンソン、アマレ・スタウダマイアー、ドウェイン・ウェイド、ドレル・ライト

レブロン・ジェームズが去ってから2シーズン目となった昨季、マイアミ・ヒートはシーズン後半戦でクリス・ボッシュを失ったにもかかわらず健闘した。

だが、オフシーズンに予想外のドラマが待っていた。ジェームズが去り、ボッシュが選手生命を脅かす病気に苦しむなか、球団史上最高の選手だったドウェイン・ウェイドが、シカゴ・ブルズへと去ったのだ。


2003年のプロ入り以来ヒート一筋だったドウェイン・ウェイドがついにチームを去った

この夏のNBAのあらゆるFA選手の動きにおいて、ウェイドのブルズ移籍がサプライズだったことは明らかだ。ケビン・デュラントがゴールデンステイト・ウォリアーズに向かった以上のサプライズである。ウェイドはラリー・バードやジェリー・ウェスト、ジュリアス・アービングらのように、以前の世代のスーパースターのように生涯を一つの球団で終えると思われていた。ウェイドはヒートであり、ヒートはウェイドだったのである。契約交渉が難航していたときも、彼らが別離を選ぶと予想した人は少なかった。

しかし、根本的な問題があった。NBAのサラリーキャップは昔と比べて厳しくなり、現代のFAの選手たちはみな、“おいしい”思いをしたがっているのだ。特にウェイドはさらにハングリーだった。ヒートにおける価値が明らかだったにもかかわらず、彼はチーム内で最高給選手になったことがなかったのだ。ビッグスリー時代のウェイドのサラリーはジェームズやボッシュのそれを大きく下回っていたわけではないものの、それが焦点となったのである。

ウェイドは、自身のような経歴のないチームメイト、特にハッサン・ホワイトサイドよりも少ないサラリーでヒートでのキャリアを終えることを望んでいなかった。しかし、パット・ライリー社長は負傷の過去を持つ高齢の選手に大金を出すことを望まなかった。そして行き詰ったのだ。

最初の衝撃が消え去り、冷静になると、両者の間からも一触即発といった怒りはなくなった。ウェイドはヒートに自分の場所があること、引退後にライリー社長とオーナーのミッキー・アリソンが歓迎してくれることを知っている。


新生ヒートの大黒柱として大きな期待を背負うハッサン・ホワイトサイド

だが、ヒートは突然、ホワイトサイドのものとなったのだろうか。数年前の彼は、居場所の決まっていない、将来が疑問視される選手だった。それが今では、5年9800万ドル(約102億円)の選手だ。昨季のサラリーは98万ドル(約1億円)だった。今季はそれが約2200万ドル(約23億円)に跳ね上がったのである。マイケル・ジョーダンのサラリーが300万ドルから3000万ドルとなって以来の上げ幅だ。

ヒートが期待できるのはどういったことだろうか。ホワイトサイドは27歳でキャリアの絶頂期にある。昨季は平均3.7ブロックを記録し、最優秀守備選手の投票で3位だった。また、平均14.2得点、11.8リバウンドを記録しており、機能的なビッグマンが減っているリーグにおいて上昇気流に乗っていることは明らかだ。

しかし、ヒートはホワイトサイドの役割と重要性、プレイ時間を高め、チームの中心としたいのだろうか。それとも、高給取りのスターとしたいのだろうか。また、大金を得ることは彼の人間性にどう影響するだろうか。それらの答えが、ヒートのホワイトサイドに対する信頼が報われるかどうかを決めることになる。突如として、彼はもう無名ではなくなったのだ。金と地位は法外な期待を求めるものだ。


クリーブランド・キャバリアーズで3年、オクラホマシティ・サンダーで2年を過ごしたディオン・ウェイターズ

それ以外では、この夏のヒートは節約モードを敷くことができた。ジョー・ジョンソンやルオル・デンと再契約しなかったのは驚きではない。一方、安価でディオン・ウェイターズとデリック・ウィリアムズを加えた。それぞれロールプレイヤー以上になることはないが、シーズンを通じて多くの素晴らしい試合を生み出せる選手たちだ。

原文:30 Teams in 30 Days: Miami moves on from Wade era by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)


2016-17シーズン NBA全30チーム戦力分析


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ