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[2016-17シーズン戦力分析]アトランタ・ホークス

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2016-17シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第22回は、アトランタ・ホークス編をお届けする。


2015-16シーズン成績:48勝34敗

新加入選手:ドワイト・ハワード、トーリン・プリンス、ディアンドレ・ベンブリー、ウィル・バイナム、マルコム・デレニー

退団選手:アル・ホーフォード、ジェフ・ティーグ、ラマー・パターソン

一昨季は60勝の壁を乗り越え、イースタンカンファレンスの決勝にもたどり着いたアトランタ・ホークスだが、昨季は48勝にとどまった。

ホークスは「リスペクトされるべきなのに最もリスペクトされていないNBAのチーム」の筆頭候補だ。2009年から安定して勝利を手にしているものの、リーグを席巻したことがない。これまで多くのオールスター選手(アル・ホーフォード、ジェフ・ティーグ、ジョー・ジョンソン、ポール・ミルサップ、カイル・コーバー)を擁しながら、スーパースターには恵まれなかった。そしてその繁栄にもかかわらず、ホークスはアトランタの地を魅了することができていない。

この夏、ホークスはチームを刷新するかのような動きを見せた。ここ数年の球団の顔だったホーフォードが去り、ティーグもいなくなった。その代わりに、ホークスはキャリアの岐路にあった地元アトランタ出身のドワイト・ハワードを獲得したのだ。そして、昨季スターターとなったフリーエージェントのケント・ベイズモアを引き留めるために、4年7000万ドル(約73億円)という金額を費やした。


3シーズンを過ごしたロケッツでは平均16.0得点、11.7リバウンド、1.6ブロックをマークしたドワイト・ハワード

これらの動きは、ホークスを良くするためのものだった。だが、顔ぶれだけを変えて現状を維持したチームに過ぎないという懐疑的な見方もある。変更を目的とした変更ということだ。

ハワードが何を残すかによるところが大きいだろう。30歳となった彼は最近、負傷に耐えなければいけなくなった。5年連続でオールNBAファーストチームに選出されたが、それも2012年までのことだ。見事な攻撃の動きも失い、もはや最優秀守備選手の投票も多く稼ぐことができない。だが同時に、ハワードが非常に機能的であることは変わらず、ポストでの存在感もある。

近年のヒューストン・ロケッツにおけるハワードがミスキャストであり、活用されていなかったとホークスが考えているのは明らかだ。ロケッツは“ジェームズ・ハーデンとその仲間たち”だった。それは、ハワードがあまりボールを持つことがなかったということだ。ハワードは孤立していたのである。

問題は、全盛期に平均20得点を記録していたころ、ハワードは運動能力に頼って得点をあげていたということだ。年齢を経たときに自身を救ってくれる技を磨かず、運動能力が衰え出し、ハワードは無防備となった。30歳のセンターに、新たな攻撃の技を教えることは可能だろうか?

独特な個性を持つハワードにチームリーダーを務めることは、ホークスも求めていない。それはミルサップに求められることだ。ハワードに必要なのは、平均ダブルダブル(得点とリバウンドで二桁をマークすること)を力強く実現させることである。

脚光を浴びるのはハワードだけではない。ティーグがいなくなったことで、ホークスはデニス・シュルーダーに鍵を委ねた。昨季、控えとしての役割をうまくこなし、ティーグが負傷したときに輝いた選手だ。シーズンを通じて平均35分間のプレイ時間を与えられても、シュルーダーはそのレベルを保つことができるだろうか?


NBA入りから3シーズン、ベンチで実績を積み上げてきたデニス・シュルーダー

ティーグのトレードで、ホークスはユタ・ジャズがドラフト全体12位で指名した新人のトーリン・プリンスを手に入れた。6フィート8インチ(約203センチ)のエネルギッシュなスモールフォワードで、攻撃力を伸ばしている選手だ。勝ち越しているチームに加入した新人にとっては珍しいが、プリンスはローテーションに割って入るチャンスを手にするだろう。

ホークスがダニー・フェリーGMを解雇したとき、仕事を引き継いだのは、ウェズ・ウィルコックスをアシスタントとしたマイク・ブーデンホルザーHCだった。彼のようにフロントとしても権限を持つコーチは限られている。ブーデンホルザーとウィルコックスのコンビは、いまだ人事権を持っているようで、ハワードとの契約は、彼らを助けるか傷つけるかのどちらかになるだろう。


ポール・ミルサップは過去2シーズンのチームのトップスコアラー(昨季は平均17.1得点)

ある意味で、ハワードは価値ある買い物だった。彼の契約は3年7000万ドル(約73億円)。ニューヨーク・ニックスのジョアキム・ノアのサラリーを下回り、ロサンゼルス・レイカーズのティモフェイ・モズゴフのそれをわずかに上回る金額でしかない。これは、FA選手を探すことになった場合にホークスを柔軟にさせるだろう。

ハワードは、生まれ育ったアトランタに来れて幸せだと言っている。今後、アトランタは彼のことをどう思うだろうか?

原文:30 Teams in 30 Days: Hawks hope shakeup provides spark by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)


2016-17シーズン NBA全30チーム戦力分析


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ