NBA

[2016-17シーズン戦力分析]メンフィス・グリズリーズ

Author Photo
Sporting News Logo

NBA.comのショーン・パウエル記者が2016-17シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第16回は、メンフィス・グリズリーズ編をお届けする。


2015-16シーズン成績:42勝40敗

新加入選手:デイビッド・フィッツデイルHC、ウェイド・ボールドウィン、ディオンテ・デイビス、ジェームズ・エニス、チャンドラー・パーソンズ、ウェイン・セルデン、D.J.・スティーブンズ、トロイ・ダニエルズ

退団選手:デイビッド・イェーガーHC、マット・バーンズ、クリス・アンダーセン、ランス・スティーブンソン、ジョーダン・ファーマー、ザビエル・マンフォード

過去6シーズン、ウェスタン・カンファレンスでエリートクラスにいたグリズリーズだが、昨季は成績を落とした。

マイク・コンリーはこの夏、5年総額1億5300万ドル(約159億円)に上る大型新契約を結んでグリズリーズに残った。球団がこの決断を下したのは、現実的な選択肢がなかったからでもある。コンリーに代わる若手はおらず、昨年夏にマルク・ガソルとマックス契約を結んだだけに、継続して競争力を保つには、コンリーとの再契約が必要だったのだ。どのチームもコンリーにそれだけの金額を出すということはないだろう。だが、グリズリーズはファンに正しいメッセージを送るために必要と感じたのである。

しかし、そのメッセージが正確かどうかはまだ分からない。グリズリーズはコンリーだけでなく、ダラス・マーベリックスからFAとなっていたチャンドラー・パーソンズとも4年総額9400万ドル(約98億円)という契約を結んだのだ。オールスターに選ばれた経験がなく、フランチャイズプレイヤーでもない2選手に総額2億4700万ドル(約257億円)、そこにガソルのサラリーの残り7200万ドル(約75億円)も加わる。

健康に恵まれれば、グリズリーズは新シーズンでウェスタン・カンファレンスのプレイオフを戦い続けるだろう。大きな注目を集めるのは、ひざを手術したパーソンズだ。5年間のNBAキャリアにおいて、パーソンズが82試合すべてに出場したことはない。過去2シーズンの出場は、66試合と61試合にとどまった。ただ、パーソンズはキャリア平均フィールドゴール成功率が47%と非常に効果的なシューターであり、“グリット&グラインド”時代のグリズリーズにいなかったタイプの選手だ。


チャンドラー・パーソンズのシュート力は大きな武器になり得る

唯一の問題は、グリズリーズにはもはや大きさと激しさがないかのようであることだ。ガソルは足の負傷から戻ろうとしているところで、ザック・ランドルフは老け込んでいる。ローポストで脅威となる実績ある選手はほかにおらず、その結果、チームの個性と志向も調整される可能性が高まっているのだ。

昨季のグリズリーズは、主に負傷が理由で28名もの異なる選手を起用した。コンリーはわずか56試合、ガソルは52試合、トニー・アレンは64試合の出場に終わっている。それでも、チームはプレイオフに進み、健闘したが、デイビッド・イェーガー前ヘッドコーチ(現サクラメント・キングスHC)が職を維持するには至らなかった。

ただ、3年前にもミネソタ・ティンバーウルブズに向かいかけたことがあっただけに、イェーガー前HCの退団はグリズリーズにとって完全なるショックではなかった。後任は、レブロン・ジェームズやドウェイン・ウェイドらと強力な関係を築いたマイアミ・ヒートのエリック・スポールストラHCの右腕だったデイビッド・フィッツデイルだ。

フィッツデイル新HCはチームに残った選手たちすべてを最大限に生かし、パーソンズをルディ・ゲイ(現キングス)が去ってからグリズリーズに欠けていた得点力のあるウィングプレイヤーとするための方法を見つけなければいけない。ゲイがいなくなってから、グリズリーズはジェフ・グリーンやビンス・カーターを試してきたが、それまでのような結果には至っていない。


優勝も経験したマイアミ・ヒートで長らくアシスタントコーチを務めたデイビッド・フィッツデイル新HC

グリズリーズはドラフト1巡目指名権を使い、ガードのポジションを2つともこなせるウェイド・ボールドウィンを手に入れ、さらにディオンテ・デイビスも加えた。若手を投入したわけだが、ただ、両選手ともレギュラーポジションを手にするのは厳しいだろう。

グリズリーズの軸はコンリー、ランドルフ、アレン、ガソルと変わらず、そこに新戦力パーソンズの助けが加わる。堅固なスターティングファイブだ。だが、アレンとランドルフはともに30代半ばとあり、時間は限られている。加えて、コーチは新人だ。そして、実績あるシックスマンもいない。

彼らは、この夏は成功だったと考えているだろう。コンリーを残し、シューターを見つけたからだ。それが目標だったのであり、彼らは任務を遂行したのである。しかしながら、昨夏と今夏で大金をはたいたにもかかわらず、グリズリーズがウェスタン・カンファレンスのエリートクラスにとどまれるかどうかと問われれば、疑問が残ると言わざる得ない。

原文:30 Teams in 30 Days: Grizzlies try to stay in hunt by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)


2016-17シーズン NBA全30チーム戦力分析


著者
NBA Japan Photo

NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ