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[2016-17シーズン戦力分析]ロサンゼルス・クリッパーズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2016-17シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第25回は、ロサンゼルス・クリッパーズ編をお届けする。


2015-16シーズン成績:53勝29敗

新加入選手:ブライス・ジョンソン、ダイヤモンド・ストーン、アラン・アンダーソン、ブランドン・バス、レイモンド・フェルトン、マリース・スペイツ

退団選手:コール・オルドリッチ、ジェフ・エアーズ、ジェフ・グリーン、パブロ・プリジオーニ、C.J.・ウィルコックス、ブランデン・ドーソン

クリス・ポールが加入してからの5シーズン、クリッパーズは60%の勝率を記録しながら、ウェスタンカンファレンスの決勝にたどり着くことができなかった。

来年の夏には、ポールとブレイク・グリフィンが無制限フリーエージェントとなる。チームの将来の方向性は、来年の7月1日以降の状況次第だ。それはポール、グリフィン、ドック・リバース・ヘッドコーチ、オーナーのスティーブ・バルマーの全員にとって岐路となる。


入団5年のクリス・ポール。そろそろカンファレンス準決勝以上の結果が欲しいところだ

バルマー・オーナーは3年前の夏に20億ドル(約2080億円)でクリッパーズを買収し、プロスポーツ界に波紋を呼んだ。球団に投じる資金はまだ残されているが、チームは特別な勝利を手にしていない。

バルマーの忍耐がどこまでもつのかによるところが大きいだろう。ここまで見てきた限りでは、彼の仕事は小切手を用意し、コートサイドから応援して、バスケットボールに関する決定に介入しないことだった。だが、どこかでバルマーは自身が投じた金銭に見合う価値を手に入れようと求めるだろう。オーナーとはそういうものだ。

任務を負うのが、リバースHCだ。トップレベルのコーチと評価されているが、エグゼクティブとしての実績にはムラがある。リバースHCが就任したとき、クリッパーズの核はグリフィン、ポール、そしてディアンドレ・ジョーダンだった。そしてそれは今も変わっていない。これは良い知らせでもあり、悪い知らせもある。オールスターの3人がクリッパーズに50勝をもたらす一方で、リバースHCはJ.J.・レディックを除き、チームの核に新たな選手を加えてこなかったのだ。前述のトリオや贅沢なシックスマンであるジャマール・クロフォードでクリッパーズの核をつくったのは、元GMのニール・オルシェイである。

リバースHCに対して公平を期すために言っておくべきなのは、勝ち続けているチームに新たな財産を加えるのは難しいということだ。そういったチームは上位のドラフト指名権がなく、スター選手たちが好待遇を求める。FAやトレードに使えるサラリーキャップが制限されるのだ。その結果、リバースHCはウェスリー・ジョンソンやベテランのポール・ピアース、ランス・スティーブンソン、ジョシュ・スミスなど、“格安路線”で穴埋めをしていった。

昨季、リザーブとして質の高さを見せたコール・オルドリッチという宝石を見つけたリバースHCだが、オルドリッチは高騰するマーケットを生かし、ミネソタ・ティンバーウルブズに行ってしまった。

息子のオースティン・リバースとは3年3500万ドル(約36億円)の契約を結んだが、クロフォードとの交渉は予想より長引いた。最終的にクロフォードはサインしたが、ドラフト1巡目指名権を手放してまで獲得したものの失望に終わったジェフ・グリーンは去ることになった。

リバースHCが拒んだのは、チームの核を壊すことだ。昨季、グリフィンが球団職員を殴って手を骨折したときも、彼はグリフィンを手放そうとしなかった。グリフィンにとっては雪辱のシーズンとなるはずだ。そしてそうなれば、来夏に彼は大金を要求するだろう。地元に戻ってオクラホマシティ・サンダーに加入する可能性もあれば、バルマーとリバースHCが承認すればロサンゼルスに残ることもあり得る。


昨季オフコートでのトラブルを起こしたブレイク・グリフィンは評価を挽回するシーズンに

もっと厄介かもしれないのは、ポールだ。球団における彼の重要度やそのプレイレベルは今季も疑いない。だが、来年夏でポールは32歳になる。有力視されているのは、クリッパーズは何としてでも彼を引き留め、年齢の問題は先送りにするという見方だ。

この夏のクリッパーズがFAで獲得した選手では、マリース・スペイツがゴールデンステイト・ウォリアーズで優勝を経験しており、彼は信頼できる中距離ジャンパーでもある。ただ、守備でのミスは高い代償となるかもしれない。レイモンド・フェルトンは狡猾なプレイメーカーで、ベテランの控えとして理想的だ。ブランドン・バスはスポットとして助けになる。

ドラフトではブライス・ジョンソンを指名したが、ローテーションの選手層から、このハードワーカーが出場機会を得ることはあまりないと思われる。

本質的に、クリッパーズは1年前から変わっていない。違いはポールとグリフィンの健康状態だ。シーズン50勝は確実と見られるが、その後は、この夏よりもずっと興味深いオフシーズンが待っている。

原文:30 Teams in 30 Days: Clippers bring back band for another try at title by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)


2016-17シーズン NBA全30チーム戦力分析


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ