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[2016-17シーズン戦力分析]ボストン・セルティックス

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2016-17シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第23回は、ボストン・セルティックス編をお届けする。


2015-16シーズン成績:48勝34敗

新加入選手:ジェイレン・ブラウン、グーション・ヤブセレ、ディミトリアス・ジャクソン、ベン・ベンティル、ジェラルド・グリーン、アル・ホーフォード

退団選手:ジャレッド・サリンジャー、エバン・ターナー

ボストン・セルティックスは昨季、50勝まであと2勝に迫った。ブラッド・スティーブンズ・ヘッドコーチとダニー・エインジGMのコンビのもとで、進化を続けている。

スーパースターこそいないが、チームワークとハードワークによって再びプレイオフに進めると確信している。そして、5月(つまりカンファレンス・セミファイナル以降)まで勝ち進むこともあるかもしれない。

セルティックスはこの夏、市場に出回っていた最も優れたフリーエージェント選手の一人だったアル・ホーフォードを獲得した。その栄光の歴史において、セルティックスは主に自前のタレント、あるいはトレードで手にしたタレントで優勝してきた。彼らにとってはそれは誇りのようなものだ。しかし、ロスターを形成するもう一つの道、つまりFAに関しては成功してこなかった歴史がある。

だが、今夏FAで獲得したホーフォードは、これまでオールスターに4回選出され、ゴール付近や中距離ショットの仕事ぶりで評価されてきたビッグマンだ。ホークスではその高いプロ意識や人間性も称賛されてきた。ボストンのようにより熱狂的なバスケットボールの街でも、それは高く評価されるだろう。


インサイドのディフェンスからミドルレンジのオフェンスまでこなすアル・ホーフォードをホークスから獲得

ひとつ明確にしておくと、当初ホーフォードはセルティックスにとっての“ファーストチョイス”ではなかった。セルティックスはケビン・デュラントの獲得に熱心だったのだ。だが、彼はゴールデンステイト・ウォリアーズに向かった。

スティーブンズHCとエインジGMは最も優れたHCとGMコンビの一つと見られており、突如としてセルティックスは“求められる場所”となった。チームは上昇気流に乗っており、エインジGMは優れたロスターだけでなく、再建中のブルックリン・ネッツから今後2回のドラフト1巡目指名権も手に入れている。

エインジGMは今年、ネッツの1巡目指名権をジェイレン・ブラウン(全体3位指名)に使った。これには懐疑的な見方もある。この指名権をトレードに使って実績のあるFAを獲得していたら、完璧だったかもしれない。だが、デマーカス・カズンズ(サクラメント・キングス)のような取引は実現しなかった。クリス・ダン(ミネソタ・ティンバーウルブズ/全体5位指名)、ジャマール・マレー(デンバー・ナゲッツ/全体7位指名)、バディ・ヒールド(ニューオーリンズ・ペリカンズ/全体6位指名)ではなく、ブラウンを選んだエインジGMを疑問視する声もある。

だが、エインジGMはブラウンの運動能力を気に入っており、まだ19歳のこの新人がショットの精度を高め、ミスを減らしていくと考えた。さらに、ほかの選手たちと異なり、6フィート7インチ(約201cm)のブラウンは問題なくスウィングマンの役割をこなすことができる。


ドラフト全体3位指名のジェイレン・ブラウン

最初はローテーションで空きがあるスモールフォワードとして出場時間を得るだろう。セルティックスはエバン・ターナー(ポートランド・トレイルブレイザーズに移籍)との再契約にこだわらなかった。セルティックスで良いシーズンを過ごしたターナーだったが、ホーフォードと契約し、セルティックスは替えがきくと考える選手のために大金を払うつもりがなかったのだ。

セルティックスはジャレッド・サリンジャーとの再契約を断念したが、タイラー・ゼラーとは1600万ドル(約17億円)で契約を2年延長した。これでゼラーはジェイ・クロウダーやアイザイア・トーマスのサラリーを上回り、チーム4位の高給取りとなる。

これはと当然の疑問を生む。サラリーに関する嫉妬がロッカールームで影響を及ぼさないだろうか? ホーフォードは今季、トーマスよりも2000万ドル(約21億円)も多く手にするのである。トーマスが再交渉できるのは来年の夏で、クロウダーの契約は最低でもあと2年続く。

とはいえ、勝利はすべての薬となる。セルティックスはそのためにチームをつくっている。数少ない例外を除き、セルティックスの選手たちは複数のポジションをこなすことができ、スティーブンズHCは対戦相手に応じた数多くのラインナップを選択肢とすることができるのだ。

そこにホーフォードが加わったという事実は、正しい方向に向かっているチームをさらに後押しするはずだ。イースタンカンファレンスでクリーブランド・キャバリアーズの対抗馬となれる候補を探している人にとって、セルティックスは考慮に入れるべきチームだろう。

原文:30 Teams in 30 Days: Horford's arrival a sign of progress in Boston by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)


2016-17シーズン NBA全30チーム戦力分析


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ