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[2016-17シーズン戦力分析]クリーブランド・キャバリアーズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2016-17シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第28回は、クリーブランド・キャバリアーズ編をお届けする。


2015-16シーズン成績:57勝25敗

新加入選手:ケイ・フェルダー、クリス・アンダーセン、マイク・ダンリービー

退団選手:ティモフェイ・モズゴフ、マシュー・デラベドーバ、モー・ウィリアムズ、サーシャ・カーン

クリーブランドとキャバリアーズの無冠時代は、2016年NBAファイナルで1勝3敗から史上初の大逆転優勝を果たしたことで終わりを告げた。当然ながら、街は盛大な祝福とパレードに沸いた。

1964年を最後に歓喜のシャンパンを口にしていなかった街であり、キャバリアーズにとっては史上初の優勝だ。いまだにクリーブランドがお祭り騒ぎであっても不思議ではない。レブロン・ジェームズとチームは2連覇を果たすため2016-17シーズンを戦うことになるが、仮に失敗したとしても、誰も彼らを咎めはしないだろう。彼らは、それだけの歓喜をクリーブランドにもたらしたのだ。

今オフ最大のタスクは、タロン・ルー・ヘッドコーチとの契約を延長することだった。年俸700万ドル(約7億円)は、今年の2月までHCとしてチームを指揮したことがない指導者には大金だが、優勝という結果を残して得たものでもある。お祭り気分を害する必要など、まったくないではないか。

いずれにしても、ルーHCは指導者としてスターダムに乗ると見られていた。ドック・リバース(ロサンゼルス・クリッパーズHC兼バスケットボール運営部代表)の下で学び、デイビッド・ブラットの隣でチームを率いたNBA最高年俸のアシスタントコーチでもあった。ルーにとって最も重要だったのは、ジェームズから尊敬を勝ち取ることだった。それが叶ったとき、ボトルの半分は埋まったようなものだった。ロッカールームと固い絆で結ばれ、バスケットボールを学び、昨ファイナルでは、より優秀なHCだった。優勝がかかったシリーズで、躊躇せずケビン・ラブを先発から外すなど、物怖じもしなかった。

ひょっとすると、チームにとってジェームズ、カイリー・アービング、ラブに次いで最も重要な存在は、ルーHCなのかもしれない。HC就任後に優勝を勝ち取り、その能力に見合うだけの契約を勝ち取ったのだから。


地元クリーブランドに初優勝をもたらしたレブロン・ジェームズの今季の目標は2連覇のみ

今夏チームからは、マシュー・デラベドーバとティモフェイ・モズゴフが大盤振る舞いのフリーエージェント市場の恩恵に与り、高額な契約を手にチームを去った。彼らはリングを獲得し、リッチになった。賢い選択と言えるだろう。

昨ファイナルでルーHCから出番を制限されたデラベドーバだが、移籍先のミルウォーキー・バックスでは十分な出場時間を得るはずだ。一昨季のファイナルで見事なプレイを見せたモズゴフは、昨季けがに悩まされたが、新天地のロサンゼルス・レイカーズでは先発起用が濃厚だ。

補強面に関して言えば、格安でインサイドの守りを固められるクリス・アンダーセンと、3ポイントショットでチームの力になれるマイク・ダンリービーを獲得した。

成功を収めた優勝チームは、大規模な改造を好まない傾向にある。キャブズも同様の道を取った。多少なりともチームをいじり、それで2連覇に失敗すれば、メディアに叩かれてしまう。だからこそ優勝チームのGMは安全な道を通ろうとする。変更を加えるとしても最小限しかロスターをいじらない。キャブズがクリーブランドで不安定なパフォーマンスを続け、ファイナルでは期待を下回るパフォーマンスに終わったラブをチームに残したのは、そのためだ。もしトレードしたとしても、十分な対価は得られなかっただろう。

このチームの中心は、たった一人の選手に委ねられている。クリーブランドは、ジェームズが同州で生まれ育ったことに感謝すべきだ。もし彼がサクラメントかメンフィス、あるいはインディアナポリス出身だったとしたら、マイアミ・ヒートから“地元に帰る”ことを決めたとしても、クリーブランド行きはあり得なかった。そうなれば、クリーブランドを取り巻くスポーツ事情も大分様変わりしていたはずだ。


リーグ屈指のスコアリングガードであるカイリー・アービング

今後数年間で取るべき道は、サラリーキャップ内でジェームズを支えられる選手を獲得することだ。オーナーのダン・ギルバートは、必要なら年俸総額が基準を越えたチームに課せられるラグジュアリータックスをも支払うと話している。果たしてジェームズは、オールスターレベルの選手をクリーブランドに呼び寄せることができるだろうか? ドウェイン・ウェイドは今夏キャバリアーズという船には飛び乗らなかった。来年FAになるクリス・ポールの獲得は考えにくい。カーメロ・アンソニーがマンハッタンを離れてクリーブランドに移る可能性も低いだろう。

キャブズが2連覇を達成できるかは、すべてジェームズにかかっている。つまり、今季もキャブズは安泰ということだ。

原文:30 Teams in 30 Days: Why mess with a good thing? by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)


2016-17シーズン NBA全30チーム戦力分析


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ