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[2016-17シーズン戦力分析]ポートランド・トレイルブレイザーズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が2016-17シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第18回は、ポートランド・トレイルブレイザーズ編をお届けする。


2015-16シーズン成績:44勝38敗

新加入選手:ジェイク・レイマン、フェスタス・エジーリ、エバン・ターナー、シャバズ・ネイピアー

退団選手:クリフ・アレキサンダー、ジェラルド・ヘンダーソン、ブライアン・ロバーツ

2014-15シーズンの先発選手を4人も一度に失ったにもかかわらず、昨季のポートランド・トレイルブレイザーズはプレイオフ進出を果たし、ウェスタン・カンファレンス準決勝でゴールデンステイト・ウォリアーズと一騎打ちしたのに驚かされた人も多いはずだ。

チーム史を振り返れば、より良いシーズンは当然ある。しかし、2015-16シーズンは最も支持されるシーズンの一つだったのではないだろうか。テリー・ストッツ・ヘッドコーチ、ニール・オルシェイGM、スターガードのデイミアン・リラードの力により、ようやく戦える陣容を揃えられるようになった。


デイミアン・リラード率いるブレイザーズは昨季低評価を覆してプレイオフ進出を果たした

今オフの補強について論じる前に、昨年の夏に起こった出来事を振り返ることは重要だ。フリーエージェントとなったラマーカス・オルドリッジが移籍を決断後、ブレイザーズの立ち位置は劇的に変わった。スペアパーツのような選手を寄せ集め、ウェスト下位争いは避けられないと酷評されたのだ。

だが、結果的に昨季レギュラーシーズンで44勝をあげ、プレイオフ・ファーストラウンドではロサンゼルス・クリッパーズに勝利(ブレイク・グリフィンとクリス・ポールの負傷に感謝)。それよりも驚きだったのは、前年王者ウォリアーズと戦えるところを見せたことだった。たった1年で評価を一変させたブレイザーズは、単に勝てるチームというだけではなく、面白い試合をするチームという位置づけに変わった。

シューター、そしてスクリーン&ロールに長けたビッグマンが揃ったチームに変貌して迎えた今オフの目標は、戦力アップだけではなく、昨プレイオフ進出を実現させた選手をチームに残すことだった。

控えガードのアレン・クラブを残すのには骨が折れた。ブルックリン・ネッツがまだ全盛期を迎えていない選手に4年7500万ドル(約76億1100万円)という大型オファーを提示したからだ。選手の格を考えれば無茶苦茶なラインすれすれのオファーだったが、2019年までのドラフト指名権をボストン・セルティックスにコントロールされている以上、ネッツに失うものはない。少しでも戦力になる選手の獲得に資金を投じたということだ。

結局ブレイザーズはネッツがクラブに提示したオファーにマッチした。これによりクラブは、リラード、C.J.・マッカラムに次いでチーム内で3番目の高給取りとなった。昨季は平均10.3得点、プレイオフでも取り留めて印象に残る活躍をしたわけではないクラブは、リラードとマッカラムの存在がある以上、これからも控えという立場は変わらない。

昨季MIP賞を受賞したマッカラムは、4年1億600万ドル(約107億5800万円)という巨額の契約を手にし、リラードに匹敵する評価を得た。バックコートの3選手にずいぶんと大金を投入する破目になったが、ブレイザーズの肝でもあるポジションだけに、致し方なかった。


昨季のMIP賞(最優秀躍進選手賞)に輝いたC.J.・マッカラム

オフにはスウィングマンのエバン・ターナーを獲得。ドリブルに優れるターナーはミッドレンジ専門のスコアラーで、昨季リーグ6位の3ポイントシュート試投数をマークしたブレイザーズにとっては良い補強と言える。昨季、セルティックスで活躍したターナーは、ポイントフォワードとしてボールハンドリングにも長けた選手だけに、ストッツHCのゲームプランに選択肢をもらたすだろう。

オフに4年4100万ドル(約41億6100万円)で再契約したメイヤーズ・レナードは、肩の脱臼と関節唇の損傷で3月に昨シーズン終了となった。身長は216cmあるもののリバウンドに優れるわけでもなく、インサイドでも強さを発揮できない選手だったが、“ストレッチ5”(アウトサイド型のセンター)として再生の道を見出し、昨季は37.7%の3P成功率をマークしてチームにフィットしてみせた。

そして、ビッグマンのフェスタス・エジーリを格安で獲得することに成功する。プレイオフで市場価値を上げられなかったエジーリに対し、ブレイザーズは2年1500万ドル(約15億2200万円)という条件を提示した。もしプレイオフで活躍できていたら、より高額な契約を手にできていたはずだ。トロント・ラプターズのカンファレンスファイナル進出に貢献したビズマック・ビオンボが、オーランド・マジックと年俸1700万ドル(約17億2500万円)の契約をものにしたことを考えれば、その差は歴然だ。


ウォリアーズで優勝を経験(2015年)したフェスタス・エジーリがブレイザーズに加入。テリー・ストッツHC(右)にとって有用な戦力となるはずだ

いずれにせよ、エジーリ、メイソン・プラムリー、エド・デイビスがチームのパワープレイヤーとして、インサイドのディフェンス、リバウンド、スクリーンからのパスの受け手という役割を担う。

全体的に、ブレイザーズは今オフにポジティブな成果をあげられたと言える。1年前とは大違いだが、これで苦戦を強いられれば回れ右するしかない。もしそうなったとしても、1年前のブレイザーズに起こったことを考えれば、納得がいくかもしれない。

原文:30 Teams in 30 Days: Blazers favor continuity in their climb by Shaun Powell/NBA.com


2016-17シーズン NBA全30チーム戦力分析


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ