NBA

2015 ユーロバスケットで活躍したNBAの“ライジング・ユーロスター”たち (青木崇)

Author Photo
Sporting News Logo

今回のユーロバスケットには、MVPを獲得したスペインのパウ・ガソルのほかにも数多くのNBA選手が出場していた。スペイン戦で7本の3ポイントシュートを決めたマルコ・ベリネッリら、NBAで実績のある選手たちが存在感を示すシーンは多かった一方で、このユーロバスケットをきっかけに、NBAにおける活躍の機会を増やしそうな選手もいた。ユーロバスケット・リポート第3弾は、その可能性を秘めた“ライジング・ユーロスター”たちを紹介する。


ジョナス・バランチュナス(リトアニア/トロント・ラプターズ)

59.1%の高いフィールドゴール成功率で平均16点をマークし、8.4リバウンドは大会5位、1.4ブロックショットも4位にランクされた。平均出場時間が27.5分と控えめでありながらこの成績を残したことや、リトアニアの決勝進出に大きく貢献したことを考えれば、大会ベスト5選出も納得だ。ドナタス・モティユナスやダリュスとクシストフのラブリノビッチ兄弟を欠いたフロントラインの中で、チームを牽引する存在に成長していた。ポストアップからのフックショット、ミドルレンジのジャンプシュートに加え、85.7%という高いフリースロー成功率は、得点力向上という点でプラス材料だった。NBA4年目となる今シーズンは15点、10リバウンド以上のアベレージを期待したい。


ルディ・ゴベール(フランス/ユタ・ジャズ)

ゴール前に立ちはだかる高い壁となって、フランスのディフェンスを支えた。ドライブしてきた相手に対するヘルプからのブロックショットだけでなく、腕を伸ばすだけでもシュートミスに導いたシーンは何度もあった。セルビアとの3位決定戦、ドライブからダンクを試みたネマニャ・ビエリツァをブロックしたのは、まさにその象徴だ。

また、スペインとの準決勝で40点と大爆発したパウ・ガソルの対応に苦しめられたといえ、第4クォーター終盤にドライブからのレイアップを止めたディフェンスは見事だった。今シーズン、ディフェンスでジャズの成績向上に貢献できれば、ディフェンシブ・プレイヤー・オブ・ザ・イヤーの候補に名乗りを上げたとしても不思議でない。発展途上のオフェンスが、今シーズンどのくらいスキルアップするかも注目に値する。


ネマニャ・ビエリツァ(セルビア/ミネソタ・ティンバーウルブズ)

ヨーロッパ屈指のオールラウンダーであり、今シーズンからウルブズでプレイすることが決まっている。このユーロバスケットでは、1対1から局面を打開する能力が高いことを示すシーンが何度もあった。ドイツとのグループリーグ戦、残り0.9秒にウイングからドライブし、ベースラインから決勝点となるランニングショットを決めたのは見事だった。

パワーフォワードとのマッチアップになれば、巧みなボールハンドリングを使ったドライブ、サイズで優位に立てるスモールフォワードに対しては、ポストアップで得点を稼ぐことができる。2点シュートのFG成功率は68%という高い数字を誇っている。また、こういったプレイから、チームメイトにアシストできる視野の広さもある。スクリーンからポップアウトした場合は、NBAレンジの3Pを決められるシュート力もある。ディフェンスが大きな弱点になりさえしなければ、ウルブズで即戦力として活躍する可能性は十分ある。


ヤニス・アデトクンボ(ギリシャ/ミルウォーキー・バックス)

準々決勝のスペイン戦では、211cmのサイズと抜群の身体能力を生かし、何度もハッスルプレイを見せた。それは8本奪ったオフェンシブ・リバウンドだけでなく、トランジション・ディフェンスでの戻り、長い腕を生かしてパスを弾くといった、スタッツに表れない部分での貢献度が高かった。

スペイン戦の12点、17リバウンドを最高に、今大会はダブルダブルを3度記録。最後の4試合で3Pを2本ずつ決めるなど、シュート力の向上も見られた。バックスでも貢献度の高いプレイが期待できそうだ。


トーマス・サトランスキ(チェコ/2012年2巡目32位でワシントン・ウィザーズが指名/現バルセロナ)

10代の頃から200cmの大型ポイントガードとして注目され、リトアニア戦では15アシストを記録するなど、今大会では2位となる平均7.3アシストをマークした。ヤン・ベセリーに絶妙なタイミングでアリウープダンクを何度もアシストするなど、視野の広さをゲームメイクに生かせるのが最大の強みだ。

非凡な身体能力に加え、9試合中4試合で3Pを2本以上決めるなど、シューティングガードをこなせるシュート力があることも証明。バルセロナとの契約が今シーズンで終わることもあり、サトランスキは来シーズンのNBA入りを計画している。

文:青木崇 Twitter: @gobluetree629, Photos by FIBA.com

[関連記事]

[2015 ユーロバスケットMVP] 母国スペインを欧州王者に導いたパウ・ガソル (青木崇)

2015 ユーロバスケット総括リポート(青木崇)

[2015 ユーロバスケット総集編] 激戦の欧州をスペインが制す

著者
NBA Japan Photo

NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ