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2015-16 戦力分析:ワシントン・ウィザーズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が、全30チームの戦力を分析。今回は、ワシントン・ウィザーズ編を紹介しよう。

2015-16 NBA全30チーム戦力分析


新選手:ケリー・ウーブレイ、ゲイリー・ニール、アラン・アンダーソン、ジェレッド・ダドリー
 
退団選手:ポール・ピアース、アンドレ・ミラー

ウィザーズファンには申し訳ないが、球団の頭にあるのは来年オフのプランで、今年ではない。

ウィザーズは来季終了後にフリーエージェントになるケビン・デュラント(オクラホマシティ・サンダー)の獲得に向け、キャップスペースに十分な空きを用意しておかなければいけないからだ。

この話題は、おそらくデュラントが結論を下すまで頻繁に報じられるだろう。それも仕方がない。何故なら、デュラントはワシントンD.C.エリア出身なのだから。

シーズンMVP受賞経験のある選手が、すでに成功を収めている球団から移籍する可能性は低い。ましてやサンダークラスのチームで、ラッセル・ウェストブルックという強力なパートナーがいる環境を簡単に手放すとは考え難い。しかし、昨今のNBAでは、地元のチームでプレーするというトレンドがある。昨季までウィザーズに所属し、プレーオフで勝負強さを発揮したポール・ピアースは、残留ではなく、ロサンゼルス・クリッパーズへの移籍を決断した。言うまでもなく、ピアースはLA出身だ。

ウィザーズの魅力は、NBAトップ5に入るポイントガードのジョン・ウォール、エリートレベルのシューターであるブラッドリー・ビール、そしてマーチン・ゴータットを中心とする強力ビッグマン陣だ。仮にデュラントが移籍を決意すれば、先発のオット・ポーターがシックスマンに回ることになるだろう。

狙いをデュラントに絞っているウィザーズは、今夏の補強費を抑え、カンザス大出身のケリー・ウーブレイ(スモールフォワード)をドラフトで指名した(実際はアトランタ・ホークスが指名後、交渉権がウィザーズにトレード)。

ウィザーズのプランは、ウォールとビールのバックコートコンビを残した上での大型補強ということになるが、ビールも来年FAになるため、延長契約を提示する時期が重要になるだろう。今オフに新契約を結べば、来オフにデュラントを獲得する余裕はなくなる。来年のオフにビールと契約するという選択肢もあるが、その場合、条件の良い他チームに移籍する可能性もゼロではなくなってしまう。

愛する地元でプレーすること、そしてウォールとビールの存在以外に、デュラントにとってウィザーズ移籍がプラスとなり得る要因は、大混戦となるウェスタン・カンファレンスよりもファイナルに進出する可能性が高いということだけだ(レブロン・ジェイムズとクリーブランド・キャバリアーズに敬意を払っていないわけではない)。

可能性がある以上、準備を整えておく必要がある。だからこそウィザーズは、経験豊富で、ベンチからの得点源となれるゲイリー・ニール、アラン・アンダーソン、ジャレッド・ダドリーを格安で獲得するだけにとどめた。

もし来オフにデュラントがウィザーズへの移籍を決断すれば、同年11月に行なわれる大統領選で選出される第45代アメリカ合衆国大統領よりも、温かく迎え入れられるかもしれない。

原文: 30 Teams, 30 Days: Wizards laying groundwork for possible homecoming by Shaun Powell/NBA.com (抄訳)

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ