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2015-16 戦力分析:フェニックス・サンズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が、全30チームの戦力を分析。今回は、フェニックス・サンズ編を紹介しよう。  

2015-16 NBA全30チーム戦力分析


新選手:タイソン・チャンドラー、デビン・ブッカー、ミルザ・テレトビッチ、ジョン・ルアー
 
退団選手:ジェラルド・グリーン、マーカス・モリス、マイルズ・プラムリー、ブランデン・ライト

なんとも奇妙なオフになった。

このオフ、フェニックス・サンズは、32歳のベテランセンター、タイソン・チャンドラーと4年総額5200万ドル(約62億5600万円)で契約した。仮に契約満了までサンズでプレーしたとして、そのときには36歳になっている。この補強により、アレックス・レンの出場時間が減少するのは間違いない。2年前にドラフトで指名したレンは、厳しいポジション争いがなかったにもかかわらず、まだチーム内のポジションを確立させられていないのだ。伝統的に見ても、ビッグマンの育成には時間がかかる。チャンドラーだって、NBAで3年の経験を積むまでは特別な存在ではなかったのだから。

そして、チャンドラーはサンズにとって最後のピースではない。彼らがオフに本腰を入れていたのはラマーカス・オルドリッジ(サンアントニオ・スパーズへ移籍)の獲得だったはずだ。まさかとは思うが、オルドリッジとの交渉を有利に運ぶためだけにチャンドラーを獲得したわけではないと思いたい。

それからサンズは、マーカス・モリスをデトロイト・ピストンズへ放出した。2年前に延長契約を結び、チームでの未来があると示した選手に見切りをつけてしまった。チームの決断に激高したのは双子の兄マーキーフで、マーカスのトレード後、公然とサンズにトレードを要求。サンズが取るべき行動は、マーキーフの怒りを鎮めるか、トレード先を探すかの2つに1つしかなくなった。もっとも、ほかのチームに特定の選手をトレードで放出する必要があると知られている以上、交渉は難しくなってしまうのだが……。

悪い報せばかりでもない。サンズにとって朗報なのは、ドラフトでピュアシューター型のデビン・ブッカーを指名できたことだろう。昨年の今頃はエリック・ブレッドソーと再契約したばかりか、ゴーラン・ドラギッチを擁しながらアイザイア・トーマスを獲得するなど、ガードを多く抱えていた。しかし、ドラギッチとトーマスが退団したことで、当然ながらサンズはオフェンスのアップグレードが必要と考えた。まだNBAでの経験はないが、現在のロスターでピュアシューターと呼べるのはブッカーだけなので、1年目にある程度の出場時間は得られる。

そして、昨季途中にミルウォーキー・バックスからトレードで獲得したブランドン・ナイトとも5年7000万ドル(約84億2100万円)で再契約を結んだ。オールスターレベルに達していないガードにそれだけの大金を投じたわけだが、年俸約700万ドル(約8億4200万円)のトーマスをキープし、より良い選手と契約することもできたのではないだろうか。ただ、長期的なプランでブッカーを育てるというビジョンがあれば、ポイントガードとシューティングガードでプレー可能なブレッドソーとナイトに加え、ブッカーの3人でローテーションを回す方針は賢明かもしれない。3人ともまだ若く、彼らを軸に再建案も検討できる。

深刻な問題は、フロントコートの得点源であるスモールフォワードだ。これまでの出場時間の大半を同ポジションで得てきたPJ・タッカーの起用が考えられるものの、筋骨たくましいシューターであるタッカーは、深い位置でパスを受けてシュートを決めるスポットアップタイプの選手であり、大量得点は期待できない。だが、昨季ローテーションから外れたジェラルド・グリーンがオフにマイアミ・ヒートへ移籍したため、タッカーに頼らざるを得ない。

というわけで、ブッカーの指名によってサンズは救われた感が強い。有望な新人を獲得した以外は、年寄りセンターと契約し、暴行事件に関与した疑いがあるなど素行に問題のあった双子の一方(2人になる可能性も)を放出しただけ。後退させる必要はなかったはずなのだが、オフのサンズの動きを見る限り、すぐに前を向けるチームとは言い難い。

原文: 30 Teams, 30 Days: Suns' summer a strange one by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ