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2015-16 戦力分析:サンアントニオ・スパーズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が、全30チームの戦力を分析。今回は、サンアントニオ・スパーズ編を紹介しよう。

2015-16 NBA全30チーム戦力分析


新選手:ラマーカス・オルドリッジ、デイビッド・ウェスト、レイ・マッカラム、ジマー・フレデッテ、ボバン・マルジャノビッチ
 
退団選手:マルコ・ベリネッリ、ティアゴ・スプリッター、アーロン・ベインズ、コーリー・ジョセフ

主力の大半が残留し、ロッタリーにも回らず、大物フリーエージェントも取らない方針を取るのがスパーズの通例だった。しかし、2015年オフの補強は、トニー・パーカーをドラフトで指名して以降最大のインパクトをチームに与えるものになるだろう。

新加入ラマーカス・オルドリッチは、NBA現役トップ10リストにこそ入らないかもしれないが、オールスター選手だ。全盛期を迎えた今、優勝に最も近いチームの1つへの移籍を決断した。オルドリッジがスパーズを選択した理由は、いくつか考えられる。

まずは、テキサス出身ということ。オースティンにオフシーズンを過ごすための家を持っているオルドリッジは、オフの日にもその家に車を数時間飛ばして向かうほどだ。もう1つの理由として考えられるのは、テキサス州では所得税が課税されないということ。これは大金を稼ぐアスリートにとっては朗報だ。そして、グレッグ・ポポビッチ・ヘッドコーチが今も指揮を執り、ティム・ダンカン、パーカー、カワイ・レナード、ダニー・グリーン、ボリス・ディアウ、パティ・ミルズ、マヌ・ジノビリという、先発からサポーティングキャストまで豪華な選手が揃っている。これが移籍を決めた最大の理由にほかならない。また、オフに同じくFAとなったデイビッド・ウェストも、優勝リングを勝ち取ることを叶えるため、大幅な年俸減額を受け入れ、インディアナ・ペイサーズでの先発というポジションを捨ててまで移籍を決断。この陣容を見る限り、優勝を狙う上でスパーズ以上の環境はないのではないだろうか?

もちろん、オルドリッジを獲得するためスパーズにも失うものがあったのも事実で、有力な戦力を手放す必要があった。一昨季の優勝に貢献したティアゴ・スプリッター(アトランタ・ホークス)とマルコ・ベリネッリ(サクラメント・キングス)を放出。特にスプリッターは、ダンカンの出場時間を抑えるのに必要な存在だっただけに痛い。そして、バックアップセンターのアーロン・ベインズも、デトロイト・ピストンズに移籍した。ビッグマンの穴を埋めるため、スパーズはヨーロッパで実績のあるボバン・マルジャノビッチと契約。来季はマルジャノビッチ、ウェスト、ディアウをローテーション起用し、プレーオフまでダンカンの出場時間を抑えると思われる。

面白い実験になり得るのは、ジマー・フレデッテの加入だ。大学時代は新星と呼ばれながら、NBA入り後に評価を落とした選手の1人だが、ポポビッチHCは、その選手に適したポジションを見出し、再生させることで知られている。これだけの選手が揃ったチームならば、プレッシャーを感じることなくプレーできる上、チームスポーツ界でベストの球団と言われるチームで学ぶ機会を与えられるのだ。もしスパーズで機能しないなら、おそらくどのチームに行っても再起はできない。

とはいえ、やはり今オフの目玉はオルドリッジだ。彼は数年後のスパーズを引っ張る存在として期待されている。果たしてオルドリッジとダンカンのデュオは、ウェスタン・カンファレンス上位争いに食い込むと予想されるロサンゼルス・クリッパーズ、オクラホマシティ・サンダー、ヒューストン・ロケッツ、そしてディフェンディング王者ゴールデンステイト・ウォリアーズにとって脅威となれるのだろうか? 当然スパーズは、ウェストのエリートチームが相手でも、マッチアップすらしたくない誰もが恐れるツインタワーになると踏んでオルドリッジを獲得したはずだ。

連覇も可能と言われた昨季だったが、プレーオフ1回戦でクリッパーズと第7戦に及ぶ死闘の末、敗れた。

オフには人気、実力ともにNo.1のFA選手を獲得し、チーム強化に成功したスパーズが、来季も“常連”の優勝筆頭候補の1チームであることは間違いない。

原文: 30 Teams, 30 Days: Aldridge helps keep Spurs in title hunt by Shaun Powell/NBA.com (抄訳)

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ