NBA

2015-16 戦力分析:ヒューストン・ロケッツ

Author Photo
Sporting News Logo

NBA.comのショーン・パウエル記者が、全30チームの戦力を分析。今回は、ヒューストン・ロケッツ編を紹介しよう。

2015-16 NBA全30チーム戦力分析


新選手:タイ・ローソン、モントレズル・ハレル、サム・デッカー
 
退団選手:ジョシュ・スミス

ヒューストン・ロケッツに欠けている要素が何だったのかは、昨季のプレーオフを見れば明らかだった。彼らには、ポイントガードが必要だった。

もちろん、パトリック・ビバリーの存在を忘れたわけではない。ただ、彼が健康な状態であっても、昨季までジェイムズ・ハーデンが担わなくてはならなかったボールハンドリングの負担を和らげてくれるわけではない。この負担を軽減させられる選手が欠けていたことこそ、ロケッツが他の強豪に水をあけられた要因だった。

オフの補強ポイントがはっきりしていたロケッツは、オールスターレベル前後の実力を持ち、ハンドリングに優れ、リムにアタックすることを恐れず、かつ優れたシューターであるタイ・ローソンを獲得した。ハーデン自らチームに獲得を要求したというが、これまでローソンは飲酒にからむ問題が多く、今オフにはアルコール依存症の治療も受けた。

果たして期待に応えられるだけの選手かどうかは、ローソン本人の心がけ次第だろう。たいていのNBA選手であれば、何よりもバスケットボールに心血を注ぐ姿勢を見せるものだ。しかし、デンバー・ナゲッツ時代に何度もチャンスを与えられながらも大成しなかった選手を、どうやって信じれば良いというのだろう?

過去のNBAを振り返ってみても、能力は優秀ながら問題のある選手は少なくなかった。だが、デニス・ロッドマンしかり、ロン・アーテスト(メッタ・ワールドピース)しかり、スティーブン・ジャクソンしかり、時として環境の変化が飛躍の大きなきっかけになる場合もある。ローソンは、自分を信じてチームに獲得を進言してくれたハーデンの信頼を裏切れるだろうか?

もしローソンが本来の実力を発揮できれば、今後ハーデンがショットクロック10秒以下になるまでボールを保持する必要はなくなり、オフェンスに専念できる。そちらのほうが、オフェンス的に厄介なチームと言えるだろう。

ロケッツは今夏ローソン以外に大規模な補強を行なわなかった。昨季途中から加入したジョシュ・スミスを残留させるという案もあったかもしれないが、力を発揮すると思われたロサンゼルス・クリッパーズとのウェスタン・カンファレンス準決勝で期待外れに終わった。逆に、3ポイントシュートを多投し、判断ミスが多いという悪癖によりチームを苦しめた。欠点をカバーできる類稀な身体能力を発揮できる年齢を超えた以上、純粋にバスケットボールの実力や技術に力を注ぐべきなのだが、そうした姿勢に欠けている。

新人のサム・デッカーとモントレズル・ハレルは今後が楽しみな選手だ。ただ、今のロケッツの戦力を考えると、ローテーションに入ることも難しいだろう。ハーデンとドワイト・ハワードを軸とするチームを作る以上、ケビン・マクヘイル・ヘッドコーチがロールプレイヤーとして来季期待を寄せるのは、クリント・カペラであり、ドナタス・モティユナスのはずだ。

何はともあれ、来季のロケッツ躍進の鍵はローソンが握っている。彼が機能すれば、ハーデンとのバックコートコンビはリーグでもトップレベルになり得る。ローソンが何に重きを置いているのか次第ということにはなるが、ここはハーデンのこの言葉を信じたい。

「彼(ローソン)は今まで以上に集中している。彼のクイックネス、スピード、プレーメーク能力は、チームに欠けていたものだ。プレーオフを勝ち進んでいけばいくほど、その力が必要になる。彼を心から歓迎するよ」。

原文: 30 Teams, 30 Days: Rockets pin growth on Lawson by Shaun Powell/NBA.com (抄訳)

著者
NBA Japan Photo

NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ